労働衛生(有害業務以外)6採光照明・換気・事務室環境

衛生管理者 労働衛生(有害業務以外) 問6:採光照明・換気・事務室環境

事務室における労働環境に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 事務室の照明については、一般的な事務作業を行う場合は700ルクス以上、付随的な事務作業を行う場合は500ルクス以上の照度を確保しなければならない。正答
  • 事務室の空気中のCO₂(二酸化炭素)濃度の基準は1,000ppm以下とされており、この値を超えると換気が不十分であると判断される。
  • 事務室における必要換気量は、在室する人数・発熱量に応じて算出され、CO₂濃度を基準値以下に保つことが換気量設計の主要な目的の一つである。
  • 採光に関して、直接照明の方が間接照明より照度のばらつきが大きいため、精密作業には間接照明または半間接照明が適している。
  • 事務室のCO(一酸化炭素)濃度の基準は10ppm以下とされており、CO₂濃度の基準値よりも大幅に低い数値が設定されている。
正答:事務室の照明については、一般的な事務作業を行う場合は700ルクス以上、付随的な事務作業を行う場合は500ルクス以上の照度を確保しなければならない。

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誤りはアです。令和4年12月施行の事務所衛生基準規則(事務所則)第10条改正により、事務室の照度基準は2区分に簡素化されました。正しい数値は一般的な事務作業=300ルクス以上 / 付随的な事務作業=150ルクス以上です。選択肢アの「一般的な事務作業700ルクス以上・付随的な事務作業500ルクス以上」はどちらも誤った数値です。

改正前は「精密な作業300ルクス・普通の作業150ルクス・粗な作業70ルクス」の3区分でしたが、令和4年12月以降は事務所について上記2区分(300/150)に変わりました。この改正後の数値を正確に覚えましょう。

CO₂の基準(1,000ppm・イ)、COの基準(10ppm・オ)もよく問われます。

標準試験対策の基準レベル

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(誤): 事務所則第10条第1項の照度基準(令和4年12月施行)は、一般的な事務作業=300ルクス以上 / 付随的な事務作業=150ルクス以上の2区分です。選択肢の「一般的な事務作業700ルクス・付随的な事務作業500ルクス」はいずれも誤った数値です。
  • イ(正): 空気調和設備または機械換気設備を設けている場合、事務所則第5条第1項第2号によりCO₂濃度の基準は1,000ppm(0.1%)以下です。1,000ppmを超えると換気が不十分であることの目安となります(大気中CO₂は約400ppm)。なお同設備がない場合の一般基準(第3条第1項第3号)はCO₂ 0.5%(5,000ppm)以下ですが、実務・試験で問われるのは設備設置時の1,000ppm基準です。
  • ウ(正): 換気量設計において、CO₂濃度の管理は在室者の呼吸によるCO₂排出量と換気量のバランスで決まります。必要換気量の計算式: Q = CO₂発生量 ÷ (基準濃度 - 外気CO₂濃度)。
  • エ(正): 間接照明は光が天井や壁で反射してから作業面に届くため、照度のばらつきが小さく(均一な明るさ)、グレア(まぶしさ)が少ない特徴があります。精密作業には均一な照明が適しています。
  • オ(正): 空気調和設備または機械換気設備を設けている場合、事務所則第5条第1項第2号によりCO濃度の基準は10ppm以下です。CO₂が1,000ppm以下に対して、COは10ppm以下と大幅に低い(100倍の差)。COは毒性が高いため(ヘモグロビンとの強い親和性)、厳しい基準が設定されています。
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【理論的背景】

事務室・作業室の空気環境や採光照明基準は、労働者の健康障害(眼精疲労・頭痛・集中力低下・慢性疲労等)を防止するために設定されています。デスクワーク中心の事務室では、①適切な照度と光の質(グレアの防止・照度の均一性)②換気(CO₂・CO濃度の管理・温湿度)③情報機器作業時の特有の配慮(モニター輝度・フォントサイズ・VDT症候群)の3要素が重要です。

照度基準の目的は単に「明るさの確保」だけでなく、過度な明暗差・グレア(まぶしさ)の排除、作業内容に応じた最適な照明環境の提供です。集中力を要する事務作業ほど高照度が必要な理由は、細かい作業で目の酷使が大きいため、十分な照度がないと眼精疲労・視力低下・作業ミスの原因になるからです。

【実務・条文構造】

照度基準(事務所則第10条第1項・令和4年12月施行):

  • 一般的な事務作業: 300ルクス以上(パソコン入力・一般的な書類作成等)
  • 付随的な事務作業: 150ルクス以上(資料の検索・受付・打合せ等の補助的作業)

改正前(令和4年11月以前)の旧3区分:

  • 精密な作業: 300ルクス以上 / 普通の作業: 150ルクス以上 / 粗な作業: 70ルクス以上

(令和4年12月の事務所則改正で、事務室については上記の「一般的な事務作業300lx・付随的な事務作業150lx」の2区分に簡素化された)

