ITパスポート 令和8年度 問3:business_strategyに関する問題
投資会社であるA社が、それぞれの投資戦略を採る場合の利益は、表のように予想される。A社がマクシミン戦略を採り、かつ、市況が好転した場合の利益はどれか。マクシミン戦略とは、戦略ごとに予想される利益の最小値が最も大きくなるように戦略を採用する理論である。\n[表] 投資戦略a: 市況が好転=20, 市況が悪化=-15 / 投資戦略b: 市況が好転=5, 市況が悪化=0
- a-15
- b0
- c5正答
- d20
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答えは c「5」 です。
マクシミン戦略は「最悪のときが一番マシになる方を選ぶ」という、安全重視の考え方です。
各戦略の"最悪の利益"を見ます。
・戦略a:好転20/悪化−15 → 最悪は −15
・戦略b:好転5/悪化0 → 最悪は 0
最悪同士をくらべると、b(0) のほうがa(−15)よりマシ。だから戦略bを選ぶ。
そのうえで「もし市況が好転したら?」を見ると、戦略bの好転は 5。
👉 覚え方:マクシ"ミン"=「最小(ミン)の中で最大(マクシ)を選ぶ」=石橋をたたく安全策。
なぜこれが正解か
正解は c(5)。マクシミン戦略は「各戦略の最小利益を求め、その中で最大の最小利益を持つ戦略を選ぶ」悲観的・安全志向の意思決定法。
各戦略の最小値
- 投資戦略a:好転20、悪化−15 → 最小値 −15
- 投資戦略b:好転5、悪化0 → 最小値 0
戦略の選択
最小値どうしを比較すると 0 > −15。最大の最小値を持つのは戦略b→これを採用。
設問の答え
採用した戦略bで「市況が好転した場合」の利益は 5。
ひっかけ注意
最終的に問われているのは"採用戦略の最小値"ではなく、採用した戦略で市況好転時の利益。マクシミンで戦略bを選んだ後、好転列の値5を読む二段階。最小値の0(悪化時)を答えにしないこと。
理論的背景
マクシミン戦略(Maximin Strategy)はゲーム理論の不確実性下意思決定モデルの一つで、1944年にフォン・ノイマンとモルゲンシュテルンが「ゲームの理論と経済行動」で体系化した。マクシミン(最悪の場合を最大化)は「最大後悔最小化(ミニマックス)」と並んで保守的意思決定の代表的手法である。戦略aの最小値=min(20, -15)=-15、戦略bの最小値=min(5, 0)=0。マクシミン基準では-15<0よりmax(-15, 0)=0となる戦略b(最小値が最大)を選択する。戦略bを選択したときに市況が好転した場合の利益は5となる。この戦略は「どんな最悪事態でも最小限の損失に留める」リスク回避型の選択であり、損失が致命的な結果をもたらす可能性がある場合(企業破綻リスクがある投資等)に有効とされる。
実務での使われ方
ゲーム理論・意思決定分析は経営戦略・投資判断・競争入札戦略・価格設定など広範に応用される。マクシミン戦略は特にダウンサイドリスク管理が重要な場面で用いられる。実務での具体例として、金融機関のストレステスト(最悪シナリオでの損失試算)・保険会社のリスク評価・製薬会社の新薬承認申請戦略(規制当局のどのシナリオでも承認が通る設計)などがある。対照的な手法としてマクシマックス戦略(最大利益を最大化・楽観的選択)があり、ベンチャー投資やスタートアップ戦略ではむしろ高リスク高リターンを選ぶマクシマックスが適切な場面も多い。現実の意思決定では期待値(確率×利益の総和)・VaR(バリューアットリスク)と組み合わせて使うケースが多い。
試験での位置づけ
マクシミン・マクシマックスはITパスポートのストラテジ系で定期的に出題される意思決定手法。本問の解法手順は「各戦略の最小値を抽出→最小値の中で最大のものを選ぶ→その戦略の特定市況下の利益を答える」という3ステップで機械的に解ける。最も多い誤答は「マクシミンを最大値で比較してしまう」パターン(マクシマックスとの混同)。マクシミンは「max(min(各戦略の最小値))」という入れ子操作で確実に記憶できる。近年は「不確実性下の意思決定」テーマとしてAIを活用した意思支援・予測分析(CRISP-DM等のデータ分析プロセス)と組み合わせた問題も増えている。基本情報・応用情報では期待値計算・デシジョンツリー(決定木)まで展開される。
選択肢の発展補足
選択肢a「-15」は戦略aを選んで市況が好転した場合の利益ではなく、戦略aの最悪値(市況悪化時)。これを答えてしまうのは「マクシミンで選んだ戦略がaだった」という誤解によるもの。選択肢b「0」は戦略bの最悪値(市況悪化時の利益)であり、マクシミン基準での判断材料となる最小値。選択肢d「20」は戦略aを選んで市況が好転した場合の利益。この「最大の期待利益20」に惹かれる選択はマクシマックス的思考によるもの。経営分析ではマクシミン戦略が最適である場面の判断として「自己資本比率が低い・財務基盤が脆弱な企業」「業界全体が縮小局面にある企業」が挙げられ、逆に「資金力があり長期投資ができる企業」ではマクシマックス的思考が合理的とされる。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和8年度 問3/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。