一般知識38諸法令・行政書士法

行政書士 一般知識 問38:諸法令・行政書士法

行政書士法に定める行政書士法人に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 行政書士法人は、行政書士が設立することができる法人であり、社員は行政書士でなければならない。
  • 行政書士法人の社員は、法人の業務について無限責任を負い、法人の債務については社員全員が連帯して責任を負う。
  • 行政書士法人は複数の社員で設立することが原則であり、社員が1人となった場合には直ちに解散しなければならない。正答
  • 行政書士法人の設立には、行政書士会への登録のほかに、主たる事務所の所在地において設立の登記をしなければならない。
  • 行政書士法人は、その名称中に「行政書士法人」という文字を使用しなければならない。
正答:行政書士法人は複数の社員で設立することが原則であり、社員が1人となった場合には直ちに解散しなければならない。

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正答(誤り)はウです。令和元年(2019年)の行政書士法改正により一人行政書士法人が認められ、令和3年(2021年)6月4日に施行されました。これにより社員が1人でも行政書士法人を設立・継続できます。社員が1名になっても直ちに解散する必要はなく、その社員が欠けた(0名になった)場合に解散事由となります(13条の19第1項4号)。ア(正):行政書士法人の社員は行政書士でなければならず(13条の5第1項)、行政書士でない者が社員となることは禁止されています。イ(正):社員は法人の債務について連帯して無限責任を負い(13条の21による会社法の合名会社規定の準用)、これは一般の合名会社社員と同様の重い責任です。エ(正):行政書士法人は行政書士会への加入(登録)のほか、設立の登記が必要です(13条の21による会社法の規定の準用)。オ(正):名称中に「行政書士法人」という文字を使用しなければなりません(13条の3第2項)。

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ウが誤りです。令和元年の行政書士法改正(令和3年6月4日施行)で一人行政書士法人が認められました。改正前は社員2名以上が必要でしたが、改正後は社員1名での設立・継続が可能です。解散事由(13条の19)は、①定款に定めた解散事由の発生、②社員総会の決議、③合併(吸収合併の場合の消滅法人)、④社員の欠亡(社員が欠けた=0名になった場合)、⑤破産手続開始の決定、⑥解散命令等です。「社員が1名になったこと」は解散事由ではなく、「社員が欠けた(0名になった)こと」が解散事由です。これは一人法人創設の趣旨から当然の帰結です。イの社員の連帯無限責任(13条の21による会社法の合名会社規定の準用)は行政書士法人の重要な特色で、依頼者保護の観点から社員が法人の債務について連帯して無限に責任を負う設計となっています。これは有限責任のLLP等との違いです。エについて、行政書士法人は登記によって設立され(13条の21による会社法の規定の準用)、主たる事務所所在地での登記が必要です。

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【一人行政書士法人創設の背景と意義】

令和元年改正による一人行政書士法人の創設は、中小の行政書士事務所が法人化によるメリット(社会的信用・相続税対策・事業承継・税務上の優遇)を享受できるよう規制を緩和したものです。改正前は社員2名以上という要件が事実上の参入障壁となっていました。行政書士法人化のメリットとして、①法人名義での契約・登記が可能(個人事務所と法的に独立した主体)、②代表社員変更による事業継続性の確保、③複数社員がいる場合の役割分担・専門分野の補完、④相続税・所得税上の節税効果(役員報酬の設定等)があります。一方、社員の無限責任という特性上、法人に対する請求が社員個人に及ぶリスクがあり、有限責任の確保を求める意見も実務界にはあります。

【行政書士法人の設立手続の詳細】

行政書士法人の設立は、①定款作成(公証人認証不要・行政書士法人の特則)、②設立登記(主たる事務所所在地)、③行政書士会への加入(日行連への届出)という三段階で行われます。定款の必要的記載事項は目的・名称・主たる事務所の所在地・社員の氏名・住所・行政書士登録番号等です(13条の6)。設立後は分事務所の設置ができ、各分事務所には行政書士を常駐させる必要があります(13条の14)。この「常駐義務」は一人法人では実務上制約となりえます(分事務所設置には別の行政書士が必要)。

【行政書士法人の業務範囲と社員の義務】

行政書士法人は個人の行政書士と同様の業務を行うことができ(13条の6)、業務に付随する財務書類作成等の業務も可能です。社員は原則として法人の業務を執行する権利を有し義務を負うとともに、法人の財産をもって債務を完済できないときは、各社員が連帯して弁済の責任を負います(13条の21による会社法の合名会社規定の準用=連帯無限責任)。逆に、社員の個人的な私債務(住宅ローン等)について法人が責任を負うわけではありません。懲戒については法人自体(業務停止・解散等)と社員個人(戒告・業務停止・業務禁止等)がそれぞれ受けうる二重の構造があります(14条の2等)。社員のうちの1人が懲戒処分を受けて業務停止となった場合でも、他の社員が業務を継続できる場合は法人業務は継続できます。

【上位資格・実務への接続】

弁護士法人・司法書士法人・社会保険労務士法人との比較において、行政書士法人は無限責任という点で弁護士法人・社労士法人と同様の構造です(これらはいずれも無限責任社員)。有限責任パートナーシップ(LLP)や有限責任事業組合が士業法人に導入されていないのは、依頼者保護の観点から無限責任が維持されているためです。企業法務・コンサルティング会社との取引拡大を念頭に置いた場合、法人格を持つ行政書士法人の活用は契約締結・証明書取得等の業務で有利です。また事業承継(代表社員変更による継続)の観点から、行政書士の高齢化・後継者問題への解決策として法人化が今後さらに普及すると考えられます。

【根拠条文】

行政書士法 第13条の3(設立・名称:「行政書士法人」の文字使用)・第13条の5(社員の資格:行政書士であること)・第13条の19(解散事由)・第13条の21(会社法準用:登記・社員の連帯無限責任)

※令和元年改正(2019年)・令和3年(2021年)6月4日施行の一人行政書士法人を反映。

【補足】

一人法人は2021年6月4日から認容(令和元年改正)。解散は「社員が欠亡(0名)」であり「1名になること」ではない。社員は連帯無限責任(13条の21による会社法準用)。社員は行政書士でなければならない(13条の5)。名称に「行政書士法人」必須(13条の3)。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 行政書士法 第13条の3(行政書士法人の設立・名称)・第13条の5(社員の資格:行政書士でなければならない)・第13条の21(会社法準用:社員の連帯無限責任)・第13条の19(解散事由)・令和元年改正(一人行政書士法人の創設・令和3年6月4日施行) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

関連論点

行政書士法人の設立・社員・解散(一人法人含む頻出度A

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