行政書士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

行政書士 基礎法学 問34|時効制度・消滅時効と除斥期間の違い

問題

行政書士 | 基礎法学

消滅時効と除斥期間に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は オ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はオです。2020年施行の民法改正で、職業別の短期消滅時効(民法旧170条〜174条)と商法の商事時効(商法旧522条)が削除され、債権は「知った時から5年」または「行使できる時から10年」で時効により消滅すると整理されました(民法166条1項)。アは誤りです。時効は当事者が援用しなければ、裁判所はそれによって裁判できません(145条)。イは誤りです。改正後の724条は、「不法行為の時から20年」も「時効によって消滅する」と定めており、除斥期間とは書いていません。ウは誤りです。催告・協議の合意・天災等は完成猶予の事由で、期間をリセットするものではありません。エは誤りです。ゼロから進行し直すのは「更新」の効果です。

オが正答です。改正前は、職業別の短期消滅時効(民法旧170条〜174条)と商事消滅時効(商法旧522条)が並んでいましたが、いずれも削除されました。現行の民法166条1項は、債権は①債権者が権利を行使することができることを知った時から5年、②権利を行使することができる時から10年のいずれかの間行使しないときに、時効によって消滅すると定めています。

アは誤りです。民法145条は、時効は当事者が援用しなければ裁判所がこれによって裁判をすることができないと定めています。期間が過ぎても、援用がなければ裁判所は時効による消滅を前提に判断できません。

イは誤りです。改正後の724条は、不法行為による損害賠償請求権が「次に掲げる場合には、時効によって消滅する」とし、1号に「損害及び加害者を知った時から3年」、2号に「不法行為の時から20年」を置いています。20年の期間も消滅時効と明記されたので、完成猶予・更新の規定が及びます。

ウは誤りです。催告(150条)、協議を行う旨の合意(151条)、天災等(161条)はいずれも「完成猶予」の事由です。期間を新たに進行させる「更新」の典型は、確定判決などで権利が確定したとき(147条2項)や承認(152条)です。

エは誤りです。完成猶予は一定の時まで時効が完成しないとするもので、ゼロから進行し直すのは更新の効果です。

【理論的背景:消滅時効と除斥期間】

消滅時効は、権利を行使しない状態が一定期間続いたときに権利を消滅させる制度で、援用(民法145条)があって初めて裁判所が考慮でき、完成猶予・更新の制度が働きます。これに対して除斥期間は、権利の存続期間をあらかじめ区切るものと説明される学説上の概念で、援用を要せず、完成猶予・更新もないと解されています。どの期間が除斥期間にあたるかは条文に明記されていないことが多く、条文が「時効によって消滅する」と書いているかどうかが手がかりになります。2020年施行の改正では、不法行為による損害賠償請求権の「不法行為の時から20年」が、条文上「時効によって消滅する」場合として明記されました(724条2号)。

【各選択肢の正誤と論拠】

アは誤りです。145条は、時効は当事者(消滅時効では保証人・物上保証人・第三取得者など権利の消滅について正当な利益を有する者を含む)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判できないと定めています。「援用を要せず」「職権で」は条文と逆です。

イは誤りです。724条柱書は「次に掲げる場合には、時効によって消滅する」とし、1号(損害及び加害者を知った時から3年)と2号(不法行為の時から20年)の両方をその対象にしています。改正前は20年を除斥期間と解する考え方がありましたが、改正後の条文は20年を消滅時効として扱っており、「除斥期間と明記」「完成猶予・更新は適用されない」はいずれも誤りです。なお、人の生命・身体を害する不法行為では1号の3年が5年になります(724条の2)。

ウは誤りです。催告があればその時から6か月(150条1項)、書面による協議の合意があれば原則1年(151条1項)、天災等の障害があればその消滅から3か月(161条)、時効が完成しないだけです。

エは誤りです。期間がゼロから新たに進行するのは、確定判決などで権利が確定した場合(147条2項)、強制執行等の終了(148条2項)、承認(152条1項)といった「更新」の場面です。

オが正しい記述です。166条1項1号・2号が5年・10年の二本立てを定め、旧170条〜174条と商法旧522条は削除されています。

【完成猶予と更新の組み合わせ】

147条(裁判上の請求等)と148条(強制執行等)は、手続中は完成猶予、権利の確定や手続の終了で更新、という二段階の構造です。たとえば訴えを提起すれば手続が終わるまで時効は完成せず、確定判決で権利が確定すれば、その時から新たに進行します。確定判決で確定した権利の時効期間は、10年より短い定めがあっても10年になります(169条1項)。

【試験での位置づけと学習ポイント】

改正後の時効では、①5年・10年の二本立て(166条1項)、②生命・身体侵害の特則(167条・724条の2)、③完成猶予と更新の区別、④援用の要否、が頻出です。「除斥期間」という語は条文にほとんど現れないので、条文が「時効によって」と書いているかを確かめる習慣をつけてください。

【根拠条文】

民法 第145条(時効の援用)

民法 第147条〜第152条・第161条(時効の完成猶予・更新)

民法 第166条第1項(債権の消滅時効)・第169条(判決で確定した権利の消滅時効)

民法 第724条・第724条の2(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)

民法 旧第170条〜第174条・商法 旧第522条(いずれも削除)

【補足】

短期消滅時効・商事時効の廃止と5年・10年の二本立て(オ)が正答。不法行為の20年は改正後の条文で「時効によって消滅する」とされており、除斥期間と明記されてはいない(イは誤り)。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録
  • 定期監査正しいとも読める選択肢があったため、民法724条の条文に基づく選択肢に差し替え、正答が1つに決まるようにしました。
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法 第145条(時効の援用)・第147条〜第152条(時効の完成猶予・更新)・第161条(天災等による完成猶予)・第166条第1項(債権の消滅時効)・第724条(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)。民法 旧第170条〜第174条(短期消滅時効・削除)。商法 旧第522条(商事消滅時効・削除)。 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。