ITパスポート 令和3年度 問33:法務に関する問題
コンピュータシステム開発の外部への発注において,発注金額の確定後に請負契約を締結した。契約後,支払までに発注側と受注側の間で交わされる書類の組合せのうち,適切なものはどれか。ここで,契約内容の変更はないものとする。
- a提案書,納品書,検収書
- b提案書,見積書,請求書
- c納品書,検収書,請求書正答
- d見積書,納品書,請求書
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答えは c「納品書,検収書,請求書」 です。
この問題は"契約のあとからお金を払うまで"に必要な紙だけを選びます。
金額はもう決まっているので、見積もりやお願い文(提案)はもう不要。
流れは:①品物を渡す=納品書 →②受け取って中身OK確認=検収書 →③じゃあお金ください=請求書、という順番です。
👉 覚え方:「納品 → 検収 → 請求」。届ける→確かめる→払う、の3点セット。
ほかの選択肢にある「提案書」は契約前のお願い文、「見積書」は値段を出す前の紙なので、契約後には入りません。
なぜこれが正解か
正解は c。問題は「発注金額確定後に請負契約を締結した後、支払までに交わす書類」を問うている。契約後の流れは、受注側が成果物を引き渡す納品書 → 発注側が内容を確認し合格を出す検収書 → 受注側が代金を求める請求書、の順。よって c が適切。
各選択肢の解説
- a 提案書・納品書・検収書:提案書は契約前(受注獲得のための提案段階)の書類なので不適。
- b 提案書・見積書・請求書:提案書・見積書はいずれも契約前の書類。
- d 見積書・納品書・請求書:見積書は金額確定前=契約前の書類で、契約後の流れに含まれない。
覚え方・ひっかけ注意
契約"前"=提案書・見積書、契約"後"=納品書・検収書・請求書、と時系列で線引きする。「金額確定後」と書いてあれば見積書はもう不要、というのがひっかけポイント。
取引文書の体系と法的意義
企業間取引(B2B)の標準的な書類フローは、問合せ→見積依頼(RFQ)→見積書(金額・条件の提示)→交渉・合意→発注書(注文書)・注文請書(契約の成立証拠)→納品書(成果物引渡しの証拠)→検収書(発注者による受入確認)→請求書(代金請求権の行使)→領収書(支払完了の証拠)という流れ。本問の「金額確定後に請負契約を締結した後」という条件が意味するのは、見積書・提案書は既に完了した段階であるということで、その後に交わす書類として納品書・検収書・請求書の3点が正解になる。
検収の法的効果
請負契約(民法632条)では、受注者は仕事完成義務を負い、完成物を引き渡した時点で代金請求権が発生する(634条・636条)。発注者による検収(受入確認)は、①代金支払義務の確定、②契約不適合責任(旧・瑕疵担保責任)の起算(不適合を知った時から1年以内の通知義務)、③成果物の危険(滅失等リスク)の移転、という重大な法的効果を発生させる。システム開発では検収基準・検収期間・不合格時の修補請求・再検収の手続を契約書に明記することが重要で、「みなし検収条項」(所定期間内に検収結果を通知しなければ合格とみなす)も実務上よく使われる。
電子化・法的対応
2023年のインボイス制度(適格請求書等保存方式)施行により、請求書は適格請求書発行事業者の登録番号・税率ごとの区分記載が必要となった。電子帳簿保存法(2022年改正)では電子取引データ(電子メール添付のPDF請求書等)のデータ保存が義務化され、紙での保存が認められなくなった。これにより企業はERPやクラウド請求書管理システム(Misoca・マネーフォワードクラウド請求書等)での対応が事実上必須となった。
上位資格への接続
基本情報技術者では調達プロセス(RFI/RFP/RFQ)・請負と準委任の区別・下請法(60日以内支払義務・書面交付義務・買いたたき禁止等)・電子契約の法的有効性(電子署名法)が問われる。応用情報以上では複数段階委託(多重下請)における検収責任の所在・偽装請負の判断基準・収益認識基準(IFRS15/ASC606)における検収タイミングと売上計上の関係まで踏み込む。
選択肢の発展補足
提案書(選択肢a・b)は受注前の商談資料で、法的拘束力はなく(ただし提案書への明示的な承諾が契約成立と認定されるケースもある)、営業秘密として取扱い注意が必要。見積書(選択肢b・d)は民法上の「申込みの誘引」に当たるのが一般的(承諾があって初めて契約成立)で、有効期限・数量・条件を明示することが重要。発注書・注文請書のセットが契約成立の証拠として最も確実で、「口頭での発注+見積書のみ」の状態ではトラブルが発生しやすい。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和3年度 問33/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。