行政書士 一般知識 問24:マイナンバー制度・デジタル関連法の基礎
マイナンバー制度および関連するデジタル関連法に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- アマイナンバー(個人番号)は、日本に住民票を有するすべての人(外国人を含む)に付番される12桁の番号であり、一度付番されたら生涯にわたって同じ番号が変わることはない。
- イマイナンバーは、社会保障・税・災害対策分野での利用が認められているが、民間企業が顧客管理や社員の本人確認に利用することは一切禁止されている。
- ウマイナンバーカード(個人番号カード)とマイナンバー(個人番号)は同じものであり、カードを返納するとマイナンバーも消去される。
- エデジタル庁は、行政のデジタル化を推進するために2021年に設置された組織であり、その長は内閣総理大臣ではなくデジタル大臣が務める。
- オ電子署名法は、一定の要件を満たす電子署名に、書面での押印・署名と同等の法的効力を認めており、電子署名がある電子文書は本人が作成したものと推定される。正答
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正答はオです。電子署名法3条は「電磁的記録であって情報を表すために作成されたものは、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名が行われているときは、真正に成立したものと推定する」と定めており、一定要件を満たす電子署名に法的効力と推定効を付与しています。ア(誤):マイナンバーは情報漏えい等の場合に変更できます(マイナンバー法7条4項等)。「生涯変わらない」は誤りです。イ(誤):民間企業も従業員の社会保険・税務手続のためにマイナンバーを取り扱うことが認められています(一定の用途に限定)。「一切禁止」は誤りです。ウ(誤):マイナンバーカード(物理的なICカード)とマイナンバー(番号そのもの)は別物です。カードを返納してもマイナンバー(番号)は消去されません。エ(誤):デジタル庁設置法6条は「デジタル庁の長は、内閣総理大臣とする」と定めており、庁の長は内閣総理大臣です。デジタル大臣(同法8条)は内閣総理大臣を助けて庁の事務を統括する国務大臣として置かれますが、「庁の長」ではありません。なお勧告権については、デジタル大臣が関係行政機関の長に対して勧告できる旨が同法8条に定められています(関係行政機関の長はこれを十分に尊重する義務を負う)。
オが正答です(電子署名法3条の本人作成推定効)。各肢の詳細:ア(誤):マイナンバーは原則として生涯変わらない番号として設計されていますが、番号が漏えいして不正使用のおそれがある場合等には本人の申請または職権により変更できます(マイナンバー法7条4項・「やむを得ない理由」がある場合)。「生涯絶対に変わらない」という断言は誤りです。イ(誤):マイナンバー法9条・19条は利用範囲を社会保障・税・災害対策に限定し、それ以外の目的での利用・提供を禁止していますが、民間企業は雇用した従業員の社会保険・税務手続(給与支払報告書・源泉徴収票作成等)にマイナンバーを使用する義務・権利を持ちます。「一切禁止」は誤りです。ウ(誤):マイナンバー(番号)はシステム上の識別子であり、マイナンバーカード(ICカード)は番号を記載した物理的媒体です。カードを返納しても番号は住民票に紐づいて維持されます。エ(誤):デジタル庁設置法6条1項は「デジタル庁の長は、内閣総理大臣とする」と定め、庁の長は内閣総理大臣です。同法8条のデジタル大臣は内閣総理大臣を助けて庁務を統括し、関係行政機関の長に対する勧告権(相手方は十分尊重する義務を負う・8条)等を行使しますが、「庁の長」ではありません。したがって「長はデジタル大臣が務める」とするエは誤りです。オ(正):電子署名法3条の要件(本人だけが用いることができる方式・改ざん検知可能)を満たす電子署名に推定効が生じます。
【マイナンバー制度の仕組み】
