行政書士 一般知識 問18:環境基本法・環境政策の基礎
日本の環境法制に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア環境基本法は、すべての環境問題の個別規制を直接定める実施法であり、大気・水・土壌等の汚染規制の具体的な基準もこの法律に定められている。
- イ環境影響評価(環境アセスメント)は、一定規模以上の公共事業等を実施する前に、その環境への影響を事前に調査・予測・評価し、結果を公表して住民等の意見を反映させる制度である。
- ウ地球温暖化の主な原因とされる温室効果ガスには、二酸化炭素(CO₂)・メタン(CH₄)等が含まれるが、日本の法律(地球温暖化対策推進法)はCO₂のみを対象としている。
- エ「汚染者負担原則(PPP:Polluter Pays Principle)」とは、環境汚染を生じさせた者が浄化費用を負担するのではなく、国が一元的に負担するという原則である。
- オ循環型社会形成推進基本法は、「リデュース(発生抑制)→リユース(再使用)→リサイクル(再生利用)」の優先順位を定め、廃棄物の発生抑制を最優先としている。正答
AI解説(初心者・標準・上級)
理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。根拠条文・判例も明記。
正答はオです。循環型社会形成推進基本法7条は、廃棄物等の処理の優先順位として①発生抑制(Reduce)→②再使用(Reuse)→③再生利用(Recycle)→④熱回収→⑤適正処分という5段階を定め、発生抑制を最優先としています。ア(誤):環境基本法は基本理念・基本方針を定める基本法であり、具体的な規制基準は大気汚染防止法・水質汚濁防止法等の個別法が定めます。イ(正):環境影響評価(アセスメント)は1997年の環境影響評価法に基づき、大規模公共事業等について事前評価を義務づけています。ウ(誤):地球温暖化対策推進法はCO₂だけでなく、メタン・N₂O・HFC等の複数の温室効果ガスを対象としています。エ(誤):汚染者負担原則(PPP)は「汚染を生じさせた者が浄化・防止費用を負担すべき」という原則であり、国が一元負担するという意味ではありません。
オが正答です。循環型社会形成推進基本法(2000年)7条は3R(Reduce・Reuse・Recycle)+熱回収+適正処分の5段階の優先順位を明定し、最上位は「発生抑制(Reduce)」です。これは「廃棄物になってからリサイクルするより、そもそも廃棄物を生じさせないことを最優先する」という考え方です。ア(誤):環境基本法(1993年制定)は環境保全に関する基本理念と国・地方・事業者・国民の責務を定める基本法です。大気汚染防止法・水質汚濁防止法・騒音規制法等の個別法が具体的規制基準を定めます。イ(正):環境影響評価法に基づく環境アセスメント制度は、道路・ダム・空港・発電所・廃棄物処理施設等の大規模事業に適用されます(対象事業は政令で規定)。ウ(誤):地球温暖化対策推進法(温対法)は、CO₂・メタン・一酸化二窒素(N₂O)・ハイドロフルオロカーボン類(HFC)・パーフルオロカーボン類(PFC)・六フッ化硫黄(SF₆)・三フッ化窒素(NF₃)の7種類の温室効果ガスを対象としています。エ(誤):PPP(Polluter Pays Principle)は1972年にOECDが提唱した原則であり、汚染者が環境保全のための費用を負担すべきという考え方で、日本でも廃棄物処理・土壌汚染浄化等の費用負担の基本原則として採用されています。
【環境法制の体系】
日本の環境法制は、①基本法(環境基本法・1993年制定:「環境の恵沢の享受と継承」「持続的発展が可能な社会の構築」「国際的協調」の三理念)、②分野別個別法(大気汚染防止法・水質汚濁防止法・土壌汚染対策法・騒音規制法・振動規制法・悪臭防止法・化学物質排出把握管理促進法等)、③循環型社会関連法(循環型社会形成推進基本法・廃棄物処理法・各種リサイクル法)、④地球環境関連法(地球温暖化対策推進法・フロン類対策法等)という層構造で形成されています。環境基本法はこの全体のグランドデザインを示す最上位の基本法です(アの誤りの根拠)。
【循環型社会の理念と3R+2】
循環型社会形成推進基本法(2000年)が定める5段階の優先順位は①Reduce(発生抑制)②Reuse(再使用)③Recycle(再生利用)④熱回収(廃棄物を燃やして発生するエネルギーを利用)⑤適正処分(最終処分)の順です(オの正答根拠)。3R(Reduce・Reuse・Recycle)に加え、熱回収・適正処分も含めた体系です。「リサイクルさえすれば良い」という発想より「そもそも廃棄物を出さない」が上位にある点が重要です。各種リサイクル法(容器包装・家電・食品・建設・小型家電・自動車)は個別品目の3R義務を規定します。
【気候変動対策の法的枠組み】
地球温暖化対策の国際枠組みは、①京都議定書(1997年採択・先進国のみに削減義務)→②パリ協定(2015年採択・締約国全てが削減目標を提出)の流れで発展しています。日本の温対法はパリ協定を国内実施するための法律として改正(2021年)されており、カーボンニュートラル(2050年温室効果ガス実質ゼロ)が明記されました。対象ガスはCO₂・CH₄・N₂O・HFC・PFC・SF₆・NF₃の7種(ウの誤りの根拠)です。地方公共団体も地球温暖化対策実行計画の策定義務があります(温対法21条等)。
【汚染者負担原則(PPP)の国際的意義】
1972年のOECD理事会勧告で提唱されたPPP(Polluter Pays Principle)は、環境政策の基本原則として広く採用されています。PPPの趣旨は、環境汚染・環境被害のコストを社会全体(税等)ではなく汚染を発生させた者に帰着させることで、汚染回避のインセンティブを与えることです(エの誤りの根拠)。日本では土壌汚染対策法(汚染原因者の調査・浄化義務)・廃棄物処理法(排出者責任)・拡大生産者責任(EPR:製品の廃棄段階まで生産者が一定の責任を持つ)等にPPPの考え方が反映されています。
【根拠条文】
環境基本法 第3条(環境の恵沢の享受と継承)、第7条(地方公共団体の責務)
循環型社会形成推進基本法 第7条(優先順位:発生抑制→再使用→再生利用→熱回収→適正処分)
地球温暖化対策の推進に関する法律 第2条第3項(温室効果ガスの定義・7種)
【補足】
循環型社会の5段階優先順位(Reduce>Reuse>Recycle>熱回収>適正処分)の暗記が正答の核心。環境基本法は「基本法(理念)」であり個別規制は各個別法という役割分担(ア誤り)も必須知識。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 環境基本法 第3条〜第4条、環境影響評価法(1997年制定)、循環型社会形成推進基本法 第7条(基本原則・優先順位)、地球温暖化対策の推進に関する法律 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。