基本情報 平成31年度 春期 問49:テクノロジ系に関する問題
リスク対応のうち, リスクファイナンシングに該当するものはどれか。
- aシステムが被害を受けるリスクを想定して, 保険を掛ける。正答
- bシステムの被害につながるリスクの顕在化を抑える対策に資金を投入する。
- cリスクが大きいと評価されたシステムを廃止し, 新たなセキュアなシステムの 構築に資金を投入する。
- dリスクが顕在化した場合のシステムの被害を小さくする設備に資金を投入する。
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答えは a「保険を掛ける」 です。
リスクファイナンシングは「もしものお金の備え」のこと。家事保険や自動車保険みたいに、被害が出た時に金銭で補填する仕組みです。
👉 覚え方:ファイナンシング=お金で備える=保険・引当金。
ほかの選択肢:b 顕在化を抑える=リスクコントロール(予防)/c システムを廃止=リスク回避/d 被害を小さくする設備=リスク低減(被害最小化)。
なぜこれが正解か
正解は a。リスク対応は大きくリスクコントロール(リスク発生確率や影響を物理的に下げる)とリスクファイナンシング(金銭的に備える)に分けられる。保険を掛けるのは典型的なリスクファイナンシング(リスク移転)。
各選択肢の解説
- b リスク顕在化を抑える対策に資金投入:リスクコントロール(予防/低減)。
- c リスクが大きいシステムを廃止して新規構築:リスク回避(コントロール系)。
- d 被害を小さくする設備に投資:リスクコントロール(被害低減)。
覚え方・ひっかけ注意
リスク対応4分類:
- 回避(Avoid):リスク源を断つ(事業撤退、機能削除)
- 低減(Mitigate):発生確率/影響を下げる(バックアップ、冗長化)
- 移転/共有(Transfer/Share):保険、アウトソース=リスクファイナンシング
- 受容(Accept):基準内なので受け入れる(引当金準備=リスクファイナンシングの一種)
「お金で備える=ファイナンシング」と直感的に覚える。試験では「保険」「引当金」が出たら即ファイナンシング。
理論的背景
リスクマネジメント論ではリスク対応をリスクコントロール(Loss Control)とリスクファイナンシング(Risk Financing)の2軸で整理する。
- リスクコントロール:回避(avoidance)、損失防止(loss prevention:発生確率↓)、損失低減(loss reduction:影響度↓)、分離(separation)、複製(duplication)
- リスクファイナンシング:保有(retention:自己資金で対応)、移転(transfer:保険・契約で他者へ)
リスクファイナンシング手法は更に細分化:
- 保険(Insurance):火災・地震・サイバー保険
- キャプティブ保険:自社で再保険会社を持つ
- デリバティブ/天候デリバティブ:金融市場でリスクヘッジ
- 代替リスク移転(ART):キャットボンド(カタストロフィ債)等
- 引当金(Reserve):内部準備金
実務での使われ方
- サイバー保険:情報漏えい時の損害賠償・初動費用・事業中断損失をカバー。近年市場急拡大
- D&O保険:取締役・幹部の経営判断責任
- PL保険:製造物責任
- 興行中止保険:イベント中止リスク
- クラウドベンダのSLA違約金:可用性保証の事実上のリスク移転
保険利用の限界
- モラルハザード:保険があると注意力低下
- 逆選択:高リスク者が加入しがち
- 付保限度額:免責・上限あり
- レピュテーションリスク:金銭補填でも信用喪失は回復しない
→ リスクファイナンシングは万能ではなく、リスクコントロールとの併用が必須。
試験での位置づけ
基本情報・応用情報・情報処理安全確保支援士のマネジメント/監査分野で頻出。サイバーセキュリティ経営ガイドラインやNIST CSFでもリスク移転は重要施策。
選択肢の発展補足
リスク受容(accept)は「合理的に低減した残存リスク」を経営者が承認するプロセスで、文書化(Risk Acceptance Document)が必要。回避はビジネス機会も同時に失うため、戦略との整合性検討が不可欠。リスクアペタイト(許容度)を経営層が定義し、その範囲で対応策を組合せるのがエンタープライズリスクマネジメント(ERM)の核心。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 基本情報技術者試験 平成31年度 春期 問49/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。