行政書士 一般知識 問22:情報公開法の基礎
行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア情報公開法の開示請求権は、日本国民のみに認められており、外国人や法人は開示請求をする権利を持たない。
- イ情報公開法は、行政機関が保有するすべての行政文書について、原則として開示する義務を負うと定めており、不開示事由は一切認められない。
- ウ行政機関の長が行政文書の不開示決定を行った場合、請求者はその決定を不服として行政不服申立て(審査請求)をすることができる。正答
- エ情報公開法の対象となる行政機関は国の行政機関のみであり、独立行政法人は対象外とされる。
- オ情報公開請求の対象となる「行政文書」は紙の文書・図面に限られ、電子メールや電子データなどの電磁的記録は「行政文書」に含まれず開示請求の対象外である。
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正答はウです。情報公開法18条・19条は、不開示決定等に対して行政不服申立て(審査請求)ができると定めており、審査請求があった場合は情報公開・個人情報保護審査会に諮問する制度があります。ア(誤):情報公開法3条は「何人も」開示請求ができると定めており、外国人・法人も含まれます。イ(誤):情報公開法は不開示事由(5条:個人に関する情報・国防・外交等)を定めており、不開示が一切認められないというのは誤りです。エ(誤):独立行政法人等には独立行政法人等情報公開法が適用されます(「対象外」という表現が誤り-独立行政法人は別法で対象)。オ(誤):行政文書(2条2項)には「文書、図画及び電磁的記録」が含まれ、電子メールや電子データも開示請求の対象です。「紙の文書・図面に限られ、電磁的記録は対象外」とするオは誤りです(除外されるのは官報・白書・新聞・書籍等の一般公開物の方)。
ウが正答です(情報公開法18条・19条)。各肢の詳細:ア(誤):情報公開法3条は「何人も、この法律の定めるところにより、行政機関の長に対し、当該行政機関の保有する行政文書の開示を請求することができる」と規定しており、「何人も」には外国人・法人も含まれます(国籍・目的を問わない「知る権利」の普遍的な保障を志向した規定)。イ(誤):情報公開法5条は不開示事由として①個人情報(1号)②法人情報(2号)③国防・外交情報(3号)④公共安全情報(4号)⑤審議・検討等情報(5号)⑥行政運営情報(6号)を定めています。不開示を一切認めないとするイは明らかに誤りです。エ(誤):行政機関の情報公開法(国の行政機関)と別に、独立行政法人等については「独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律」(独立行政法人等情報公開法)が適用されます。「対象外」とする選択肢は不正確です(別法で規律されている)。オ(誤):行政文書の定義(2条2項)は「行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録…であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして当該行政機関が保有しているもの」であり、電磁的記録(電子メール・電子データ等)も明確に含まれます。したがって「電磁的記録は対象外」とするオは誤りです。なお定義から除外されるのは官報・白書・新聞・一般書籍等の公開物(2条2項各号)であり、電磁的記録ではありません。
【情報公開法の立法趣旨と体系】
情報公開法(2001年施行)は、「政府の有する情報の一層の公開を図り、もって政府の諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判の下に置かれる公正で民主的な行政の推進に資することを目的とする」(1条)制度です。「知る権利」を明文で定めてはいませんが、情報公開の制度を通じて実質的に知る権利を保障するものと解されています。請求権者を「何人も」とした点(3条)は、外国人・法人・匿名者も含む普遍的な開示請求権を認めるものです(アの誤りの根拠)。地方公共団体については各自治体の情報公開条例が適用され、国の法律ではありません(ただし法律の趣旨を尊重して各条例が制定されています)。
【不開示事由の詳細】
情報公開法5条が定める不開示事由は6類型です。①個人情報(特定の個人を識別できる情報:プライバシーの保護)、②法人情報(法人の正当な利益を害するおそれのある情報:競争上の地位等)、③国防・外交(国の安全保障・外交上の重要な情報)、④公共安全(犯罪捜査・治安等の情報)、⑤審議・検討等(意思決定前の内部情報:政策形成の自由の保護)、⑥行政運営(施設管理・行政機関の適正な運営に支障)です。これらは「不開示の義務」ではなく「不開示にできる」裁量的不開示事由であり、一部については裁量の余地のない除外(絶対的不開示)ではありません。部分開示(マスキング開示)も認められています(6条)。
【審査請求と情報公開・個人情報保護審査会】
不開示決定・部分開示決定・開示決定の遅延等に対して、請求者は行政不服申立て(審査請求)をすることができます(情報公開法18条・19条)。審査請求を受けた行政機関の長(審査庁)は、原則として情報公開・個人情報保護審査会(独立した審査機関)に諮問し、その答申を尊重して裁決します(19条)。情報公開・個人情報保護審査会はインカメラ審理(実際の行政文書を非公開で確認する手続)を行えることが特徴であり、不開示事由の妥当性を第三者が実質的にチェックできます。行政事件訴訟(取消訴訟)によって司法審査を求めることも可能です。ウの正答はこの審査請求制度の存在を問うものです。
【行政文書の定義と実務】
行政文書(2条2項)の定義の中から除外されるものは、①官報・白書・新聞・雑誌・書籍等(一般公開物)、②公文書館等に移管された歴史資料(別の法令による管理)です(2条2項ただし書)。電磁的記録も含まれる点(電子データ・電子メール・電子掲示板の記録等)は現代の情報管理において重要です。また「組織的に用いるものとして保有」という要件は、個人的なメモ・草稿段階の文書等を除外する機能を持ちますが、実務上この境界線は時に争われます。国立公文書館への移管前の行政文書は情報公開法の対象であり、移管後は公文書管理法・公文書館法の規律に移行します。
【根拠条文】
行政機関の保有する情報の公開に関する法律 第3条(何人もの開示請求権)、第5条(不開示事由)、第6条(部分開示)、第18条・第19条(不服申立て・審査請求・情報公開・個人情報保護審査会への諮問)
【補足】
「何人も」開示請求可(ア誤り)、不開示事由は6類型あり存在する(イ誤り)、不開示決定への審査請求・審査会への諮問制度(ウ正)の三点が核心。独立行政法人は別法(独立行政法人等情報公開法)で対象(エ誤りの正確な理解)。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)第1条・第2条・第3条・第6条・第18条・第19条、情報公開・個人情報保護審査会設置法 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。