ITパスポート 令和3年度 問17:法務に関する問題
プロバイダが提供したサービスにおいて発生した事例a〜cのうち,プロバイダ責任制限法によって,プロバイダの対応責任の対象となり得るものだけを全て挙げたものはどれか。 a 氏名などの個人情報が電子掲示板に掲載されて,個人の権利が侵害された。 b 受信した電子メールの添付ファイルによってマルウェアに感染させられた。 c 無断で利用者IDとパスワードを使われて,ショッピングサイトにアクセスされた。
- aa正答
- ba, b, c
- ca, c
- dc
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答えは a(aだけ) です。
プロバイダ責任制限法は、インターネット上の「掲示板やSNSの書き込み」で誰かが傷つけられたとき、その場所を提供している会社(プロバイダ)がどう対応すべきかを決めた法律です。
だから、掲示板に勝手に名前などをさらされて困った(a)が当てはまります。
👉 覚え方:「ネットに書き込まれて困った」話だけが対象。
ほかの選択肢:b はウイルスにやられた話/c はIDを盗んで悪用された話。どちらもネット上の「書き込みで権利が傷つけられた」ものではないので、この法律の対象ではありません。
なぜこれが正解か
正解は a(aのみ)。プロバイダ責任制限法は、Webサイト・掲示板・SNSなどで他人の権利(名誉・プライバシー等)を侵害する情報が流通した場合に、(1)プロバイダの損害賠償責任の制限と、(2)発信者情報開示請求の手続きを定めた法律。aは個人情報が掲示板に掲載され権利侵害が発生しているので、まさに対象となり得る。
各選択肢の解説
- b:添付ファイルによるマルウェア感染 → 情報流通による権利侵害ではなく、本法の対象外。
- c:IDとパスワードの無断使用による不正アクセス → 不正アクセス禁止法の領域であり、本法の対象外。
覚え方・ひっかけ注意
「掲示板・SNSなどへの書き込み(情報の流通)で権利が侵害された」ケースだけが対象、と覚える。マルウェア感染やID不正使用は別の法律(不正アクセス禁止法など)に分かれる点がひっかけ。
法の構造と正式名称
プロバイダ責任制限法(正式名称:特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律、2001年制定)は「特定電気通信」(不特定多数向けの情報流通=Webサイト・掲示板・SNS等)を対象とする。法の二本柱は、①損害賠償責任の制限:プロバイダが権利侵害情報を知らなかった場合・削除による発信者への損害につき、一定要件下で免責される規定(自分が「知っているか否か」で責任が変わる)、②発信者情報開示請求:被害者がプロバイダに発信者(書き込み者)の氏名・住所・IPアドレス等の開示を求める権利。本法は「情報の流通による権利侵害」が射程であり、マルウェア感染(bはセキュリティ事故)や不正アクセス(cは不正アクセス禁止法)は対象外。
2022年改正の実務インパクト
誹謗中傷被害の深刻化(芸能人の自死事例等)を受けた2022年改正で、従来は発信者特定に2段階の仮処分・本訴訟が必要だったところを、発信者情報開示命令(非訟手続として一体的に処理)・ログ保全命令・提供命令が新設され、大幅に手続が簡素化・迅速化された。さらにプロバイダが開示するべき「発信者情報」の範囲も拡大され、携帯電話番号・メールアドレスも対象に追加された。
実務への影響
SNSプラットフォーマー(Twitter/X・Instagram・Facebook等)は本法の特定電気通信役務提供者として発信者情報開示の義務を負うが、プラットフォームの所在地・準拠法(米国法等)との調整が実務上の課題となる。国境を越えた誹謗中傷への対応として、日本法の域外適用の問題や外国プラットフォームへの開示請求手続が今後の法的争点となりうる。
上位資格への接続
基本情報技術者では本法と不正アクセス禁止法・個人情報保護法・著作権法・不正競争防止法を並べた法律の管轄識別問題が出題される。応用情報以上ではITガバナンス・ネット上の権利侵害への法的対応(仮処分・損害賠償請求・刑事告訴の選択)まで踏み込んだ問題が登場し得る。
選択肢の発展補足
選択肢bのマルウェア添付メール感染は、マルウェアの作成・頒布は不正指令電磁的記録罪(刑法168条の2)、感染を踏み台にした不正アクセスは不正アクセス禁止法で対処する。選択肢cのID/パスワード無断利用は不正アクセス禁止法(識別符号の不正利用・不正保管)が適用される典型事例であり、フィッシングによる認証情報窃取も同法の関連条文で規律される。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和3年度 問17/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。