ITパスポート 令和8年度 問58:technology_elementに関する問題
UX デザインで用いられることがある構造化シナリオ法における,三つのシナリオはどれか。
- aアクティビティ,インタラクション,バリュー正答
- bアクティビティ,インタラクション,ペルソナ
- cアクティビティ,バリュー,ペルソナ
- dインタラクション,バリュー,ペルソナ
AI解説(初心者・標準・上級)
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答えは a です。
アプリやサービスを「使いやすくする」とき、いきなり作らず、3つの段階で考えます。①どんな良いこと(価値)をしたいか→②そのためにどんな活動(行動)をするか→③画面とどうやり取りするか、の順です。
この3つを順番に物語(シナリオ)にして練るのが構造化シナリオ法です。聞かれている「3つのシナリオの種類」は アクティビティ(活動)・インタラクション(やり取り)・バリュー(価値)です。
👉 覚え方:「価値→活動→やり取り」の3段階。
なお a〜d に出てくる「ペルソナ」は“架空のユーザー像”のことで、シナリオの種類とは別物。だから ペルソナを含む b・c・d は不適切です。
なぜこれが正解か
正解は a。構造化シナリオ法は、UXデザインでユーザー体験を段階的に具体化する手法で、3つのシナリオから成る。(1)バリューシナリオ=ユーザーに提供する価値、(2)アクティビティシナリオ=価値を実現するための行動、(3)インタラクションシナリオ=具体的な操作・画面とのやり取り。よって3要素は「アクティビティ・インタラクション・バリュー」。
各選択肢の解説
- b・c・d:いずれも「ペルソナ」を含むが、ペルソナはユーザー像を表す別概念で、シナリオの種類ではない。
- a:3つのシナリオを正しく並べた組合せ(正解)。
覚え方・ひっかけ注意
「ペルソナ」が選択肢に混ざっていたら、それを含むものは外す、と覚えると速い。シナリオは抽象(価値)→具体(操作)へ降りていく3段階、とイメージすると順序も整理できる。
理論的背景
構造化シナリオ法(Structured Scenario Method)はUXデザインの人間中心設計(HCD:Human-Centered Design)プロセスで用いられる要求分析・設計手法であり、アントン・ロッソン&ジョン・キャロルが体系化した。3種類のシナリオ(正解a:アクティビティ、インタラクション、バリュー)はユーザーの行動を3段階の抽象度で記述することで、設計者が「なぜ→何を→どのように」という思考順序でシステムを設計できるよう構造化している。
アクティビティシナリオ(Activity Scenario):「ユーザーが何を達成したいか(目標・活動)」を記述する最も抽象度の高いシナリオ。インタフェースの具体的な操作には言及しない。インタラクションシナリオ(Interaction Scenario):「ユーザーがシステムとどのように対話するか(操作手順・インタフェース要素との関わり)」を記述する中間抽象度のシナリオ。バリューシナリオ(Value Scenario):「ユーザーがその活動から何を得るか(価値・感情・意味)」を記述する最も本質的なシナリオ。バリューが最上位に位置するという認識が誤りになりやすく、実際の構造化シナリオ法では「アクティビティ→インタラクション→バリュー」の順で具体化が進む。
実務での使われ方
UXデザインの実務では構造化シナリオ法はペルソナ分析と組み合わせて使われることが多い。ペルソナ(具体的なユーザー像)を定義した後、そのペルソナがシステムを使う場面をアクティビティシナリオ→インタラクションシナリオ→バリューシナリオの順で描くことで、機能要件(インタラクション)だけでなく非機能要件・感情要件(バリュー)まで要求として明示化できる。本問の誤り選択肢がペルソナを含む理由は、構造化シナリオ法の「三要素」がアクティビティ・インタラクション・バリューであり、ペルソナはシナリオ記述の主体(主語)であって三要素の一つではないからである。
ISO 9241-210(人間工学:インタラクティブシステムの人間中心設計)では人間中心設計の6原則としてユーザー理解・参加型設計・迅速なプロトタイピング・反復設計・継続的評価・学際的チームを定義しており、構造化シナリオ法はこれらの原則を実践するための具体的手法として位置づけられる。
試験での位置づけ
構造化シナリオ法はITパスポートのテクノロジー系「テクノロジー要素」(具体的にはヒューマンインタフェース・UXデザイン分野)で出題される比較的新しいトピック。2022年シラバス改訂でUXデザイン・デザイン思考関連の出題が増加しており、本問の3要素(アクティビティ・インタラクション・バリュー)は確実に覚える必要がある。ペルソナとシナリオの関係(ペルソナはシナリオの主体であってシナリオの種類ではない)が典型的なひっかけポイントである。基本情報技術者試験ではデザイン思考の5フェーズ(共感・問題定義・アイデア発想・プロトタイプ・テスト)・ユーザーインタビュー手法・ユーザビリティ評価(ユーザビリティテスト・ヒューリスティック評価)まで出題範囲が拡大する。
選択肢の発展補足
ペルソナがシナリオの三要素に含まれない理由を発展的に理解する。ペルソナは1980年代にアラン・クーパーが提唱したUX手法で、「架空だが実際のユーザー調査データに基づいた具体的なユーザー像」を定義する。ペルソナにはデモグラフィック情報(年齢・職業・地域)・行動特性・技術リテラシー・ゴール・フラストレーションが含まれる。構造化シナリオ法ではこのペルソナが「誰が」という主語となり、3種類のシナリオが「何を」「どのように」「なぜ」という述語を構成する関係にある。誤り選択肢bとcがペルソナを3要素の一つとして提示しているのは、UXデザインでペルソナとシナリオが常にセットで使われることから生じる混同を試す問題設計である。実務でも「ペルソナシナリオ法」と「構造化シナリオ法」を混同する事例は多く、試験での識別能力が実務能力と直結する。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和8年度 問58/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。