問題
新たにデータ項目の命名規約を設ける場合,次の命名規約だけでは回避できない問題はどれか。 〔命名規約〕 (1) データ項目名の末尾には必ず“名”,“コード”,“数”,“金額”,“年月日”などの区分語を付与し,区分語ごとに定めたデータ型にする。 (2) データ項目名と意味を登録した辞書を作成し,異音同義語や同音異義語が発生しないようにする。
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答え合わせ
- A
- B
- C
- D
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
答えは b「データ項目“受注金額”の取り得る値の範囲がテーブルによって異なる」 です。
この命名規約は2つのルールでできています。
- (1) 名前の最後に「名」「コード」「金額」「年月日」などの区分語を付け、区分語ごとにデータ型を決める
- (2) 名前と意味を辞書に登録し、同じ意味の別名や、同じ名前で別の意味になるのを防ぐ
名前と型のルールはあっても、「どんな範囲の値を取るか」を決めるルールはありません。だから b は防げません。
👉 覚え方:命名規約で防げるのは「名前」と、名前に結び付けた「型」まで。値の範囲は別に決める。
ほかの選択肢:a 区分語「年月日」で型が一つに決まる=(1)で防げる/c 辞書で同じ意味の別名を防げる=(2)/d 区分語「コード」「名」を付ければ区別できる=(1)。
なぜこれが正解か
正解は b。命名規約(1)は区分語ごとにデータ型を定めるので、同じ区分語の項目は同じデータ型になる。命名規約(2)はデータ項目名と意味を辞書に登録し、異音同義語(意味が同じで名前が違う)と同音異義語(名前が同じで意味が違う)を防ぐ。しかし、どちらの規約もデータ項目が取り得る値の範囲(値域・ドメイン)には触れていない。「受注金額」の値の範囲がテーブルごとに異なる問題は、名前と型をそろえても残るため、この命名規約だけでは回避できない。
各選択肢の解説
- a:「受信年月日」は区分語「年月日」に定めたデータ型に統一されるため、日付型と文字列型の混在は(1)で回避できる。
- b:値の範囲は命名規約の対象外。ドメイン定義などで別に統一する必要がある(正解)。
- c:「賞与金額」と「ボーナス金額」は同じ意味で名前が違う異音同義語。(2)の辞書で回避できる。
- d:「取引先」に区分語が付いていないことが原因。(1)により「取引先コード」「取引先名」と区分語を付ければ判別できる。
覚え方・ひっかけ注意
命名規約=名前(+区分語に結び付いた型)の統一、値の範囲=ドメイン定義と役割を分けて覚える。データ標準化は「命名規約+データ辞書+ドメイン定義(データ型・桁数・値域)+コード体系」の組合せで実現する。
理論的背景
データ標準化はマスタデータ管理(MDM: Master Data Management)やデータガバナンスの中核で、①データ辞書(用語の意味定義)・②命名規約(名前のルール)・③ドメイン定義(値域・データ型・桁数・コード体系)・④コードマスタ(コード値の統一)の4層で構成される。命名規約だけでは「同じ意味の異なる表現」を防げるが、「同じ名前でも異なる定義」を防ぐにはドメイン定義の標準化が必須。
実務での使われ方
ERP導入・データウェアハウス構築・データレイク設計時にMDM施策として実施される。ISO 11179(メタデータレジストリ標準)に基づき、メタデータリポジトリ(IBM InfoSphere、Informatica、Collibra、Atlan等)でデータ標準を一元管理する。コード変換マップ・データ品質ルール(DQR: Data Quality Rule)・マスタファイル同期で運用する。データオブザーバビリティ(dbt、Monte Carlo Data等)も近年注目される。
試験での位置づけ
基本情報・応用情報のデータベース・情報分析分野で頻出。データガバナンス、データ品質、マスタデータ管理、データ辞書、メタデータ管理が出題される。データベーススペシャリスト・ITストラテジストでは、データガバナンスフレームワーク(DAMA-DMBOK)・データオーナーシップ・データスチュワード・GDPR等の法令対応が深掘りされる。
選択肢の発展補足
データ品質の6次元(完全性Completeness・正確性Accuracy・一貫性Consistency・適時性Timeliness・妥当性Validity・一意性Uniqueness)は実務でDQR設計の標準フレームワーク。データ統合のETL(Extract-Transform-Load)でテーブル毎の差異を吸収する設計、データ仮想化(Data Virtualization)でリアルタイム統合する設計、データ契約(Data Contract)で品質を保証する現代的アプローチがある。命名規約は「単語の選択」「区切り(snake_case/camelCase/PascalCase)」「桁数制限」「予約語回避」「業界用語準拠」等の標準化要素を含む。本問の規約は(1)で区分語ごとにデータ型まで決めているため、型の混在(a)や名前のあいまいさ(d)は防げ、(2)の辞書で異音同義語(c)も防げる。しかし取り得る値の範囲(値域)は規約の外にあり、ドメイン定義やCHECK制約などで別に標準化する必要がある、というのが本問の要点。
出典と作り方
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 基本情報技術者試験 平成24年度 秋期 問28/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビ独自の3段階の解説(初級・標準・上級)です。

