行政書士 一般知識 問29:行政書士の業務制限・名義貸し禁止
行政書士の業務に関する制限等について、次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア行政書士は、他の法律(弁護士法・司法書士法等)においてその法律の資格者のみができると定められている業務については、行政書士であっても行うことができない。
- イ行政書士でない者は、行政書士法の規定により行政書士が行うことができるとされる業務を業として行うことができない(非行政書士の業務禁止)。ただし、弁護士・弁護士法人はこの制限を受けない。
- ウ行政書士は、自己の名義を他人に貸して、その他人が行政書士として行政書士業務を行うことを許してはならない(名義貸し禁止)。
- エ行政書士が行政書士会の会員でなくなった場合でも、行政書士としての登録はそのまま維持される。正答
- オ行政書士法人は、複数の行政書士が設立できる法人であり、社員(行政書士)全員が行政書士の登録を有することが必要である。
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誤りはエです。行政書士の登録は行政書士会への入会によって成立するため、行政書士会の会員でなくなった場合には登録も消滅します(両者は一体)。行政書士会に加入せずに行政書士として業務を行うことはできません。ア(正):行政書士法1条の4で他の法律の資格者のみが行える業務への越権禁止が定められています。イ(正):行政書士の独占業務(非行政書士の業務禁止)は行政書士法19条に定められており、弁護士・弁護士法人は例外とされます。ウ(正):行政書士法13条の6(名義貸し禁止)に根拠があります。オ(正):行政書士法人(13条の7以下)は社員全員が行政書士の資格者(登録者)である必要があります。
エが誤りです。行政書士の業務は、「登録」(日本行政書士会連合会の名簿への記載)と「入会」(都道府県行政書士会への加入)が連動しています。行政書士法6条は、都道府県の行政書士会を通じて日本行政書士会連合会に登録申請を行う手続を定めており、登録と行政書士会入会は一体的に行われます。したがって行政書士会の会員資格を失った場合(退会・除名等)は、自動的に登録も消滅すると解されます(法の構造上)。登録が残った状態で会員でなくなるという状態は制度上想定されていません。ア(正):1条の4「行政書士は、他の法律において制限されている業務については、この法律に基づく業務を行うことができない」。例えば弁護士法72条(非弁活動禁止)・司法書士法73条(登記代理の制限)に反する業務は行政書士であっても不可。イ(正):行政書士法19条の非行政書士業務禁止。弁護士・弁護士法人の例外(19条1項但書)は弁護士の職域の広さに基づく。ウ(正):名義貸しは13条の6で禁止され、21条の罰則対象(1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金。令和7年6月施行の刑法改正前は「懲役」)。オ(正):13条の7以下の行政書士法人(社員全員が行政書士・法人設立の特例)。
【行政書士会と登録の関係】
行政書士制度は、都道府県ごとの行政書士会(単位会)と日本行政書士会連合会(連合会)による二層構造で組織されています。行政書士として業務を行うには、①行政書士試験合格(または弁護士・弁護士法人等の一定の資格による試験免除)、②都道府県行政書士会への入会申請、③連合会への登録(名簿への記載)という手続が必要です(6条)。入会と登録は連動しており、会員でなくなることは登録の消滅を意味します(エの誤りの根拠)。登録取消事由(7条:死亡・欠格事由該当・懲戒等)と退会(6条の3:廃業・引越等)を区別する必要がありますが、いずれの場合も登録と会員資格は同時に消滅します。また登録取消(懲戒)後一定期間は欠格事由に該当するため(2条の2第7号)、再登録が制限されます。
【独占業務の体系】
行政書士法19条の独占業務規定(非行政書士の業務禁止)の例外として、①弁護士・弁護士法人、②司法書士(認定司法書士・特定の書類)等が挙げられます。これは職域の重複を許容しつつも、法令専門家として一定の規制を設ける趣旨です(イの正答根拠)。行政書士法1条の4は逆方向の制限、すなわち「行政書士が他士業の専権業務を侵してはならない」を定めています(アの正答根拠)。例えば司法書士の独占業務(登記申請代理)は行政書士が行うことができません(司法書士法73条・行政書士法1条の4)。弁護士は行政書士業務のすべてを行えますが、行政書士は弁護士業務の一部(法廷代理・刑事弁護等)を行えないという非対称な関係があります。
【名義貸し禁止の意義】
行政書士法13条の6の名義貸し禁止は、①資格のない者が行政書士の名義を借りて業務を行うこと(実質的な無資格業務)を防ぎ、②依頼者が実際に資格者の提供するサービスを受けられることを保障し、③行政書士制度への信頼を維持するための規定です。名義貸しの典型例は、行政書士でない者が行政書士の名前で許認可申請等を業として行い、申請書類に行政書士の名義(記名押印)を形式的に付ける行為です。名義を貸した行政書士は21条により1年以下の拘禁刑(改正前は懲役)または100万円以下の罰金の刑事罰対象となり、懲戒処分(登録取消等)の対象にもなります。名義借りをした者は行政書士法19条違反(非行政書士業務)として別途処罰されます。
【行政書士法人制度】
行政書士法人(13条の7以下:2002年の改正で創設)は、複数の行政書士が社員として設立する法人です(有限責任事業組合・合名会社型)。社員全員が行政書士の資格者(登録者)である必要があり(オの正答根拠)、一人でも行政書士でない者が社員となることはできません。行政書士法人の特徴は、①法人格により事業の継続性・信用力が高まる、②一人の社員が死亡・廃業しても法人として業務を継続できる、③社員行政書士が複数の事務所を設置できる(一人行政書士には制限がある)、④法人名での契約・訴訟当事者能力を持つ点です。なお社員が一人の行政書士法人も、令和元年(2019年)改正(令和3年〔2021年〕6月4日施行)により認められるようになりました(従来は社員2名以上が必要でした)。あわせて、社員が一人になったことを解散事由とする規定が削除され、社員の欠亡(社員が一人もいなくなること)が解散事由として整理されました。
【根拠条文】
行政書士法 第1条の4(業務制限:他士業専権業務への越権禁止)、第6条(登録)、第13条の6(名義貸しの禁止)、第13条の7以下(行政書士法人)、第19条(非行政書士業務の禁止)
【補足】
行政書士会の会員資格と登録は連動しており、会員でなくなると登録も消滅する(エ誤り)。名義貸し禁止(ウ正)・業務制限(ア正)・弁護士の例外(イ正)・法人社員全員が行政書士(オ正)が正確な記述。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 行政書士法 第1条の4・第6条・第13条の5・第13条の6・第13条の7以下(行政書士法人) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。