行政書士 一般知識 問30:行政書士法の総合・登録・資格取得
行政書士法における行政書士の資格取得・登録に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア行政書士の資格を取得するためには、国家試験(行政書士試験)に合格することが唯一の方法であり、他の資格や経歴による試験免除は認められていない。
- イ行政書士試験に合格した者は、試験合格後5年以内に行政書士会に登録申請を行わなければ、合格の効力が失われる。
- ウ行政書士として業務を行うためには、行政書士試験の合格に加えて、一定期間の実務研修の修了が義務付けられている。
- エ行政書士試験は、各都道府県の行政書士会が実施機関となって実施される。
- オ弁護士・弁護士法人は、行政書士会に登録しなくても、行政書士法第1条の2に規定する行政書士の業務を行うことができる。正答
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正答はオです。行政書士法19条1項但書は、弁護士・弁護士法人は行政書士会への登録なしに行政書士業務を行えると定めています。弁護士は法律に関するすべての業務を行える包括的権限(弁護士法3条)を持つため、行政書士業務も当然に含まれます。ア(誤):行政書士法2条は試験合格のほか、弁護士資格・弁護士法人・税理士(一定要件)・公務員経験者(一定要件)等による資格取得を認めています。イ(誤):行政書士試験の合格に有効期限はありません(期限の定めなし)。ウ(誤):行政書士は試験合格後の実務研修の修了は法律上の登録要件とはなっていません(ただし任意の研修は行政書士会が実施)。エ(誤):行政書士試験は一般財団法人行政書士試験研究センター(全国一律)が試験を実施します(各都道府県行政書士会ではありません)。
オが正答です(行政書士法19条1項但書)。各肢の詳細:ア(誤):行政書士法2条は資格取得方法として①行政書士試験合格(2条8号)のほか、②弁護士となる資格を有する者(2条1号)、③弁護士の資格取得による免除(2条1号等)、④行政事務経験のある国家公務員等(2条7号:17条相当職以上の行政事務を20年以上等の一定要件)等を定めています。試験合格が「唯一の方法」とするアは誤りです。イ(誤):行政書士試験の合格に有効期限はなく、何年前の合格でも登録申請できます。ウ(誤):登録要件として実務研修の修了は法律上義務付けられていません(特定行政書士の資格取得のための法定研修は別として)。エ(誤):行政書士試験は都道府県知事が試験事務を管理し(行政書士法13条の22)、実際の試験実施は指定試験機関(一般財団法人行政書士試験研究センター)が行います(各都道府県の行政書士会が実施するわけではありません)。オ(正):弁護士・弁護士法人は行政書士会への登録なしに行政書士業務を行える(19条1項但書)。これにより弁護士は行政書士の独占業務(19条1項本文)の例外として扱われます。
【行政書士の資格取得の多様な経路】
行政書士法2条は行政書士の資格取得経路を複数定めています。①弁護士となる資格を有する者(2条1号)、②弁護士(同)、③公認会計士となる資格を有する者(2条2号)、④不動産鑑定士となる資格を有する者(2条3号)、⑤税理士(2条4号)、⑥弁理士(2条5号)、⑦社会保険労務士(2条6号、一定要件のある者)、⑧公務員等として行政事務を担当した者(2条7号:国家公務員または地方公務員として17条相当以上の行政事務20年以上等)、⑨行政書士試験に合格した者(2条8号)と幅広い経路があります。試験以外の経路(①〜⑧)は「行政書士資格の当然付与」ではなく、登録申請が必要な点は共通です。試験が「唯一の方法」とするアの誤りはこの複数経路の無視から生じています。
【試験制度と指定試験機関】
行政書士試験は年1回(例年11月)に実施される国家試験であり、法律・一般知識等から出題されます。都道府県知事が管理する試験(行政書士法13条の22等)ですが、実際の試験実施は都道府県知事が指定する指定試験機関(現在:一般財団法人行政書士試験研究センター)が担当します(エの誤りの根拠:都道府県行政書士会が実施するのではない)。試験科目は法令等科目(憲法・行政法・民法・商法・基礎法学)と、令和6年度(2024年度)から名称・内容が改められた「行政書士の業務に関し必要な基礎知識」科目(①一般知識〔政治・経済・社会〕、②行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令、③情報通信・個人情報保護、④文章理解)から構成されます。合格には、①法令等科目で満点の50%以上、②基礎知識科目で満点の40%以上、③全体で満点の60%以上という複数の基準をすべて満たす必要があります(各基準点の具体的な得点は配点構成により定まる)。
【弁護士と行政書士の関係】
弁護士は弁護士法3条により「法律に関する事務」全般を行える包括的権限を持つため、行政書士業務(官公署提出書類・権利義務書類・事実証明書類の作成・申請代理等)も当然に行えます。さらに行政書士法19条1項但書は明示的に弁護士・弁護士法人の例外を定めており、行政書士会への登録なしで行政書士業務が可能です(オの正答根拠)。これは逆方向には成立せず、行政書士は弁護士の独占業務(法廷代理・刑事弁護・法律事務全般)を行えません(1条の4)。このような非対称な関係は日本の法律専門家制度の特徴です。比較法的には、大陸法系のドイツ・フランスでは行政手続の代理業が弁護士に統合されているケースも多く、日本の行政書士制度は比較的独自の発展を遂げています。
【特定行政書士と法定研修】
2014年の行政書士法改正で創設された「特定行政書士」制度は、法定研修(日本行政書士会連合会が実施・半年程度・考査あり)を修了した行政書士に、行政不服申立て(審査請求等)の代理権を付与するものです(1条の3第1号・2号の特定業務)。これは従来弁護士が担っていた行政不服申立て代理への参入を認めるものであり、行政書士の業務範囲の拡大として位置付けられます。特定行政書士になるための法定研修の修了は「特定業務(行政不服申立て代理)」を行うための要件であり、通常の行政書士登録(書類作成・申請代理)の要件ではありません(ウの誤りとは別の制度として整理する)。
【根拠条文】
行政書士法 第2条(行政書士となる資格:試験合格・他資格による経路)、第6条(登録)、第13条の22(試験・指定試験機関)、第19条第1項(非行政書士業務禁止・但書:弁護士等の例外)
【補足】
弁護士は行政書士登録なしで行政書士業務を行える(オ正答:19条1項但書)。試験合格は「唯一の資格取得経路」ではない(ア誤り:2条各号参照)。合格に有効期限はない(イ誤り)。試験実施機関は指定試験機関(エ誤り)。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 行政書士法 第2条(資格)・第2条の2(欠格事由)・第6条(登録)・第19条第1項(非行政書士業務禁止・但書) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。