マイナンバー(個人番号)は、マイナンバー法(2013年制定・2016年利用開始)に基づき、住民票コードをもとに付番される12桁の番号です。対象は日本に住民票を有するすべての者(外国人を含む)であり(マイナンバー法7条1項)、付番は出生届の提出等をトリガーとして自動的に行われます。番号は原則として生涯同じですが、不正使用のおそれがある場合には変更申請ができます(同7条4項:アの誤りの根拠)。マイナンバーカード(ICカード)は個人番号通知カードとは別物であり、電子証明書(e-Tax・行政手続等に利用)が搭載されたカードです。番号と物理カードが別概念であることがウの誤りの根拠です。
【マイナンバーの利用制限と民間活用】
マイナンバーの利用範囲はマイナンバー法9条・別表第1・第2で厳格に限定されており、①社会保障(健康保険・年金・生活保護等)、②税務(源泉徴収・確定申告・給与支払報告等)、③災害対策(被災者台帳等)の三分野が対象です。「法定以外の目的での利用・第三者提供は禁止」(19条)が基本ルールです。民間企業(雇用主)は従業員の社会保険・税務処理においてマイナンバーを収集・利用することが義務付けられています(イの「一切禁止」が誤りの根拠)。ただし顧客管理・マーケティング・本人確認への利用は禁止されています。マイナンバーを不正に収集・提供した場合には刑事罰(懲役・罰金)が科されます(マイナンバー法67条〜77条等)。
【電子署名法の法的意義】
電子署名法(2001年施行)は、民事訴訟法上の書面の成立の真正に関するルール(228条4項:「私文書は、本人…の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する」)を電子文書に拡張するものです。電子署名法3条は「電磁的記録であって情報を表すために作成されたものは、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名が行われているときは、真正に成立したものと推定する」と規定しています。「本人による電子署名」の要件は、①本人だけが行うことができる方式であること、②記録が改ざんされた場合に検知できるものであることです(3条括弧書)。公開鍵暗号基盤(PKI)による電子署名(認定認証機関が証明書を発行)はこの要件を満たし、電子契約・電子申告・電子申請に広く用いられています。
【デジタル庁と行政デジタル化】
デジタル庁は2021年9月にデジタル社会の形成に関する内閣の事務を内閣官房とともに助けるために設置された機関です(デジタル庁設置法)。組織上の最大の特徴は、庁の長を内閣総理大臣とする点です(設置法6条1項)。これは各省の長を国務大臣(各省大臣)とする通常の府省と異なり、内閣総理大臣をトップに据えることで省庁横断的な総合調整力を持たせる狙いがあります。実務を統括する国務大臣として「デジタル大臣」が置かれ(8条)、内閣総理大臣を助けて庁務を統括し、関係行政機関の長に対する勧告権(相手方は十分尊重する義務を負う)等を行使します。特徴的な権限として、①各府省庁の情報システムの整備・管理に関する予算の集約・調整、②デジタル化に関する重要政策の企画・立案、③行政手続のオンライン化の標準化・推進が挙げられます。デジタル庁は「デジタル社会形成基本法」(2021年)に基づく重点計画の策定にも関与します。エが誤りなのは、この「庁の長=内閣総理大臣」を「デジタル大臣」と取り違えている点です。
【根拠条文】
マイナンバー法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)第7条(付番・変更)、第9条(利用範囲)、第19条(提供制限)
電子署名及び認証業務に関する法律 第3条(真正成立の推定)
デジタル庁設置法 第6条第1項(庁の長は内閣総理大臣)、第8条(デジタル大臣・勧告権)
【補足】
オの電子署名法3条(推定効)が正答の根拠。マイナンバーは変更可能(ア誤り)、民間企業も労務・税務で利用義務あり(イ誤り)、カード≠番号(ウ誤り)。エは「デジタル庁の長は内閣総理大臣」(設置法6条1項)であり「デジタル大臣」ではない点が誤りの核心。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(マイナンバー法)第2条・第7条・第9条・第19条、電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法)第3条、デジタル庁設置法 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。