一般知識31情報通信・個人情報保護

行政書士 一般知識 問31:情報通信・個人情報保護

個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)における「匿名加工情報」および「仮名加工情報」に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 匿名加工情報とは、特定の個人を識別することができず、かつその個人情報を復元することができないように個人情報を加工した情報であり、作成した事業者は第三者に提供する際に本人の同意を要しない。正答
  • 仮名加工情報とは、他の情報と照合することで個人を識別できなくなるよう加工した情報であり、作成事業者は外部の第三者に対して自由に提供することができる。
  • 匿名加工情報を作成した個人情報取扱事業者は、その情報に含まれる個人に関する情報の項目および提供方法を公表する義務を負わない。
  • 仮名加工情報は、作成した事業者が内部で分析・活用する目的であっても、取得時に特定した利用目的とは異なる目的に利用することができる。
  • 匿名加工情報と仮名加工情報はいずれも「個人情報」に該当しないため、個人情報保護法の適用対象外となり、いかなる規制も受けない。
正答:匿名加工情報とは、特定の個人を識別することができず、かつその個人情報を復元することができないように個人情報を加工した情報であり、作成した事業者は第三者に提供する際に本人の同意を要しない。

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正答はアです。匿名加工情報とは、特定の個人を識別できず、かつ復元もできないように加工した情報です(2条6項)。匿名加工情報を第三者に提供する際は、提供しようとする情報の項目と提供方法を公表すれば本人同意は不要です。イ(誤):仮名加工情報は「他の情報と照合しなければ識別できない」程度の加工であり、外部の第三者への提供は原則禁止されています。作成事業者が内部分析のみに使える情報区分です。ウ(誤):匿名加工情報を作成した事業者は、情報の項目と提供方法を公表する義務を負います(43条2項)。エ(誤):仮名加工情報であっても、取得時の利用目的の範囲内でのみ利用可能です(41条3項による18条1項の適用)。オ(誤):匿名加工情報・仮名加工情報はどちらも個人情報保護法の規律を受けます。仮名加工情報は「個人情報」でありうるため規制が及び、匿名加工情報も専用の規律(43条〜46条)が適用されます。

標準試験対策の基準レベル

アが正答です。匿名加工情報(2条6項)は「特定の個人を識別することができず、かつ当該個人情報を復元することができないよう加工した情報」であり、第三者提供の際に本人同意は不要ですが、提供情報の項目・提供方法の公表(43条2項)と提供を受けた側への通知(44条)が必要です。仮名加工情報(2条5項)との最大の違いは「復元不可能性」の有無です。仮名加工情報は氏名等の削除により識別困難にするに留まり、照合すれば元の個人に戻りうるため、外部第三者への提供が原則禁止されています(41条6項)。イ(誤):仮名加工情報は外部提供禁止が原則です。ウ(誤):匿名加工情報の作成事業者は公表義務を負います(43条2項)。エ(誤):仮名加工情報は利用目的の制限(18条1項の準用)を受けるため目的外利用はできません。ただし学術研究・統計作成等の例外あり。オ(誤):両者はそれぞれ専用の規律が適用されます。匿名加工情報は43〜46条、仮名加工情報は41〜42条に専用規定があります。二つの情報区分の「できること・できないこと」の差異を整理することが試験対策の核心です。

上級誤答論破・条文/判例まで深掘り

【2022年改正における仮名加工情報の新設とその意義】

2022年改正(令和3年改正・2022年4月全面施行)で新設された仮名加工情報は、企業内でのデータ分析・活用の促進を目的としています。改正前は匿名加工情報(外部提供可)か通常の個人情報(同意原則)の二択しかなく、内部分析のために完全匿名化まで行うのは実務的に過剰なコストがかかる場合がありました。仮名加工情報はこの間隙を埋める「中間的な情報区分」として設計されています。加工方法は①氏名等の削除または置換(個人識別符号も含む)、②不正利用により財産的被害が生じるおそれのある記述等の削除、③特異な記述(希少疾患等)の削除または置換が求められます(41条1項・施行規則31条)。

【匿名加工情報・仮名加工情報の規律の比較】

| 項目 | 匿名加工情報 | 仮名加工情報 |

|---|---|---|

| 復元可否 | 復元不可 | 照合により復元可能性あり |

| 個人情報への該当 | 該当しない | 元が個人情報なら仮名加工情報も個人情報 |

| 外部提供 | 原則可(公表・通知要) | 原則禁止(例外的に委託・事業承継等のみ) |

| 利用目的制限 | 緩和(18条1項不適用) | 適用あり(41条3項) |

| 識別行為の禁止 | 禁止(43条5項) | 禁止(41条7項) |

| 開示・訂正等請求 | 不適用 | 不適用(41条9項) |

【正答アの詳細根拠と周辺論点】

アの「第三者提供に本人同意不要」は2条6項・43条2項・44条の組み合わせから導かれます。第三者に提供する際の義務は①提供する情報の項目と提供の方法を公表すること(43条2項)、②第三者への通知(44条)であり、本人への個別同意取得は不要です。ただし提供した側・受けた側ともに識別禁止義務(43条5項・45条)が課されます。この区分の重要性は、データの産業利用(ビッグデータ分析・AI学習データ利用)と個人の権利保護のバランスを取る制度設計にあります。行政書士試験では2022年改正で新設・整備された仮名加工情報・匿名加工情報・越境移転規制が頻出論点として定着しています。

【上位資格・実務への接続】

行政書士・社会保険労務士が企業のプライバシーポリシー作成や個人情報管理体制整備を支援する際、仮名加工情報と匿名加工情報の使い分けは実務的な重要判断です。外部提供・共同利用・データ分析委託のどの場面でどの区分を利用するかが問われます。GDPRの仮名化(pseudonymisation)との比較・APEC越境プライバシー規則(CBPR)との整合性も国際的な個人情報保護実務で参照されます。

【根拠条文】

個人情報の保護に関する法律 第2条第5項(仮名加工情報の定義)・第2条第6項(匿名加工情報の定義)・第41条(仮名加工情報の作成等)・第43条(匿名加工情報の作成等)・第44条(匿名加工情報の第三者提供)

※条番号は令和3年改正後(2022年4月全面施行)の現行条文に基づく。

【補足】

仮名加工情報=内部分析専用・外部提供禁止・識別禁止、匿名加工情報=外部提供可・識別禁止・公表・通知要、という対比が核心。「復元不可能性」が両者を区分するキーワード。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 個人情報の保護に関する法律 第2条第5項(仮名加工情報の定義)・第2条第6項(匿名加工情報の定義)・第41条(仮名加工情報の作成等)・第43条(匿名加工情報の作成等)・第44条(匿名加工情報の第三者提供)(令和3年改正後現行条番号) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

関連論点

匿名加工情報・仮名加工情報の定義と区別頻出度A

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