第2章 人体の働きと医薬品5人体の働きと医薬品

登録販売者 第2章 人体の働きと医薬品 問5:人体の働きと医薬品

自律神経系に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 交感神経が優位になると、心拍数が低下し、消化管の蠕動運動が促進される。これは身体が食事・休息モードに入ったときに起こる反応である。
  • 副交感神経の節後線維はアセチルコリンを神経伝達物質として放出し、受容体(ムスカリン受容体)を介して心臓・平滑筋・分泌腺に作用する。
  • 交感神経が瞳孔に作用すると瞳孔が縮小(縮瞳)し、副交感神経が作用すると瞳孔が散大(散瞳)する。
  • 交感神経が活性化すると気管支が弛緩(拡張)し、多くの空気を取り込めるようになる。これは「闘争か逃走か(fight-or-flight)」反応の一部である。正答
  • 抗コリン薬(副交感神経遮断薬)は副交感神経の作用を増強するため、口渇・便秘・尿閉・瞳孔散大などの症状を引き起こす。
正答:交感神経が活性化すると気管支が弛緩(拡張)し、多くの空気を取り込めるようになる。これは「闘争か逃走か(fight-or-flight)」反応の一部である。

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正答はエです。

交感神経は「戦う・逃げる」モードを担い、気管支を拡張させて酸素を多く取り込めるようにします。

アは誤りです。心拍数低下と消化管蠕動促進は「副交感神経(休息・消化モード)」の作用であり、交感神経の作用ではありません。ウも誤りです。瞳孔の縮小(縮瞳)は副交感神経の作用で、散大(散瞳)が交感神経の作用です。

イは正しく、副交感神経がアセチルコリンを放出してムスカリン受容体に作用することを正確に述べています。オは誤りです。抗コリン薬は副交感神経の作用を「遮断(阻害)」するもので、「増強」ではありません。副交感神経が遮断されると口渇・便秘・尿閉・散瞳が起こります。

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各選択肢の解説:

  • ア(誤): 記述の内容(心拍数低下・消化管蠕動促進)は副交感神経(rest-and-digest反応)の作用です。交感神経(fight-or-flight反応)が優位になると、心拍数増加・血圧上昇・消化管運動抑制・気管支拡張・瞳孔散大・汗腺活性化が起こります。
  • イ(正): 副交感神経の節後線維はコリン作動性で、アセチルコリンを放出します。ムスカリン受容体(M1〜M5型)を介して、心臓(心拍数低下・収縮力低下)・平滑筋(消化管収縮・気管支収縮・膀胱収縮)・外分泌腺(唾液・涙液・胃液分泌促進)に作用します。
  • ウ(誤): 交感神経(アドレナリン作動性・α₁受容体)→瞳孔散大筋収縮→散瞳。副交感神経(コリン作動性・M₃受容体)→瞳孔括約筋収縮→縮瞳。暗所・緊張時(交感神経)→散瞳(光を取り込む)、明所・リラックス(副交感神経)→縮瞳(光量調節)。
  • エ(正): 交感神経活性化→β₂アドレナリン受容体(気管支平滑筋)刺激→気管支拡張→換気量増大。これは激しい運動・恐怖・ストレス時の酸素需要増大に対応する生理反応(fight-or-flight response)の一部です。
  • オ(誤): 抗コリン薬(副交感神経遮断薬・ムスカリン受容体拮抗薬)は副交感神経の作用を「遮断(阻害)」します。その結果、口渇(唾液分泌抑制)・便秘(消化管蠕動抑制)・尿閉(膀胱排尿筋弛緩)・散瞳(縮瞳作用の遮断)・心拍数増加(迷走神経制動の遮断)が起こります。副交感神経を「増強」するとこれらは逆になります。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【自律神経系の系統的理解:解剖・生理・薬理の統合】

自律神経系は交感神経系(Sympathetic NS)と副交感神経系(Parasympathetic NS)から構成され、多くの内臓器官を二重支配します。

神経伝達物質と受容体の体系:

交感神経(アドレナリン作動性):

  • 節前線維:アセチルコリン→ニコチン受容体(神経節)
  • 節後線維:ノルアドレナリン(大部分)・アドレナリン(副腎髄質から血中に分泌)
  • 受容体:αアドレナリン受容体(α₁・α₂)・βアドレナリン受容体(β₁・β₂・β₃)

