問題
自律神経系に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はエです。
交感神経は「戦う・逃げる」モードを担い、気管支を拡張させて酸素を多く取り込めるようにします。
アは誤りです。心拍数低下と消化管蠕動促進は「副交感神経(休息・消化モード)」の作用であり、交感神経の作用ではありません。ウも誤りです。瞳孔の縮小(縮瞳)は副交感神経の作用で、散大(散瞳)が交感神経の作用です。
イも誤りです。交感神経と副交感神経が逆で、交感神経の節後線維の末端からはノルアドレナリン、副交感神経の節後線維の末端からはアセチルコリンが放出されます(汗腺を支配する交感神経線維は例外的にアセチルコリン)。オは誤りです。抗コリン薬は副交感神経の作用を「遮断(阻害)」するもので、「増強」ではありません。副交感神経が遮断されると口渇・便秘・尿閉・散瞳が起こります。
各選択肢の解説:
- ア(誤): 記述の内容(心拍数低下・消化管蠕動促進)は副交感神経(rest-and-digest反応)の作用です。交感神経(fight-or-flight反応)が優位になると、心拍数増加・血圧上昇・消化管運動抑制・気管支拡張・瞳孔散大・汗腺活性化が起こります。
- イ(誤): 神経伝達物質が逆です。手引きでは「交感神経の節後線維の末端から放出される神経伝達物質はノルアドレナリンであり、副交感神経の節後線維の末端から放出される神経伝達物質はアセチルコリンである」とされています。ただし、汗腺を支配する交感神経線維の末端では、例外的にアセチルコリンが放出されます。
- ウ(誤): 交感神経(アドレナリン作動性・α₁受容体)→瞳孔散大筋収縮→散瞳。副交感神経(コリン作動性・M₃受容体)→瞳孔括約筋収縮→縮瞳。暗所・緊張時(交感神経)→散瞳(光を取り込む)、明所・リラックス(副交感神経)→縮瞳(光量調節)。
- エ(正): 交感神経活性化→β₂アドレナリン受容体(気管支平滑筋)刺激→気管支拡張→換気量増大。これは激しい運動・恐怖・ストレス時の酸素需要増大に対応する生理反応(fight-or-flight response)の一部です。
- オ(誤): 抗コリン薬(副交感神経遮断薬・ムスカリン受容体拮抗薬)は副交感神経の作用を「遮断(阻害)」します。その結果、口渇(唾液分泌抑制)・便秘(消化管蠕動抑制)・尿閉(膀胱排尿筋弛緩)・散瞳(縮瞳作用の遮断)・心拍数増加(迷走神経制動の遮断)が起こります。副交感神経を「増強」するとこれらは逆になります。
【自律神経系の系統的理解:解剖・生理・薬理の統合】
自律神経系は交感神経系(Sympathetic NS)と副交感神経系(Parasympathetic NS)から構成され、多くの内臓器官を二重支配します。
神経伝達物質と受容体の体系:
交感神経(アドレナリン作動性):
- 節前線維:アセチルコリン→ニコチン受容体(神経節)
- 節後線維:ノルアドレナリン(大部分)・アドレナリン(副腎髄質から血中に分泌)
- 受容体:αアドレナリン受容体(α₁・α₂)・βアドレナリン受容体(β₁・β₂・β₃)
副交感神経(コリン作動性):
- 節前線維・節後線維ともにアセチルコリン
- 神経節での受容体:ニコチン受容体
- 末梢での受容体:ムスカリン受容体(M₁〜M₅)
【交感神経と副交感神経の臓器別作用対比表】
| 臓器 | 交感神経 | 副交感神経 |
|---|---|---|
| 心臓(心拍数) | 増加(β₁) | 低下(M₂) |
| 心臓(収縮力) | 増大(β₁) | 低下(M₂) |
| 気管支 | 拡張(β₂) | 収縮(M₃) |
| 消化管(運動) | 抑制(α・β) | 促進(M₃) |
| 消化管(括約筋) | 収縮(α₁) | 弛緩(M₃) |
| 瞳孔 | 散大(散瞳・α₁) | 縮小(縮瞳・M₃) |
| 血管(皮膚・内臓) | 収縮(α₁) | 拡張(M₃・一部) |
| 膀胱(排尿筋) | 弛緩(β₂・尿貯留) | 収縮(M₃・排尿促進) |
| 膀胱(内括約筋) | 収縮(α₁・尿保持) | 弛緩(M₃・排尿) |
| 汗腺 | 分泌促進(M₃コリン作動性) | ー |
| 唾液腺 | 少量の粘調唾液(α₁) | 大量の漿液性唾液(M₃) |
【OTC薬の作用機序を自律神経で理解する】
自律神経薬理は、OTC薬の作用・副作用・禁忌の理解に直結します:
A. 抗コリン作用を持つOTC成分(副交感神経遮断):
- スコポラミン(乗り物酔い薬)・ベラドンナアルカロイド(胃腸薬の一部)・ジフェンヒドラミン(第1世代抗ヒスタミン薬)の抗コリン作用
- 副作用:散瞳による目のかすみや異常な眩しさ、顔のほてり、頭痛、眠気、口渇、便秘、排尿困難等
- 排尿困難の症状がある人、心臓病又は緑内障の診断を受けた人では症状の悪化を招くおそれがあり、使用前に医師・薬剤師に相談する
B. 交感神経刺激作用を持つOTC成分(アドレナリン作動性):
- プソイドエフェドリン(鼻炎用内服薬):交感神経系を刺激して鼻粘膜の血管を収縮させ、鼻粘膜の充血や腫れを和らげる
- 心臓病、高血圧、糖尿病又は甲状腺機能障害の診断を受けた人、前立腺肥大による排尿困難の症状がある人では症状を悪化させるおそれがあり、使用を避ける
C. 交感神経遮断作用(β遮断薬は処方薬が主):
- β遮断薬は心拍数低下・血圧低下に使用されるが、気管支収縮を引き起こす→喘息患者禁忌
- β遮断薬は一般用医薬品には配合されていない(緑内障用点眼薬などは医療用)
【試験での位置づけ】
自律神経問題は「交感=戦う(心拍増・気管支拡張・散瞳・消化抑制)」「副交感=休む(心拍減・気管支収縮・縮瞳・消化促進)」という対比表を完全に覚えることが鉄則です。また「抗コリン成分は副交感神経系の働きを抑える(副作用:散瞳による目のかすみ・口渇・便秘・排尿困難等)」「アドレナリン作動成分(プソイドエフェドリン)は高血圧等の診断を受けた人は使用を避ける」、そして「交感神経の節後線維はノルアドレナリン・副交感神経の節後線維はアセチルコリン」という伝達物質の対応と実薬との接続が第3章・第4章の問題にも波及します。
【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第2章Ⅰ-4-2)
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第2章Ⅰ-4-2)「末梢神経系」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。

