基本情報 平成26年度 秋期 問12:テクノロジ系に関する問題
磁気ディスク装置の性能に関する記述のうち, 適切なものはどれか。
- aアクセス時間は, 回転速度を上げるか位置決め時間を短縮すると短くなる。正答
- bアクセス時間は, 処理装置の前処理時間. データ転送後の後処理時間も含む。
- c記憶容量は, トラック当たりの記憶容量と 1 シリンダ当たりのトラック数だけで 決まる。
- dデータ転送速度は, 回転速度と回転待ち時間で決まる。
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答えは a です。
磁気ディスクのアクセス時間は 「待つ時間」+「位置決め時間(針の移動)」+「データ転送時間」 の合計。
- 回転速度を上げる → 待つ時間が短くなる
- 位置決め時間(シーク時間)を短くする → 針の移動が速くなる
どちらも速くなるのでアクセス時間も短くなる、というのがa。
👉 覚え方:「回転速度+針の動き=アクセス時間」。
ほかの選択肢:b 前処理・後処理は含まない/c 容量はトラック数×トラック当りでは決まらない(シリンダ数も)/d 転送速度は記録密度などで決まる。
なぜこれが正解か
正解は a。磁気ディスクのアクセス時間 = 位置決め時間(シーク時間)+ 回転待ち時間(サーチ時間)+ データ転送時間。
- 回転速度を上げる→平均回転待ち時間(1/2回転分)が短縮
- 位置決め時間を短縮→ヘッドの移動時間(シーク時間)が短縮
どちらの改善もアクセス時間短縮に直接寄与。
各選択肢の解説
- a 回転速度上昇/位置決め時間短縮で短縮:正解。
- b 処理装置の前処理・後処理時間も含む:含まない(CPU側の時間は別概念)。
- c 容量はトラック当り×1シリンダ当りトラック数だけで決まる:シリンダ数(=トラック密度)も必要で不完全。
- d 転送速度は回転速度と回転待ち時間で決まる:転送速度は記録密度×回転速度(ビット/秒)で決まり、回転待ち時間は無関係。
覚え方・ひっかけ注意
「磁気ディスクアクセス時間 = シーク時間 + 回転待ち時間 + データ転送時間」の3要素を覚える。
- シーク時間: ヘッドが目的トラックに移動する時間(数ms)
- 回転待ち時間: 目的セクタが回ってくるまでの平均時間(=1/2回転、7200rpmなら4.17ms)
- データ転送時間: セクタ通過時間(数十μs)
回転速度7200rpm/10000rpm/15000rpmが企業向けHDDの主流。SSDではこれらの概念が不要(メカ部品なし、ナノ秒オーダーアクセス)。
理論的背景
磁気ディスク(HDD)のアクセス時間モデル:
- シーク時間(Seek Time): ヘッドアクチュエータが目的シリンダへ移動する時間。隣接シリンダ移動(最小)から最大シリンダ移動(最大)まで非線形に分布。平均シーク時間は最小・最大の中間。Enterprise HDDで3-5ms、コンシューマで8-12ms
- 回転待ち時間(Rotational Latency): 目的セクタがヘッド下に到達する待ち時間。平均は1/2回転分。7200rpm→1回転8.33ms→平均4.17ms、15000rpm→平均2ms
- データ転送時間(Transfer Time): セクタが通過する時間。回転速度×記録密度で決まる帯域(SATA 6Gbps、SAS 12Gbps、NVMe PCIe Gen5 32GB/s)の制限と内部速度の小さい方
実効データ転送速度は記録密度(bpi: Bits Per Inch)と線速度(=回転速度×半径)の積。プラッタの外周ほど線速度が大きく、高速転送ゾーン(Zone Bit Recording)として利用される。
実務での使われ方
ストレージ性能チューニング:
- シーケンシャルアクセス: ヘッドが連続移動するため高速。データの局所性を活かすファイル配置(再編成)、RAID 0/5/6でストライピング
- ランダムアクセス: シーク+回転待ちが繰返し発生し低速。インデックス・キャッシュで物理I/O削減
- IOPS(Input/Output Per Second): ランダムアクセス性能指標。HDDで100-200 IOPS、SSDで数万-数十万、NVMeで百万超
SSD/NVMeへの置換が主流化したが、大容量データウェアハウス・コールドストレージではHDDが依然コスト効率良好。HAMR/MAMRで20TB超のHDDが実用化、Helium封入で消費電力低減。
ティアードストレージ: 高速アクセス層(NVMe SSD)+ 中速層(SAS SSD/HDD)+ 大容量層(SATA HDD)+ アーカイブ層(テープ/オブジェクトストレージ)の階層化で、アクセス頻度と性能/コストを最適化。AWS S3 Standard/IA/Glacier、Azure Hot/Cool/Archive、Google Standard/Nearline/Coldline/Archiveが代表例。
試験での位置づけ
FE/AP/ES/SAのテクノロジ系(システム構成要素)で頻出。①磁気ディスクアクセス時間の構成、②RAIDレベル、③SSDとHDDの特性比較、④I/Oスケジューリングアルゴリズム(FCFS、SSTF、SCAN、C-SCAN等)、⑤ストレージ性能指標(IOPS、レイテンシ、スループット)、が主要論点。
選択肢の発展補足
HDDのI/Oスケジューリング:
- FCFS(First Come First Served): 受付順、効率最悪
- SSTF(Shortest Seek Time First): 最短シーク優先、starvation発生
- SCAN/エレベータ: 一方向移動でアクセス、戻りも処理
- C-SCAN: 一方向移動のみ、戻り処理せず
- LOOK/C-LOOK: 要求がある範囲のみ移動
LinuxではCFQ(Completely Fair Queueing)、deadline、noopが選択可能。SSD/NVMeはhead movement不要のためnoop/noneが効率的。
SSDの特性:
- 物理的にメカ部品なし→シーク不要、ナノ秒アクセス
- 書込み寿命あり(P/E cycle、TLC 1000-3000回、QLC 100-1000回)
- ガベージコレクション・ウェアレベリング・TRIM等の管理オーバヘッド
- NAND Flash 3D構造(V-NAND、3D XPoint/Optane等)で大容量化
Storage Class Memory(SCM): Intel Optane(廃止)、Samsung Z-NAND、CXLメモリ等の新階層。DRAMより遅いがSSDより速い、永続性あり。データセンタアーキテクチャを変革中。古典的HDD理論を理解しつつ、現代の階層化ストレージ全体像を把握することが重要。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 基本情報技術者試験 平成26年度 秋期 問12/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。