一般知識12社会保障制度の体系

行政書士 一般知識 問12:社会保障制度の体系

日本の社会保障制度に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 日本の社会保障制度は大きく「社会保険」「社会福祉」「公的扶助」「保健医療・公衆衛生」の4分野に区分される。
  • 生活保護(公的扶助)は、資力調査(ミーンズテスト)を必要とせず、すべての国民が申請できる制度である。正答
  • 公的年金は社会保険の一種であり、保険料拠出を基本とするが、低所得者等に対する保険料免除・猶予の仕組みが設けられている。
  • 日本の介護保険制度は、保険者を市区町村とし、40歳以上の被保険者から保険料を徴収する仕組みである。
  • 国民皆保険・皆年金の体制は1960年代前半に整備され、すべての国民が何らかの公的医療保険・公的年金に加入する制度が確立している。
正答:生活保護(公的扶助)は、資力調査(ミーンズテスト)を必要とせず、すべての国民が申請できる制度である。

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誤りはイです。生活保護(公的扶助)は「資力調査(ミーンズテスト)を必要とせず」という部分が誤りです。生活保護は生活保護法4条に基づく補足性の原則があり、資産・能力の活用、他の法律による給付(年金・医療保険等)の優先利用が求められ、その上でなお生活に困窮する場合に保護されます。資力調査(収入・資産・扶養義務者の存在等の調査)は実際には行われます。ア(正):日本の社会保障の4分野は行政の伝統的な区分です。ウ(正):公的年金は保険料方式ですが、免除・猶予制度があります。エ(正):介護保険の保険者は市区町村、40歳以上が被保険者です(第1号:65歳以上・第2号:40〜64歳)。オ(正):国民皆保険は1961年・皆年金も同年に実現しました。

標準試験対策の基準レベル

イの誤りのポイントは「資力調査を必要としない」という部分です。生活保護は「最後のセーフティネット」として機能する制度ですが、受給要件として①資産の活用(貯金・不動産等)、②能力の活用(稼働能力の活用)、③他の給付の優先(年金・失業給付等)、④扶養義務者(親族等)の扶養が優先されます(生活保護法4条・補足性原則)。これらを調査するための資力調査(ミーンズテスト)は制度の前提であり、「調査なし」とするイは誤りです。申請保護の原則(7条)は、申請なしに勝手に打ち切ることが禁じられる意味(職権保護は例外)ですが、申請さえすれば無条件に受給できるという意味ではありません。ア(正):1950年の社会保障制度審議会勧告以来の伝統的4区分です。エ(正):介護保険法に基づき、第1号被保険者(65歳以上)は要介護・要支援状態であれば原因を問わず、第2号被保険者(40〜64歳)は老化に起因する特定疾病を原因とする場合に給付されます。オ(正):国民健康保険法(1958年制定・1961年全施行)と国民年金法(1959年制定・1961年施行)により皆保険・皆年金が実現しました。

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【社会保障の理念と体系】

社会保障制度は、憲法25条(「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」)を具体化するものです。日本の社会保障は1950年の社会保障制度審議会勧告で①社会保険②国家扶助(公的扶助)③社会福祉④公衆衛生及び医療の4分野に類型化されました(現代ではやや整理が異なる場合もありますがこの4区分が行政書士試験の基本)。社会保険は保険料を財源とする給付(医療・年金・雇用・労災・介護の5種)であり、公的扶助は税を財源として資力調査の上で最低生活水準を保障します。両者の違いは「保険料拠出の有無」「資力調査の要否」「受給の権利性の強さ」です。

【生活保護の法的仕組みの詳細】

生活保護法の基本原理は①国家責任の原理(1条:国が最低生活を保障する義務)②無差別平等の原理(2条:すべての国民が等しく受ける権利)③最低生活の原理(3条:健康で文化的な最低生活を保障)④補足性の原理(4条:資産・能力等の活用、他法優先)の4つです。イが誤りなのは④補足性の原理を無視している点です。ただし「無差別平等の原理」(2条)は外国人・国籍等による差別をしないという意味であり、申請の権利を認めたうえで補足性の審査を行います。申請は誰でもできますが(7条・申請保護の原則)、受給には補足性の要件審査があります。また職権保護(申請がなくても急迫状態では保護できる・25条)も例外的に認められます。

【社会保険と公的扶助の違いの理論】

社会保険は「拠出(保険料)→給付」の相互扶助型であり、受給は権利として認められやすく、資力調査不要です(ただし受給資格要件あり)。公的扶助は「税→給付」の再分配型であり、ミーンズテスト(資力調査)を前提として最低生活基準を補足的に保障します。日本の5大社会保険(医療保険・年金保険・雇用保険・労働者災害補償保険・介護保険)はいずれも保険料方式であり、年金については国庫負担(税)が加わる「組み合わせ方式」が採用されています(基礎年金の国庫負担割合は2分の1)。

【日本の社会保障の課題と試験対策】

少子高齢化の進展により、社会保険料収入の減少と給付費の増大が構造的課題となっています。特に年金については積立方式から賦課方式(現役世代の保険料で現在の高齢者の年金を賄う)への転換が行われており、世代間の負担と受益のバランスが政治・社会問題として継続しています。行政書士試験では生活保護の原理(4原理・特に補足性)・社会保険の5種・国民皆保険・皆年金の成立時期(1961年)・介護保険の保険者(市区町村)と被保険者区分(第1号・第2号)が頻出です。社会保障関係費は国の一般会計歳出の最大の項目であり、財政論との接続も意識するとよいです。

【根拠条文】

日本国憲法 第25条(生存権)

生活保護法 第1条(目的・国家責任)、第2条(無差別平等)、第4条(補足性の原理)、第7条(申請保護の原則)

【補足】

生活保護の「補足性の原理」(4条)と「無差別平等の原理」(2条)を区別する。「誰でも申請できる(2条)≠誰でも受給できる(4条の審査あり)」という区別がイを誤りと判断する核心。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 生活保護法 第4条(補足性の原則)・第7条(申請保護の原則)、社会保障制度審議会「勧告」(1950年) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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