第2章 人体の働きと医薬品6人体の働きと医薬品

登録販売者 第2章 人体の働きと医薬品 問6:人体の働きと医薬品

皮膚の構造と薬物の経皮吸収に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 皮膚は外側から表皮・真皮・皮下組織の3層構造からなり、外部環境からの物理的保護・体温調節・感覚受容などの機能を持つ。
  • 表皮の最外層である角質層は、ケラチンと呼ばれるタンパク質と皮脂などの脂質によって構成され、外部からの薬物・化学物質の透過に対する主要な障壁となっている。
  • 外用薬の経皮吸収は、薬物が角質層を通過する際に障壁を受けるため、脂溶性が高い薬物よりも水溶性が高い薬物の方が角質層を透過しやすい。正答
  • 皮膚の同じ部位に副腎皮質ステロイドの外用薬を長期間繰り返し塗布すると、皮膚の萎縮・血管拡張(毛細血管拡張)・感染症の誘発などの副作用が生じることがある。
  • 汗腺・皮脂腺・毛包は付属器官であり、一部の薬物はこれらの経路(毛包・皮脂腺経路)を介して経皮吸収の初期段階で透過することがある。
正答:外用薬の経皮吸収は、薬物が角質層を通過する際に障壁を受けるため、脂溶性が高い薬物よりも水溶性が高い薬物の方が角質層を透過しやすい。

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正答はウ(誤っているもの)です。

角質層は脂質(ケラチン・皮脂)で構成されているため、水溶性の薬物よりも脂溶性の高い薬物の方が角質層を透過しやすいです。ウは「水溶性が高い薬物の方が透過しやすい」と述べており、逆説的な誤りです。

アは正しく、皮膚の3層構造(表皮・真皮・皮下組織)の基本を述べています。イは角質層が経皮吸収の障壁となることを正確に説明しています。エは正しく、ステロイド外用薬の長期使用による皮膚萎縮等の副作用を正確に述べています。オも正しく、毛包・皮脂腺が薬物の初期透過経路となりうることを述べています。

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各選択肢の解説:

  • ア(正): 皮膚は体重の約16%を占める最大の臓器で、外側から①表皮(約0.1〜0.3mm)②真皮(約1〜4mm)③皮下組織(脂肪組織)の3層からなります。主な機能は外部からの物理的・化学的・微生物学的保護、体温調節(汗腺・血管)、感覚受容(触圧温痛覚)です。
  • イ(正): 表皮の角質層(Stratum corneum)は死んだケラチノサイト(角質細胞)が積み重なった構造で、細胞間にはセラミド・コレステロール・脂肪酸などの脂質二重層が充填されています。この脂質豊富な構造が、外部からの化学物質・薬物・微生物の透過に対する主要な物理的・化学的障壁として機能します。
  • ウ(誤・正答): 角質層は脂質が豊富な障壁であるため、脂溶性(親油性・非極性)が高い薬物の方が角質層の脂質層に溶けて透過しやすくなります。水溶性(親水性・極性)が高い薬物は角質層の脂質層を通過しにくく、経皮吸収が制限されます。ただし水溶性薬物でも毛包・汗腺経路(付属器官経路)から一部透過することがあります。
  • エ(正): ステロイド外用薬の長期・大量・広範囲使用による皮膚副作用:①皮膚萎縮(コラーゲン産生抑制)②毛細血管拡張(毛細血管の脆弱化)③紫斑③感染症誘発・悪化(免疫抑制による細菌・真菌・ウイルス感染)④にきびの悪化(毛包閉塞・感染)。これらのため、長期使用・顔面への使用・乳幼児への使用は特に注意が必要です。
  • オ(正): 経皮吸収経路は①経細胞経路(角質細胞を通る)②細胞間経路(角質細胞間の脂質層を通る)③付属器官経路(毛包・皮脂腺・汗腺)に分類されます。付属器官は面積的には小さいですが、拡散距離が短く薬物が素早く透過できるため、特に吸収初期・薬物が大分子または荷電した場合に相対的に重要な経路となります。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【経皮吸収の薬物動態:皮膚を通過する薬物設計の視点】

経皮吸収は①角質層透過②表皮・真皮通過③真皮毛細血管への取り込み→全身循環の3段階で構成され、律速段階は通常①角質層の透過です。

Fick拡散の法則(経皮吸収の基礎):

フラックス(J) = D × ΔC / h

(D:拡散係数、ΔC:角質層両面の濃度差、h:角質層の厚さ)

