衛生管理者 関係法令(有害業務以外) 問1:安全衛生管理体制
常時使用する労働者数が600人の製造業の事業場における衛生管理者の選任に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア衛生管理者は、その事業場に専属の者を選任しなければならない。正答
- イ衛生管理者のうち少なくとも1人を専任の衛生管理者としなければならない。
- ウ少なくとも3人の衛生管理者を選任しなければならない。
- エ衛生管理者には、第一種衛生管理者免許を有する者のほか、医師や歯科医師を選任することができる。
- オ衛生管理者は、少なくとも毎週1回作業場等を巡視しなければならない。
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選択肢アが誤りです。衛生管理者は「専属(その事業場に専属して働く者)」でなければならない規定は、常時1,000人を超える事業場または一定の有害業務に500人以上従事させる事業場に適用されます。問題の600人の製造業(有害業務条件なし)では専属要件は発生しないため、アは誤りです。
正しい要件を確認すると、常時500人超1,000人以下の事業場では衛生管理者を3人以上選任し(ウ: 正しい)、そのうち少なくとも1人を専任(イ: 正しい)にする必要があります。週1回の巡視義務(オ: 正しい)と、第一種免許・医師等の資格要件(エ: 正しい)も確認しておきましょう。
衛生管理者の選任人数と選任要件の全体像:
安衛則第7条は、事業場の労働者数に応じた衛生管理者の最低選任人数を定めています。50人以上200人以下で1人以上、200人超500人以下で2人以上、500人超1,000人以下で3人以上、1,000人超2,000人以下で4人以上と段階的に増加します。
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(誤): 「専属」の要件が課されるのは、常時1,000人を超える事業場か、特定の有害業務に500人以上を従事させる事業場です。600人・有害業務条件なしでは専属要件は不要。「専任(他の業務を兼任しない)」と「専属(他の事業場との兼任禁止)」を混同させる典型的な出題パターンです。
- イ(正): 500人超の事業場では少なくとも1人を専任衛生管理者にする義務があります(安衛則第10条)。
- ウ(正): 500人超1,000人以下は3人以上の選任が必要です。
- エ(正): 第一種衛生管理者免許、第二種衛生管理者免許(製造業では不可・有害業務外なら可)、医師・歯科医師等が資格要件を満たします。製造業は第一種または医師等が必要です。
- オ(正): 安衛則第11条により、衛生管理者は少なくとも週1回作業場等を巡視しなければなりません。
【理論的背景】
衛生管理者制度は、一定規模以上の事業場において、事業者が専門的知識を有する者を選任して労働衛生管理を実施させることを義務づける制度です(安衛法第12条)。「専任」と「専属」は異なる概念であり、この区別が試験で繰り返し問われます。専任とは「衛生管理者の業務のみに従事すること(他の職務を兼任しない)」であり、専属とは「その事業場に所属する者であること(他の事業場との兼任禁止・他事業場のコンサルタントが来訪して担当することの禁止)」を意味します。
衛生管理者制度が求める人的配置の思想は、「事業場規模が大きくなるほど衛生上の問題が複雑化・多様化するため、専門家の工数を比例的に確保する」ことにあります。このため人数要件が段階的に増え、規模が大きくなると専任・専属の要件が加わります。
【実務・条文構造】
安衛則第7条(選任人数)・第10条(専任・専属要件)・第11条(巡視義務)は衛生管理者の基本三条項として一体的に理解する必要があります。
専任が必要な事業場(安衛則第10条):
- 常時1,000人を超える労働者を使用する事業場
- 常時500人を超える労働者を使用する事業場で、一定の有害業務(坑内労働・鉛・水銀・一酸化炭素・病原体など)に常時30人以上を従事させる場合
専属が必要な事業場:
- 常時1,000人を超える労働者を使用する事業場
- 特定の有害業務に常時500人以上を従事させる事業場
(専任より専属の要件のほうが高い人数閾値が設定されているケースがある点に注意)
本問(600人・製造業・有害業務条件なし)では専属要件なし・専任1人以上・選任数3人以上が正しい組合せです。
製造業での資格要件(安衛則第10条・別表第4): 製造業等(一定の有害業務を行う業種)では第一種衛生管理者免許を有する者、医師、歯科医師、労働衛生コンサルタント等が選任資格者です。第二種衛生管理者では製造業の有害業務が関係する業種では衛生管理者になれない点も出題されます。
【試験での位置づけ】
「専任」と「専属」の混同、選任人数の境界値(200人・500人・1,000人・2,000人・3,000人)、専任が必要になる人数閾値は毎回問われる最重要暗記事項です。本問のように「専属」を「専任」として誤った記述をアに置き、他の正しい選択肢4本と対比させる出題パターンが最頻出です。また週1回の巡視義務(オ)は「毎月1回」に書き換えた誤り選択肢としても出題されます。数字の暗記は必須ですが、なぜその規模で人数が増えるかという制度趣旨を理解しておくと記憶が定着します。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 「専属」の概念は「コンサルタントなど外部の者を選任する場合の制限」と理解すると整理しやすい。1,000人超の大規模事業場では、知識だけでなく日常的な事業場内での存在(常駐性)が求められるため専属が必要になります。
- イ: 専任衛生管理者の「専任」の意味は、安全管理・人事・生産管理等の他業務との兼任を禁止すること。選任された衛生管理者の中から専任者を指定する運用が一般的です。
- ウ: 1,000人超は4人以上、2,000人超は5人以上、3,000人超は6人以上と続きます。建設業や一部の製造業など業種により異なるわけではなく、労働者数の段階による点に注意(業種で変わるのは総括安全衛生管理者の閾値)。
- エ: 製造業は第一種・医師・歯科医師・労働衛生コンサルタント等が資格要件。第二種では当該製造業事業場では不可(有害業務が関係するため)。試験では業種と免許種別の組合せが問われます。
- オ: 週1回の巡視は法定義務。産業医の巡視義務(月1回以上・ただし情報提供等の要件を満たす場合は2か月に1回以上に変更可)との比較も出題されます。
【根拠法令】労働安全衛生法 第12条(衛生管理者)、労働安全衛生規則 第7条(選任人数)・第10条(専任・専属要件)・第11条(巡視義務)
【補足】「専任(他業務兼任禁止)」と「専属(事業場専属=外部者不可)」の混同は最頻出の引っかけ。1,000人超で両方が必要になる。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生規則(安衛則)第7条(衛生管理者の選任)・第10条(専任等)。常時500人超1,000人以下は衛生管理者3人以上かつ少なくとも1人を専任とすることが必要だが、専属要件は別途規定。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。