ITパスポート 令和3年度 問12:法務に関する問題
労働者派遣に関する記述a〜cのうち,適切なものだけを全て挙げたものはどれか。 a 派遣契約の種類によらず,派遣労働者の選任は派遣先が行う。 b 派遣労働者であった者を,派遣元との雇用期間が終了後,派遣先が雇用してもよい。 c 派遣労働者の給与を派遣先が支払う。
- aa
- ba, b
- cb正答
- db, c
AI解説(初心者・標準・上級)
理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。
答えは c(bだけ) です。
派遣は「派遣会社に雇われた人が、別の会社(派遣先)に行って働く」しくみ。給料は"雇い主=派遣会社"が払い、仕事の指示は"働きに行った先=派遣先"が出します。
- b 派遣の契約が終わったあと、派遣先がその人を直接雇うのはOK(〇)。よくある話です。
- a 「だれを派遣するか選ぶのは派遣先」は×。選ぶのは派遣会社(派遣元)の役目。
- c 「給料を派遣先が払う」は×。給料を払うのは雇い主=派遣会社(派遣元)。
👉 覚え方:雇うのも給料も"派遣元"/仕事の指示は"派遣先"。
なぜこれが正解か
正解は c(bのみ)。労働者派遣では、雇用関係は派遣元(給与支払い・雇用契約)、指揮命令は派遣先にある三者関係。bの「派遣期間終了後に派遣先が直接雇用する」ことは認められており、適切。
各項目の判定
- a:派遣労働者の選任(だれを派遣するか)は派遣元が行う。派遣先が特定の労働者を指名することは原則禁止(×)。
- b:派遣終了後、派遣先が当該労働者を雇用することは可能(〇)。むしろ紹介予定派遣など直接雇用を前提とする形態もある。
- c:給与の支払いは雇用主である派遣元の責任(×、派遣先ではない)。
覚え方・ひっかけ注意
「雇用・給与=派遣元/指揮命令=派遣先」が原則。aの"派遣先が選ぶ"、cの"派遣先が給与を払う"はいずれも雇用関係の主体を取り違えさせる定番ひっかけ。
法的構造:三者関係の詳細
労働者派遣法(正式名:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律、1986年施行・2012年大改正・2020年同一賃金対応改正)は三者関係を規定する。①派遣元(派遣会社)と派遣労働者の間:雇用契約(賃金・社会保険の義務は派遣元が負う)、②派遣元と派遣先の間:労働者派遣契約(派遣する業務・期間・条件を規定)、③派遣先と派遣労働者の間:指揮命令関係のみ(雇用関係なし)。この構造が請負(注文者は労働者に直接指揮命令できない・請負人が完成責任を負う)・準委任(事務処理の委託・請負より緩やか)・出向(出向先とも雇用関係が生じる)と根本的に異なる。請負を装いながら実態は指揮命令する偽装請負は違法であり、違反は労働者派遣法・職業安定法の双方で罰則対象。
主要な規制内容
派遣先による特定行為の禁止:事前に派遣労働者を面接・指名する行為は原則禁止(例外:紹介予定派遣)。期間制限:同一の事業所単位での派遣受入れは3年が上限(延長には過半数組合への意見聴取が必要)・個人単位でも同一組織で3年が上限。日雇派遣(30日以内)は原則禁止(例外規定あり)。同一労働同一賃金(2020年施行):派遣労働者と派遣先正社員の不合理な待遇差禁止。派遣会社は「均等・均衡方式」(派遣先の正社員に合わせる)または「労使協定方式」(賃金の目安を定めた統計値以上の水準を労使協定で確保)のいずれかを選択する。選択肢bの直接雇用については、紹介予定派遣という形態が合法的な移行ルートで、派遣期間(最長6ヶ月)終了後の直接雇用を前提に事前面接等の特定行為が例外的に認められる。
実務への影響
IT業界では「SES(System Engineering Service)契約」が問題になることが多い。形式は準委任契約だが実態は客先常駐で指揮命令を受ける場合は偽装請負のリスクがある。発注者側も「派遣」か「請負」かを契約形態と実態で正確に区別しないと違法状態になる。労働法コンプライアンスの観点から、IT企業の法務・採用担当者には本法律の実務知識が求められる。
上位資格への接続
基本情報技術者では労働者派遣法・請負・準委任・出向の区別が法務分野の頻出問題。応用情報以上では雇用形態と社会保険制度(健康保険・厚生年金の適用)、副業・兼業解禁(2018年働き方改革)との関係、フリーランス新法(2024年施行)との比較まで視野が広がる。
選択肢の発展補足
選択肢aの「派遣労働者の選任は派遣先が行う」という誤りは、注文者(派遣先)が労働者を特定できるという誤解から生じる。実際には「この人を派遣してほしい」という要望(特定)は原則禁止で、派遣元が適任者を判断して選任する。選択肢cの「給与は派遣先が払う」は、「派遣先で働いているから派遣先が払う」という直感的誤解。しかし労働契約は派遣元との間にあるため、給与・社会保険・有給休暇は派遣元が管理・支払う義務を負う。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和3年度 問12/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。