行政書士 一般知識 問2:参議院の役割と権限
参議院に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア参議院は衆議院と異なり、内閣不信任決議を行う権限を持たない。
- イ予算の議決については、両院協議会を開いても意見が一致しない場合、衆議院の議決が国会の議決となる。
- ウ参議院は衆議院の解散中に緊急集会を開くことができる。
- エ参議院が条約の承認について60日以内に議決しない場合、衆議院の議決が国会の議決となる。正答
- オ参議院議員の被選挙権は、満30歳以上の日本国民に認められている。
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エが誤りです。条約の承認について、参議院が30日以内(60日以内ではない)に議決しないときは衆議院の議決が国会の議決となります(憲法61条)。60日というのは法律案についての規定です(憲法59条4項)。ア・イ・ウ・オはいずれも正しい記述です。内閣不信任決議は衆議院の専属権限(69条)、予算の両院不一致時は衆議院優越(60条2項)、緊急集会は参議院のみ可能(54条2項)、参議院の被選挙権は30歳以上(公選法10条)、すべて正しいです。
エの誤りのポイントは「60日」という数字です。憲法61条は条約の承認について「参議院が、衆議院の可決した後、国会休会中の期間を除いて30日以内に」議決しないときは衆議院の議決が国会の議決となる、と定めています。一方、法律案(59条4項)では「60日」という期間が設けられており、問題文はこの二つを意図的に入れ替えています。衆議院の優越が認められる事項と期間の整理は試験の頻出ポイントです。ア(正):内閣不信任決議は憲法69条に基づく衆議院の専属権限。参議院に同等の制度はありません(参議院は問責決議を行うことがあるが法的拘束力なし)。イ(正):憲法60条2項により予算は両院協議会後も不一致なら衆議院の議決が国会の議決となります。ウ(正):憲法54条2項で参議院緊急集会が規定されています。
【衆議院優越の体系整理】
日本国憲法は二院制を採りながら、衆議院に対して以下の優越を認めています。整理すると、①予算先議権(60条1項)、②法律案・予算・条約・内閣総理大臣の指名について衆議院の議決優越、③不信任決議権(69条)の衆議院専属、④内閣総理大臣の指名で30日以内に参議院が議決しない場合の衆議院議決の国会議決化(67条2項)が主なものです。期間の整理が重要で、法律案は60日(59条4項)、予算・条約・総理指名は30日(60条2項・61条・67条2項)という違いがあります。
【エの詳細:条約承認と30日の根拠】
憲法61条は「条約の締結に必要な国会の承認について」は「前条(予算についての)第2項の規定を準用する」と定めており、予算の60条2項(30日)と同じ扱いとしています。したがって条約の承認についての期間は30日であり、エの「60日」は誤りです。なお「30日」を起算するのは国会休会期間を除いた実質的な会期日数であり、形式的な暦日ではないことにも注意が必要です。
【参議院の役割論】
参議院は「衆議院のカーボンコピー」と批判されることもありますが、解散がなく任期が長い(6年)ため、衆議院と異なる政治的構成が生まれやすく「再考の府」としての機能が期待されています。緊急集会(憲法54条2項・3項)は衆議院解散中の空白を埋める機能を持ちます。また参議院は問責決議を行うことがありますが、これは慣行・院内規則に基づくものであり、内閣不信任決議(憲法69条)と異なり法的拘束力はありません。参議院議員の任期(6年・半数改選)と衆議院(4年・全員改選・解散あり)の差異は行政書士試験の定番論点です。
【試験対策:混同しやすい数値一覧】
行政書士試験一般知識では、以下の数値の混同が最大の落とし穴です。(a)法律案の60日 vs 条約・予算・総理指名の30日、(b)選挙権18歳 vs 衆議院被選挙権25歳 vs 参議院被選挙権30歳、(c)衆議院任期4年 vs 参議院任期6年・3年ごと半数改選、(d)不信任決議後の解散は10日以内(69条)vs 総辞職。これらを一覧表で暗記しておくと、本問のような「一か所だけ数値を入れ替えた」誤肢を即見抜けます。
【根拠条文】
日本国憲法 第59条第4項(法律案の60日)、第60条第2項(予算の衆議院優越)、第61条(条約承認・30日)、第54条第2項(参議院緊急集会)、第69条(不信任決議)
公職選挙法 第10条(被選挙権年齢)
【補足】
本問の正答根拠は憲法61条。条約=30日、法律=60日という数値の整理が最優先。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 日本国憲法 第54条・第60条・第61条・第62条・第67条・第69条、公職選挙法 第10条 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。