基礎法学25裁判制度・裁判所の種類

行政書士 基礎法学 問25:裁判制度・裁判所の種類

日本の裁判所の種類と管轄に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 日本の裁判所は、最高裁判所・高等裁判所・地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所の5種類から成る。最高裁判所は下級裁判所の上告審として法律審を担う。正答
  • 家庭裁判所は、家族関係の紛争・少年事件に関する審判・調停を担当するが、成年後見事件は家庭裁判所ではなく地方裁判所が管轄する。
  • 簡易裁判所は、訴訟物の価額が140万円を超えない請求に係る民事訴訟の第一審を担当し、刑事事件については管轄を持たない。
  • 行政事件訴訟(取消訴訟等)の第一審は、原則として最高裁判所に専属する。行政機関の違法な処分を争う訴訟は、行政裁判所ではなく司法裁判所(通常裁判所)が担当する。
  • 高等裁判所は、地方裁判所および家庭裁判所の判決に対する控訴審として機能する。知的財産高等裁判所は、最高裁判所に直属する独立した裁判所として裁判所法上設置されたものであり、高等裁判所には属さない。
正答:日本の裁判所は、最高裁判所・高等裁判所・地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所の5種類から成る。最高裁判所は下級裁判所の上告審として法律審を担う。

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正答はアです。日本の裁判所は裁判所法第2条により、最高裁判所・高等裁判所・地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所の5種類に区分されます。最高裁判所は法律審(法令の解釈適用の是非を審査)として機能し、上告審を担います。イ(誤):成年後見事件は地方裁判所ではなく家庭裁判所の管轄です(家事事件手続法3条の2等)。ウ(誤):簡易裁判所は一定の軽微な刑事事件(罰金以下の刑・短期1年未満の禁錮に当たる罪等)の管轄も持ちます(裁判所法33条1項)。エ(誤):行政事件訴訟の第一審は原則として地方裁判所に専属し(行政事件訴訟法12条)、最高裁判所が第一審を担うわけではありません。オ(誤):知的財産高等裁判所は、知的財産高等裁判所設置法に基づき東京高等裁判所の特別の支部として設置された機関であり、「最高裁判所に直属する独立した裁判所」ではありません。高等裁判所(東京高裁)の一部として位置づけられる点を、オは「高等裁判所に属さない独立した裁判所」と誤って述べています。正答はアです。

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アが正答です。裁判所法第2条は裁判所を「最高裁判所、高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所及び簡易裁判所」の5種類と定めており、アはこれを正確に述べています。最高裁判所は上告審として法律審を担い(裁判所法7条)、憲法解釈・法令解釈の統一を図ります。イは誤りです。成年後見事件(後見開始・保佐開始・補助開始の審判、後見人等の選任・解任等)は家事事件手続法3条の2以下に基づき家庭裁判所の管轄です。地方裁判所は成年後見事件の管轄を持ちません。ウは誤りです。簡易裁判所は民事事件(訴訟物の価額140万円以下)のほか、一定の軽微な刑事事件(裁判所法33条1項:罰金以下の刑に当たる罪・禁錮以下の刑に当たる罪で短期1年未満のもの・選択刑に罰金があるもの等)も管轄します。「刑事管轄を持たない」とするウは誤りです。エは誤りです。行政事件訴訟の第一審管轄は行政事件訴訟法12条により、原則として被告(行政庁の所在地を管轄する地方裁判所に専属します(一部特例あり)。「最高裁判所に専属する」という記述は誤りです。なお後段の「行政事件は通常裁判所が担当する(行政裁判所は存在しない)」という部分は正しいです(憲法76条・戦前の行政裁判所制度は廃止)。オは誤りです。知的財産高等裁判所は「知的財産高等裁判所設置法」(2004年制定・2005年施行)に基づき東京高等裁判所の特別の支部として設置された機関です。したがって組織上は高等裁判所(東京高裁)に属します。オの「最高裁判所に直属する独立した裁判所であり高等裁判所には属さない」という記述は、知財高裁の位置づけを正反対に述べており明確な誤りです。正答はアです。