事務所衛生基準規則(事務所則)の空気環境基準(空気調和設備または機械換気設備を設けている場合・第5条第1項):

  • CO₂(二酸化炭素): 1,000ppm(0.1%)以下
  • CO(一酸化炭素): 10ppm以下
  • 浮遊粉じん: 0.15mg/m³以下
  • ホルムアルデヒド: 0.1mg/m³以下
  • 気流: 0.5m/s以下
  • 室温: 18℃以上28℃以下(努力目標)・相対湿度: 40%以上70%以下(努力目標)

(設備がない場合の一般基準は第3条第1項:CO 50ppm以下・CO₂ 0.5%(5,000ppm)以下)

必要換気量の計算(CO₂ベース):

  • 式: Q(必要換気量 m³/h)= 発生CO₂量(m³/h)÷(管理濃度 - 外気CO₂濃度)
  • 人一人当たりのCO₂発生量: 約0.02〜0.03m³/h(安静時)
  • 外気CO₂濃度: 約0.04%(400ppm)= 0.0004
  • 基準濃度: 0.001(1,000ppm)= 0.001
  • 計算例: 一人当たりのCO₂発生量0.02m³/h÷(0.001-0.0004) = 約33m³/h/人

照明方式の分類と特性:

  • 直接照明: 照射効率が高い・照度が強い・影ができやすい・まぶしさ(グレア)が出やすい
  • 間接照明: 天井・壁反射→均一な光・グレアが少ない・精密作業に向く
  • 半直接・半間接照明: 中間的な特性

【試験での位置づけ】

事務室の環境基準問題では「照度基準(一般的な事務作業=300lx以上・付随的な事務作業=150lx以上/令和4年12月施行の事務所則)」「CO₂基準(1,000ppm)」「CO基準(10ppm)」の3つの数値が最頻出です。特にアのような「照度の数値を実際より高く(または低く)誤って記述する」誤りは典型的な引っかけです。令和4年12月の事務所則改正で「精密300・普通150・粗70」の旧3区分から「一般的事務作業300・付随的事務作業150」の2区分に変わった点は改正初年度以降の頻出ポイントです。直接照明vs間接照明の特性の違い(グレアの有無・照度均一性)も繰り返し出題されます。CO₂とCOの比較(1,000ppm vs 10ppm)の数値の大きさの違いとその理由(COの毒性が高い)も理解しておくと記憶が定着します。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 令和4年12月施行の事務所則第10条改正により、事務室の照度基準は従来の3区分(精密300lx・普通150lx・粗70lx)から、事務作業を対象とした2区分(一般的な事務作業300lx以上・付随的な事務作業150lx以上)に簡素化されました。「粗な作業70lx」の区分は事務室の照度基準からは廃止されています。情報機器作業(VDT)ガイドラインでは、ディスプレイ画面上は500lx以下・書類およびキーボード面は300lx以上を目安とし、モニターへの映り込みを防ぐ照明設計が求められます。
  • イ: CO₂濃度1,000ppmは換気不十分の指標として広く用いられていますが、CO₂自体は1,000〜2,000ppm程度では直接的な健康被害は少なく、換気が不十分であることの「代理指標」として用いられています(CO₂が高ければ他の汚染物質・ウイルス等も蓄積している可能性がある)。コロナ禍以降、CO₂モニターの普及で換気管理の重要性が再認識されました。
  • ウ: 必要換気量の計算は試験で直接出題される場合があります。式の分子(CO₂発生量)と分母(濃度差)を逆にする誤りが典型的なひっかけです。
  • エ: 情報機器作業(パソコン作業)では、画面への映り込み(グレア)防止のため間接照明・シーリングライトの工夫が重要です。厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(令和元年)では画面の明るさ・コントラスト・映り込みの防止についての指針が示されています。
  • オ: COが10ppmという厳しい基準の理由は、COの急性毒性(ヘモグロビンとの親和性がO₂の200倍以上・一酸化炭素中毒のリスク)にあります。事務室でCO濃度が問題になるのは、不完全燃焼を起こすガス暖房・石油ストーブ等の使用、駐車場・荷捌き場に接する換気不十分な部屋等の場合です。

【根拠法令】事務所衛生基準規則 第10条第1項(照度基準・令和4年12月施行:一般的な事務作業300lx以上/付随的な事務作業150lx以上)、第5条第1項第2号(空気調和設備等設置時:CO₂ 1,000ppm以下・CO 10ppm以下)

【補足】事務室の照度基準は令和4年12月の事務所則改正で2区分化(一般的な事務作業300lx以上・付随的な事務作業150lx以上)。改正前は3区分(精密300・普通150・粗70)。CO₂=1,000ppm、CO=10ppm(両方の数値と単位を区別して覚える)。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 事務所衛生基準規則(事務所則)第10条第1項(照度基準・令和4年12月施行)・第5条第1項第2号(空気調和設備等を設けている場合の空気環境基準=CO 10ppm以下・CO₂ 1,000ppm(0.1%)以下)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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