問題
機密ファイルが格納されていて,正常に動作するPCの磁気ディスクを産業廃棄物処理業者に引き渡して廃棄する場合の情報漏えい対策のうち,適切なものはどれか。
キーボード:1〜4で選択・Enterで次へ
答え合わせ
- A
- B
- C
- D
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
答えは c「特定のビット列で,磁気ディスクの全領域を複数回上書きする」 です。
ファイルを消したり、ファイル名を変えたりしても、ディスクの中にはデータそのものが残っています。専用のツールを使えば読み出せてしまいます。
確実に読めなくするには、ディスクの全部を別のデータで何度も上書きして、元のデータを消し去るのが有効です(物理的に壊す方法もあります)。
👉 覚え方:消すなら「全部を何度も上書き」。
ほかの選択肢:a 圧縮しても中身は元に戻せる/b マスタブートレコードを消しても、ファイルのデータ本体は残る/d ファイル名を変えても中身はそのまま。
なぜこれが正解か
正解は c。磁気ディスクでは,ファイルを削除したりフォーマットしたりしても,管理情報が書き換わるだけで,データ本体は記録面に残っている。データ復元ツールで読み出される危険があるため,廃棄の際は全領域を特定のビット列(0や乱数など)で上書きするデータ消去を行う。上書きを複数回行うことで,より確実に元のデータを読めなくする。物理的破壊や磁気による消去(消磁)も有効な方法である。
各選択肢の解説
- a 誤り:圧縮しても元のデータは展開すれば復元できる。
- b 誤り:マスタブートレコードはディスクの起動情報や区画情報を記録する先頭の領域で,消去してもファイルのデータ本体は残る。
- c 正しい:全領域の上書きでデータ本体を消去できる。
- d 誤り:ファイル名を変更しても,ファイルの内容はそのまま残る。
覚え方・ひっかけ注意
「削除」「フォーマット」「名前の変更」「管理情報の消去」ではデータは消えない。データそのものを上書きするか,物理的に破壊するのが廃棄時の情報漏えい対策の基本。外部業者に引き渡す場合は,消去証明書を受け取るなどの確認も行う。
理論的背景
ファイルシステムは,ファイルの実データとは別に,ファイル名や格納位置を記録した管理情報(ディレクトリ,FAT,i-node など)を持つ。ファイルの削除は通常,管理情報の該当部分を「未使用」にするだけで,実データの領域はそのまま残る。クイックフォーマットも管理情報を初期化するだけであり,データ復元ツールでかなりの部分が読み出せる。そのため,記憶媒体を廃棄・譲渡・返却する際には,実データの領域を上書きするデータ消去(ワイプ)が必要になる。米国国立標準技術研究所の媒体サニタイズの指針(NIST SP 800-88)では,消去の水準として,上書きによる消去(Clear),専用コマンドや消磁による抹消(Purge),物理的な破壊(Destroy)が整理されている。
実務での使われ方
企業では,PCやサーバを廃棄・リース返却する前に,消去ソフトウェアで全領域を上書きするか,専門業者に物理破壊や消磁を委託し,消去証明書(作業証明書)を受け取って記録を残す。SSD はウェアレベリングのため上書きが全領域に及ばないことがあり,メーカ提供の消去コマンド(Secure Erase)や暗号化した上で鍵を破棄する暗号消去が用いられる。業者に委託する場合も,委託元が管理責任を負う点に注意が必要である。
試験での位置づけ
基本情報・ITパスポートでは,媒体廃棄時の情報漏えい対策として有効なものを選ぶ問題が頻出。情報処理安全確保支援士では,媒体管理,委託先管理,SSD の消去方式まで問われる。
選択肢の発展補足
a の圧縮は可逆変換なので秘匿の効果はなく,暗号化とは異なる。b のマスタブートレコード(MBR)を消去すると起動や区画の認識ができなくなるが,データ本体は残るため,ディスクを解析すれば読み出せる。d のファイル名の変更は管理情報の一部を変えるだけである。いずれも「データ本体が残る」点で不十分であり,全領域の上書き(c)や物理破壊が必要になる。
出典と作り方
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 基本情報技術者試験 平成25年度 春期 問41/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビ独自の3段階の解説(初級・標準・上級)です。

