行政書士 一般知識 問43:情報通信・デジタル関連法
情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(デジタル手続法)に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- アデジタル手続法は、行政手続のオンライン化を義務付けるものであり、同法施行後はすべての行政手続について紙での申請は一切認められなくなった。
- イデジタル手続法は、行政機関のオンライン利用を原則とし、行政機関が情報システムを整備する努力義務を定めているが、国民・事業者にオンライン申請を強制するものではない。正答
- ウデジタル手続法における「情報通信技術を利用する方法」には、電子メールを使った書類の送受信は含まれないと解されており、e-Gov等の政府専用ポータルのみが対象となる。
- エデジタル手続法の対象は国の行政手続に限られており、地方公共団体の行政手続のオンライン化については同法の適用がなく、各自治体の判断に委ねられている。
- オデジタル手続法により、民間事業者が行政機関に対して行う申請・届出・報告等の手続は全て廃止され、申請者の手続負担はゼロとなる。
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正答はイです。デジタル手続法は行政手続のオンライン化を「原則」とし、行政機関に情報システム整備の義務を課しますが、国民・事業者にオンライン申請を強制するものではありません(デジタル弱者・高齢者への配慮から紙での申請も並行して維持)。ア(誤):紙での申請が「一切認められなくなった」というのは誤りです。デジタル手続法は「できる限りデジタルで」という方向性を定めるものであり、紙手続の完全廃止を即座に義務付けるものではありません。ウ(誤):「情報通信技術を利用する方法」はe-Govのみに限定されておらず、電子メール・電子申請システム全般が対象となります。エ(誤):デジタル手続法は地方公共団体にも適用があり(4条)、国の施策との連携・情報システムの共用等を求めています。オ(誤):申請手続が「廃止」されたわけではなく、申請をデジタル手段で行えるようにする仕組みの整備です。
イが正答です。デジタル手続法3条の「基本原則」は「行政機関等はその保有する情報を電子的に処理するための体制整備を行う」等を定め、行政機関側のシステム整備義務を課しています。国民・事業者への「オンライン申請の強制」は定めておらず、デジタル化に対応できない場合でも紙での申請・届出が継続して認められます。ア(誤):デジタル手続法は「オンライン利用を原則とする」方向性を定めるものですが、紙手続の即時廃止を義務付けていません。地方公共団体の窓口では紙手続が依然として広く行われています。エ(誤):デジタル手続法4条は地方公共団体についても「情報通信技術を利用した処理方法の活用等の措置を講ずるよう努める」ことを定め、国と同様のデジタル化推進が求められます(努力義務ですが、対象に地方公共団体が含まれています)。ウ(誤):「情報通信技術を利用する方法」の定義(同法2条)は電磁的方式一般を対象とし、e-Gov限定ではありません。
【デジタル手続法の全体構造と制定経緯】
デジタル手続法(正式名称:情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律)は2019年(平成31年)に制定された法律で、旧「電子政府一括法」(IT書面一括法等)の後継に相当します。3つの基本原則として①デジタルファースト(個々の行政手続・サービスが一貫してデジタルで完結する)、②ワンスオンリー(一度提出した情報は二度提出しない)、③コネクテッド・ワンストップ(民間手続も含め、引越し・出産・死亡等のライフイベントをワンストップで完結する)が定められています。これらは行政手続のユーザー体験(UX)の抜本的改善を目標としており、マイナンバー制度・マイナポータル・e-Govとの連携が想定されています。
【地方公共団体への適用と標準化】
4条は地方公共団体への適用を定めており、「情報通信技術を利用した処理方法の活用その他の適切な措置を講ずるよう努めなければならない」として努力義務を課しています。また2021年のデジタル庁設置以降、地方公共団体の情報システムの標準化・統一化が推進されており(地方公共団体情報システムの標準化に関する法律:2021年制定)、2025年度末を目標に自治体の主要20業務の情報システムが標準仕様に移行する予定です(進捗は変動するため一般的な方向性として理解することが重要)。行政書士が地方公共団体に提出する申請書類のデジタル化も、この標準化の流れの中で進展しています。
【マイナポータルとデジタル手続法の連携】
デジタル手続法に基づく主要なインフラとして、政府が運営するマイナポータル(ぴったりサービス)があります。マイナポータルはマイナンバーカードを使って各種行政手続をオンラインで行えるサービスで、引越し手続のワンストップ化・子育て関連手続のオンライン申請・年金記録の確認等が可能です。ワンスオンリーの実現のため、マイナンバーカードを使って取得した個人情報(氏名・住所等)を他の申請に自動入力する機能(情報連携)が整備されています。行政書士として依頼者の申請代理を行う場合、マイナポータルを通じた申請と紙申請のどちらが適切かを判断する実務知識が求められます。
【行政書士業務とデジタル手続法の実務的接点】
行政書士が取り扱う在留資格申請・建設業許可申請・農地転用許可等のオンライン申請については、デジタル手続法の推進によりe-Govを通じた電子申請の対応業務が拡大しています。特に在留資格申請はe-Govポータルへの移行が進んでおり、行政書士電子証明書(日行連が発行)を用いた代理申請が可能です。行政書士業務のデジタル化は、①申請書類の電子作成・電子提出、②依頼者へのオンライン書類共有、③電子署名による書類の真正性担保という三段階で進行しており、デジタル手続法はその制度的基盤を提供しています。
【根拠条文】
情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(デジタル手続法)第3条(基本原則:デジタルファースト・ワンスオンリー・コネクテッドワンストップ)・第4条(地方公共団体等の措置)・第6条(国の行政機関の情報システムの整備)
【補足】
デジタル手続法はオンライン化の原則を定めるが、紙申請の即時廃止ではない。三原則:デジタルファースト・ワンスオンリー・コネクテッドワンストップ。地方公共団体にも適用(4条・努力義務)。国民へのオンライン強制はなし。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(デジタル手続法・平成31年法律第16号)第3条(基本原則)・第6条(国の行政機関の情報システムの整備)・第4条(地方公共団体等の措置) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。