副交感神経(コリン作動性):

  • 節前線維・節後線維ともにアセチルコリン
  • 神経節での受容体:ニコチン受容体
  • 末梢での受容体:ムスカリン受容体(M₁〜M₅)

【交感神経と副交感神経の臓器別作用対比表】

| 臓器 | 交感神経 | 副交感神経 |

|---|---|---|

| 心臓(心拍数) | 増加(β₁) | 低下(M₂) |

| 心臓(収縮力) | 増大(β₁) | 低下(M₂) |

| 気管支 | 拡張(β₂) | 収縮(M₃) |

| 消化管(運動) | 抑制(α・β) | 促進(M₃) |

| 消化管(括約筋) | 収縮(α₁) | 弛緩(M₃) |

| 瞳孔 | 散大(散瞳・α₁) | 縮小(縮瞳・M₃) |

| 血管(皮膚・内臓) | 収縮(α₁) | 拡張(M₃・一部) |

| 膀胱(排尿筋) | 弛緩(β₂・尿貯留) | 収縮(M₃・排尿促進) |

| 膀胱(内括約筋) | 収縮(α₁・尿保持) | 弛緩(M₃・排尿) |

| 汗腺 | 分泌促進(M₃コリン作動性) | ー |

| 唾液腺 | 少量の粘調唾液(α₁) | 大量の漿液性唾液(M₃) |

【OTC薬の作用機序を自律神経で理解する】

自律神経薬理は、OTC薬の作用・副作用・禁忌の理解に直結します:

A. 抗コリン作用を持つOTC成分(副交感神経遮断):

  • スコポラミン(乗り物酔い薬)・ベラドンナアルカロイド(胃腸薬の一部)・ジフェンヒドラミン(第1世代抗ヒスタミン薬)の抗コリン作用
  • 副作用:口渇・便秘・尿閉・散瞳・動悸(心拍数増加)
  • 禁忌:緑内障(眼圧上昇)・前立腺肥大症(尿閉悪化)

B. 交感神経刺激作用を持つOTC成分(アドレナリン作動性):

  • プソイドエフェドリン(鼻炎薬の鼻粘膜充血除去成分):α₁受容体刺激→血管収縮→鼻粘膜充血改善
  • 禁忌:高血圧・心臓病・甲状腺機能亢進症(交感神経系の過剰刺激)

C. 交感神経遮断作用(β遮断薬は処方薬が主):

  • β遮断薬は心拍数低下・血圧低下に使用されるが、気管支収縮を引き起こす→喘息患者禁忌
  • OTCでは直接的な交感神経遮断薬は少ないが、一部の眼科用薬にβ遮断薬を含む点眼薬がある

【試験での位置づけ】

自律神経問題は「交感=戦う(心拍増・気管支拡張・散瞳・消化抑制)」「副交感=休む(心拍減・気管支収縮・縮瞳・消化促進)」という対比表を完全に覚えることが鉄則です。また「抗コリン薬は副交感神経を遮断(副作用:口渇・尿閉・散瞳・便秘・動悸)」「交感神経刺激成分(プソイドエフェドリン)は高血圧禁忌」という実薬との接続が第3章・第4章の問題にも波及します。

【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第2章第4節

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 自律神経系を手引き・標準薬理と突合。①交感神経=fight-or-flight(心拍増・気管支拡張・散瞳・消化抑制)、副交感神経=rest-and-digest(心拍減・気管支収縮・縮瞳・消化促進)の対比が核心で、設問エ「交感神経活性化で気管支拡張」は正しく正答エは一意に確定。②設問ア(交感で心拍低下・消化促進)・ウ(交感で縮瞳)・オ(抗コリン薬が副交感を増強)はいずれも誤りで解説の否定が正確。③汗腺がコリン作動性交感神経支配(発汗は交感神経活性化で亢進)という特殊性は手引きと整合。④受容体サブタイプ(M₁〜M₅・α/β)は教育的補足で正答判定に影響なし。設問・正答の事実誤りなし。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第2章 第4節「神経系」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

自律神経系・交感神経と副交感神経の支配臓器への作用対比頻出度A

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