経皮吸収を増加させる因子:

  • 脂溶性(log P:分配係数): log P = 1〜3が最適(低すぎると角質層通過が難、高すぎると真皮の水相に移行しにくい)
  • 分子量: 500Da以下で経皮吸収しやすい(「500Da則」)
  • 角質層水和: 密封包帯・保湿→角質層が膨潤→透過性向上
  • 部位差: 陰嚢・頭皮・顔面(特に眼窩周囲)>体幹>手掌・足底の順で透過性が高い(角質層の厚さと脂質量の差)
  • 疾患・炎症: 湿疹・熱傷・ステロイドによる萎縮→角質層バリア機能低下→吸収増大

【経皮製剤(貼付剤・外用薬)の種類と特徴】

経皮投与の利点:

  • 初回通過効果を回避できる(全身循環に直接入る)
  • 持続的な血中濃度維持が可能(貼付剤)
  • 局所に高濃度を維持しながら全身副作用を軽減できる

主な経皮製剤の種類:

  • 軟膏(Ointment): 基剤は油脂性・吸水性。皮膚保護・保湿効果高い。洗い流しにくい。
  • クリーム(Cream): 水中油型または油中水型乳剤。塗りやすく乾燥感が少ない。
  • ゲル(Gel): 水性基剤にポリマーを分散。べたつかない・速乾性。
  • ローション(Lotion): 水性基剤。広い範囲に塗りやすい。
  • 貼付剤(Patch/Plaster): 薬物リザーバーを膜で制御放出。持続的吸収。ニトログリセリン・フェンタニル等の処方薬で活用。

【外用ステロイドの強度分類とOTC薬での使用】

副腎皮質ステロイドの外用薬は抗炎症・免疫抑制作用を持ち、皮膚炎・湿疹・じんましん等に使用されます。

強度分類(処方薬含む):

Strongest(最強)>Very Strong(超強力)>Strong(強力)>Medium(中等度)>Mild(弱い)

OTCの外用ステロイドはMild(最弱)またはMedium(中等度)相当のものが含まれます。

OTCでの使用制限(添付文書記載):

  • 使用期間:原則として1週間以内(症状が改善しない場合は医療機関受診)
  • 部位制限:目の周囲・粘膜・広範囲・乳幼児への使用は注意または禁忌
  • 長期使用禁忌の理由:皮膚萎縮・感染誘発・接触性皮膚炎(ステロイドアレルギー)

【皮膚の感覚受容器と神経支配】

真皮・皮下組織には各種感覚受容器が分布:

  • マイスナー小体(触覚・手指・足底)
  • パチニ小体(圧覚・振動覚)
  • メルケル盤(触圧覚)
  • ルフィニ終末(伸展覚・温覚)
  • 自由神経終末(痛覚・温度覚・かゆみ):ポリモーダル侵害受容器

かゆみ(pruritus)の機序:ヒスタミン・プロスタグランジン・サブスタンスP等がC線維の自由神経終末を刺激→脊髄→大脳皮質(かゆみ知覚)。抗ヒスタミン外用薬はヒスタミン誘発性かゆみに有効。

【試験での位置づけ】

「角質層は脂質豊富な障壁→脂溶性薬物が透過しやすい」が経皮吸収問題の核心です。ステロイド外用薬の長期使用副作用(皮膚萎縮・感染誘発)は第3章(外皮用薬)ともリンクする頻出ポイントです。「部位差(顔・陰嚢は吸収が高い)」「密封包帯で吸収増大」は応用的な知識として押さえておくと得点につながります。

【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第2章第5節

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 外皮系を手引き・標準薬理と突合。①皮膚3層(表皮・真皮・皮下組織)、角質層がケラチン+脂質で経皮吸収の主障壁、という記述が正確。②角質層は脂質豊富のため脂溶性薬物の方が透過しやすいのが核心で、設問ウ「水溶性薬物の方が透過しやすい」は明白な誤り→正答ウは一意に確定。③ステロイド外用薬の長期反復塗布による皮膚萎縮・毛細血管拡張・感染誘発は正確。④「500Da則」「部位差」「ステロイド強度分類」はFick拡散ほか教育的補足で正答判定に影響なし。設問・正答の事実誤りなし。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第2章 第5節「外皮系」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

皮膚の三層構造と薬物の経皮吸収・角質層の役割頻出度B

第2章 人体の働きと医薬品の他の問題

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2
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