上級誤答論破・条文/判例まで深掘り

【日本の裁判所制度の全体像:憲法76条との関係】

日本国憲法76条1項は「すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する」と規定し、戦前に存在した行政裁判所(行政事件を専門に扱う独立の司法機関)を廃止して一元的な司法裁判所制度を確立しました。同条3項は「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される」と司法の独立を保障しています。この憲法上の枠組みを受けて裁判所法が制定され、5種類の裁判所(最高裁・高裁・地裁・家裁・簡裁)が定められました。

【各裁判所の管轄の精緻な整理】

最高裁判所(裁判所法7条):上告審・特別抗告審としての法律審。違憲審査の終審裁判所(憲法81条)。裁判官15名(長官1名・判事14名)。高等裁判所(裁判所法16条):地方裁判所・家庭裁判所の判決への控訴審、地方裁判所・簡易裁判所の判決への上告審(一部)、内乱罪等の第一審(東京高裁)。知的財産高等裁判所は東京高裁の特別支部として2005年に設置(知的財産高等裁判所設置法)。地方裁判所(裁判所法24条):民事事件の第一審(簡易裁判所管轄以外)・行政事件の第一審、簡易裁判所判決への控訴審。家庭裁判所(裁判所法31条の3):家事事件(離婚・相続・成年後見・養子縁組等)の審判・調停・少年事件の審判。簡易裁判所(裁判所法33条):140万円以下の民事第一審・軽微な刑事事件の第一審・民事調停。

【行政事件訴訟の第一審管轄:エの誤りの精緻な根拠】

行政事件訴訟法12条(取消訴訟の管轄)は「取消訴訟は、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所又は処分若しくは裁決をした行政庁の所在地を管轄する裁判所の管轄に属する」と規定し、特例として「国を被告とする取消訴訟または裁決の取消しの訴えは、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所にも提起できる」等の管轄の特則を置いています。原則は地方裁判所の第一審であり、最高裁判所が行政事件の第一審を担う規定はありません(エ誤り)。なお、国や公共団体が当事者である大規模事件では東京地裁が管轄する場合が多く、行政書士が扱う行政不服申立て(審査請求)と行政事件訴訟の違いも実務上重要です。

【知的財産高等裁判所:オの不正確さの整理】

知的財産高等裁判所設置法(2004年制定・2005年施行)に基づく知的財産高等裁判所は、東京高等裁判所に設置された「特別の支部」であり、①特許権・実用新案権・回路配置利用権・プログラム著作権に関する事件の控訴審、②地方裁判所管轄の知的財産権関連事件の一部、③特許庁審決の取消訴訟(東京高裁の第一審として)を専門的に担当します。独立した裁判所として設置されたわけではなく、高等裁判所(東京高裁)の特別支部として機能する点が重要です。

【根拠条文】

裁判所法 第2条(裁判所の種類)、第7条(最高裁判所の権限)、第24条(地方裁判所)、第31条の3(家庭裁判所)、第33条(簡易裁判所)

行政事件訴訟法 第12条(取消訴訟の管轄)

知的財産高等裁判所設置法 第1条・第2条

【補足】

成年後見事件は家庭裁判所(イ誤り:地方裁判所ではない)。行政事件訴訟の第一審は地方裁判所(エ誤り:最高裁判所ではない)。簡易裁判所は軽微な刑事事件も管轄する(ウ誤り:刑事管轄なしは誤り)。5種類の裁判所の名称・管轄の精確な整理が核心。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 裁判所法第2条(裁判所の種類)・第7条(最高裁判所)・第16条(高等裁判所)・第24条(地方裁判所)・第31条の3(家庭裁判所)・第33条(簡易裁判所)。日本国憲法第76条(司法権の帰属)。 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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