ITパスポート 令和3年度 問97:ネットワークに関する問題
複数のコンピュータが同じ内容のデータを保持し,各コンピュータがデータの正当性を検証して担保することによって,矛盾なくデータを改ざんすることが困難となる,暗号資産の基盤技術として利用されている分散型台帳を実現したものはどれか。
- aクラウドコンピューティング
- bディープラーニング
- cブロックチェーン正答
- dリレーショナルデータベース
AI解説(初心者・標準・上級)
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答えは c「ブロックチェーン」 です。
ふつう帳簿は1か所(銀行など)で管理しますが、ブロックチェーンはみんなで同じ帳簿のコピーを持ち合う仕組みです。
取引記録を“ブロック”という箱に入れ、鎖(チェーン)のようにつないで保存。みんなで見張っているので、1人がこっそり書き換えても他と食い違ってすぐバレる=改ざんしにくい。これが暗号資産(ビットコインなど)の土台です。
👉 覚え方:ブロックを鎖でつなぐ=みんなで持つ改ざん困難な帳簿。
ほかの選択肢:a クラウド=ネット上の貸しコンピュータ/b ディープラーニング=AIの学習/d リレーショナルDB=表で管理する普通のデータベース。
なぜこれが正解か
正解は c。ブロックチェーンは、取引記録(トランザクション)を「ブロック」にまとめ、各ブロックを暗号技術(ハッシュ)で連結して鎖状に保存する技術。多数のノードが同一データを保持し、各自が正当性を検証し合う分散型台帳(DLT)を実現する。一部を改ざんすると後続ブロックのハッシュが全て不整合になるため、改ざんが極めて困難。暗号資産の基盤。
各選択肢の解説
- a クラウドコンピューティング:ネット越しにIT資源を利用する形態。分散“台帳”ではない。
- b ディープラーニング:多層ニューラルネットによる機械学習。データ管理技術ではない。
- d リレーショナルデータベース:表形式でデータを集中管理する従来型DB。中央管理が前提。
覚え方・ひっかけ注意
「分散型台帳=ブロックチェーン」「改ざん困難+暗号資産の基盤」の3点セットで暗記。中央に管理者がいるリレーショナルDBとの対比(分散 vs 集中)がポイント。
理論的背景
ブロックチェーンは2008年に「Satoshi Nakamoto」名義で発表された論文「Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System」で提唱された技術であり、翌2009年にビットコインネットワークとして稼働を開始した。分散型台帳技術(DLT:Distributed Ledger Technology)の一実装として位置づけられる。
ブロックの構造は以下の要素で構成される。
- ブロックヘッダー:直前ブロックのハッシュ値(SHA-256等)、マークルルートハッシュ(そのブロック内の全トランザクションをツリー構造でハッシュ化したもの)、タイムスタンプ、ナンス(nonce:PoWで試行する乱数値)
- ブロックボディ:複数のトランザクション(取引記録)群
改ざん困難性の数理的根拠は「一方向ハッシュ関数の衝突困難性」にある。あるブロックのデータを1ビットでも変更するとそのブロックのハッシュ値が変わり、次ブロックに埋め込まれた「前ブロックのハッシュ」と不一致になる。この不一致を連鎖して後続ブロック全てを再計算するには膨大な計算コストが必要で、かつネットワーク参加ノードの過半数を支配する「51%攻撃」を同時に行わないと他ノードに認められない。
合意形成アルゴリズムには主に2方式がある。PoW(Proof of Work)はハッシュ値の条件(先頭Nビットがゼロ)を満たすナンスを探す計算競争で、ビットコインが採用する。膨大な電力消費が環境問題化している。PoS(Proof of Stake)は保有する暗号資産量に応じて検証権を付与する方式で、イーサリアムが2022年に「The Merge」でPoSへ移行し電力消費を99%以上削減した。
実務での使われ方
金融分野:国際送金インフラとしてRippleネットワークが金融機関間決済に活用される。日本では三菱UFJや三井住友銀行が参加実績を持つ。CBDCデジタル通貨)の技術基盤としても各国中央銀行が研究・実証実験を進めている。
サプライチェーン管理:Walmartは食品トレーサビリティにIBM Foodトラストを採用し、食中毒発生時のコスト削減とリコール対応を迅速化した。農産物の産地から店頭まで全工程をブロックチェーンに記録することで、偽造防止と透明性を確保している。
NFT・デジタル所有権:Non-Fungible Token(非代替性トークン)はイーサリアムのERC-721規格で実装され、デジタルアート・ゲームアイテム・チケットの唯一性と所有権証明に用いられる。
パブリック/コンソーシアム/プライベート型の区分:誰でも参加できるビットコイン型(パブリック)、特定企業連合が管理するHyperledger Fabric型(コンソーシアム)、単一企業内で運用するプライベート型があり、機密性要件に応じて選択される。
試験での位置づけ
ITパスポートの新技術・ネットワーク分野で毎年出題される最重要語の一つ。「分散型台帳」「改ざん困難」「暗号資産の基盤」の3キーワードセットを即連想できるようにする。近年はスマートコントラクト・NFT・Web3・DeFi(分散型金融)といった関連概念を絡めた応用問題も増加している。
上位資格では、ハッシュ関数の性質(一方向性・衝突困難性)、マークルツリー構造、PoW/PoSの違い、パーミッション型vs非パーミッション型の使い分けまで問われる。
選択肢の発展補足
選択肢a(クラウドコンピューティング):IaaS/PaaS/SaaSの形態でネット経由にIT資源を提供するモデル。中央のクラウド事業者が資源を集中管理する点がブロックチェーンの「非中央集権」と根本的に異なる。ただしブロックチェーンノードをクラウド上で運用する(例:AWS上でEthereumノードを動かす)形態は一般的であり、両者は対立ではなく組み合わせ可能な概念。
選択肢b(ディープラーニング):ニューラルネットワークを多層化した機械学習アーキテクチャ。誤差逆伝播法(バックプロパゲーション)で重みを最適化する。ブロックチェーンとAIを組み合わせた応用(AIモデルの訓練データ出所をブロックチェーンで証明する「AI Provenance」など)も研究されており、両技術の組み合わせが注目される領域でもある。
選択肢d(リレーショナルデータベース):Edgar Codd(1970年)が提唱した表形式のデータモデル。ACID特性(原子性・一貫性・分離性・耐久性)を持つ中央集権型の管理基盤。ブロックチェーンとの根本的な違いは「管理主体の一元性vs分散性」「データの更新可能性vsイミュータブル(書き換え不可)性」の2点。トランザクションの概念は両者で共通するが意味が異なる。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和3年度 問97/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。