問題
パケットフィルタリング型ファイアウォールがルール一覧に基づいてパケットを制御する場合,パケットAに適用されるルールとそのときの動作はどれか。ここで,ファイアウォールでは,ルール一覧に示す番号の1から順にルールを適用し,一つのルールが適合したときには残りのルールは適用しない。 〔ルール一覧〕 番号|送信元アドレス|宛先アドレス|プロトコル|送信元ポート番号|宛先ポート番号|動作 1|10.1.2.3|*|*|*|*|通過禁止 2|*|10.2.3.*|TCP|*|25|通過許可 3|*|10.1.*|TCP|*|25|通過許可 4|*|*|*|*|*|通過禁止 注記 *は任意のものに適合するパターンを表す。 〔パケットA〕 送信元アドレス|宛先アドレス|プロトコル|送信元ポート番号|宛先ポート番号 10.1.2.3|10.2.3.4|TCP|2100|25
キーボード:1〜4で選択・Enterで次へ
答え合わせ
- A
- B
- C
- D
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
答えは a「番号1によって,通過を禁止する」 です。
パケットフィルタリング型ファイアウォールは「通行手形のチェック係」。ルール一覧を番号1から順に見て、最初に当てはまったルールで通すか止めるかを決め、残りのルールは見ません。
パケットAの送信元アドレスは 10.1.2.3。番号1のルールは「送信元 10.1.2.3、ほかは何でも(*)→ 通過禁止」なので、いきなり番号1に当てはまります。
👉 覚え方:ファイアウォール=上から順に、最初の一致で決定。
ほかの選択肢:b 番号2・c 番号3 も条件には合うが、番号1が先に当てはまるので使われない/d 番号4 まで進むことはない。
なぜこれが正解か
正解は a。このファイアウォールはルールを番号1から順に照合し,最初に適合したルールの動作を適用する(First Match)。パケットA(送信元10.1.2.3,宛先10.2.3.4,TCP,送信元ポート2100,宛先ポート25)を照合すると:
- 番号1:送信元アドレスが 10.1.2.3 で,他の項目は全て「*」→ 適合。動作は通過禁止。
したがって番号1によって通過が禁止され,番号2以降は適用されない。
各選択肢の解説
- a 番号1によって通過を禁止する(正解)。
- b 番号2(宛先10.2.3.*,TCP,宛先ポート25→通過許可)にもパケットAは適合するが,先に番号1が適合しているので適用されない。
- c 番号3(宛先10.1.*)は,宛先10.2.3.4 なので適合しない。
- d 番号4は全てに適合する最後のルールだが,番号1で判定が終わるため適用されない。
覚え方・ひっかけ注意
パケットフィルタの3鉄則:(1) 上から順に照合し最初の一致で決定(First Match),(2) どれにも当てはまらない通信は拒否(Default Deny,本問の番号4),(3) 必要最小限の許可。ルールの順序によって結果が変わるため,「条件に合うルールが複数あっても,番号が若いものが優先される」点がひっかけになる。
理論的背景
ファイアウォールは進化段階で (1) パケットフィルタリング(L3-L4、ステートレス)、(2) ステートフルインスペクション(セッションテーブル管理)、(3) アプリケーションゲートウェイ(プロキシ型)(L7、コンテンツ検査)、(4) 次世代ファイアウォール(NGFW)(アプリ識別・IPS・URL Filter・SSL Decryption統合)、(5) WAF(Web Application Firewall)(HTTP特化)に分類される。
実務での使われ方
エンタープライズ環境では境界防御(Perimeter Defense)に加え、ゼロトラスト(Zero Trust:BeyondCorp)アプローチでマイクロセグメンテーションを実施。CASB/SASE/ZTNA(Zero Trust Network Access)が現代的アーキテクチャ。クラウド環境ではセキュリティグループ(AWS/Azure NSG/GCP Firewall Rules)がパケットフィルタの実装形態。Linux環境ではiptables/nftables/ufwで実現。
試験での位置づけ
情報セキュリティ・ネットワーク分野の頻出論点。基本情報・応用情報・情報処理安全確保支援士・ネットワークスペシャリストで毎期出題。ルール照合のシミュレーション問題は科目B(旧午後)にも登場する。
選択肢の発展補足
- ACLの設計指針:(1) 内向き(Inbound)と外向き(Outbound)を別管理、(2) 不要ルールの削除(Drift管理)、(3) ログ取得とSIEM連携、(4) 定期的なルール監査(PCI DSS等のコンプライアンス要件)。
- DMZ(DeMilitarized Zone)設計:3-leg FW構成 vs 2-leg FW二重構成の選定。
- ICMP制御の落とし穴:完全遮断するとPath MTU Discoveryが機能せず接続不能になる場合あり。Type 3 Code 4は許可推奨。
- 関連用語:IPS(Intrusion Prevention System)・IDS(Intrusion Detection System)・SIEM(Security Information and Event Management)・SOAR(Security Orchestration, Automation and Response)。
出典と作り方
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 基本情報技術者試験 平成27年度 秋期 問44/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビ独自の3段階の解説(初級・標準・上級)です。

