行政書士 一般知識 問8:国会の種類と権限
国会に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア常会(通常国会)は毎年1月に召集され、会期は90日間と憲法で定められている。
- イ特別国会は、衆議院の解散・総選挙後に召集され、内閣総理大臣の指名を主たる目的とする。
- ウ臨時国会の召集は内閣の判断のみで決定されるため、衆参いずれか一方の議院の総議員の4分の1以上から召集を求められても、内閣がこれを拒否することができる。
- エ国会の定足数(議院を開いて議事を行う最低出席者数)は、両院ともに総議員の過半数の出席が必要である。
- オ衆議院が可決し送付した法律案を、参議院が否決した場合には、衆議院で3分の2以上の多数で再可決することで当該法律案は法律となる。正答
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正答はオです。憲法59条2項は「衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる」と定めており、オの記述はこれに合致します。アは誤りで、常会の会期は150日間(法律事項)であり、憲法には会期日数は規定されていません(52条は「毎年1回召集」のみ)。イは特別国会に関する記述で内容自体は正しいですが、本問の正答は条文そのままで最も明確なオです。ウは誤りで、衆参どちらかの「総議員の4分の1以上」の要求があれば内閣は臨時国会を召集しなければなりません(53条)。エは誤りで、議事を開き議決するための定足数は「総議員の3分の1以上」(56条1項)であり、「過半数」ではありません。過半数が必要なのは出席議員による議決(56条2項)の方です。
オが正答です(59条2項)。各選択肢の詳細:ア(誤):常会は毎年1回・会期は「150日」(国会法10条)。憲法52条は毎年1回の召集を定めるのみで会期日数は規定していません。イ(正確ではあるが本問の正答はオ):特別国会(臨時会と区別)は54条1項に基づき、衆議院解散による総選挙の日から30日以内に召集されます(54条1項)。ウ(誤):53条は「いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」と定めており、内閣は召集義務を負います(ただし召集時期の判断には一定の余地があるとの議論もある)。エ(誤):56条1項は「両議院は、各々その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない」と定めており、定足数は総議員の3分の1以上です。エは定足数を「過半数」としている点が誤りです。「過半数」が要求されるのは、定足数を満たして開かれた会議における議決(出席議員の過半数・56条2項)の場面であり、定足数(会議を開くためのハードル)と議決数(賛否を決するための数)を取り違えさせる典型的な引っかけです。したがって本問で正しい記述はオ(59条2項)のみであり、正答はオとなります。
【国会の種類の整理】
国会は憲法上、常会(52条)・臨時会(53条)・特別会(54条)の三種類が定められています。常会(通常国会)は毎年1回、1月に召集されます(国会法2条・10条)。会期は国会法で150日と定められ、延長は一院の申し出で1回限り可能です(国会法12条)。臨時会は必要があれば内閣が決定して召集しますが、総議員の4分の1以上の要求があれば内閣は召集を決定しなければなりません(53条)。特別会は衆議院解散後の総選挙から30日以内に召集され、内閣総理大臣の指名(67条)が主要な議題となります(54条1項)。参議院の緊急集会(54条2項)は衆議院解散中の緊急措置であり、通常の「国会」ではありません。
【衆議院優越の体系と法律案の再可決】
法律案の再可決(59条2項)は衆議院優越の中核的な規定です。要件は「出席議員の3分の2以上の多数」であり、「総議員」ではなく「出席議員」基準であることに注意が必要です。この要件が厳しいため、実際には衆参協議会(59条3項)や参議院の60日みなし否決(59条4項)が活用されることが多いです。なお「みなし否決」は「衆議院で可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて60日以内に議決しない」場合に衆議院が参議院の否決とみなして再可決できる制度です(59条4項)。予算は30日、条約は30日(60条・61条)と異なる点を再確認します。
【定足数・議決数の整理】
憲法56条が定める「議事を開き議決するための出席者数(定足数)」は各議院の総議員の3分の1以上です(56条1項)。これは会議を開くためのハードル(低め設定)であり、実際の議決要件とは異なります。議決要件は出席議員の過半数が原則(56条2項)。3分の2以上の特別多数が必要な場合は①法律案の再可決(59条2項)②秘密会の開催(57条1項但書)③議員の資格争訟で議席を失わせる場合(55条但書)④憲法改正の発議(96条1項)などです。これらを整理した表(定足数1/3・通常議決過半数・特別多数2/3)が試験対策の要です。
【試験対策:数値の整理と注意点】
行政書士一般知識で狙われるのは、①会期(150日・国会法)②定足数(1/3)③通常議決(過半数)④法律案再可決(2/3)⑤憲法改正発議(2/3)⑥条約・予算の優越(30日)⑦法律案の優越(60日)の7数値です。本問のオは憲法59条2項の条文そのままであり、確実な正答です。アの「90日」やエの「過半数」という誘導は典型的な引っかけパターンです。
【根拠条文】
日本国憲法 第52条(常会)、第53条(臨時会)、第54条(特別会・緊急集会)、第56条(定足数・議決数)、第59条(法律案の議決・再可決)
国会法 第10条(常会会期150日)
【補足】
「3分の1=定足数、過半数=通常議決、3分の2=再可決・改憲発議」の三段階を一覧で暗記するのが最効率。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 日本国憲法 第52条・第53条・第54条・第56条・第59条 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。