ITパスポート 令和4年度 問11:財務・会計に関する問題
与信限度額が3,000万円に設定されている取引先の5月31日業務終了時までの全取引が表のとおりであるとき,その時点での取引先の与信の余力は何万円か。ここで,受注分も与信に含めるものとし,満期日前の手形回収は回収とはみなさないものとする。 取引①:4/2売上計上400万円,5/31現金回収400万円 取引②:4/10売上計上300万円,5/10手形回収300万円(満期日:6/10) 取引③:5/15売上計上600万円 取引④:5/20受注200万円
- a1,100
- b1,900正答
- c2,200
- d2,400
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答えは a です。
シュリンクラップ契約とは、市販ソフトの箱(パッケージ)に「この包装を開けたら、中の使用ルール(使用許諾条件)に同意したことになります」と書いてある契約のこと。だから、ルールをよく読んでいなくても、封を開けた時点で契約が成立してしまいます。
👉 覚え方:シュリンク=透明フィルムの包装。『封を開けたら同意』が合言葉。
ほかの選択肢:b〜dは『開けても期間内なら取り消せる』『使わなければ無効』など、ゆるい条件を言っていますが、実際は『開封=即同意』なので誤りです。
なぜこれが正解か
正解は a。シュリンクラップ契約とは、ソフトウェアパッケージの包装(シュリンク=収縮フィルム)に「開封すると使用許諾条件に同意したものとみなす」旨を表示しておき、利用者が包装を開封した時点で契約が成立するとする方式。よって、使用許諾条件を理解していなかったとしても、開封すれば契約は成立する。
各選択肢の解説
- b 開封しても一定期間内なら無効にできる:誤り。開封=同意なので原則撤回できない。
- c 一定期間利用を開始しなければ無効:誤り。利用開始の有無ではなく開封で成立する。
- d 開封しなくても一定期間経過で成立:誤り。成立の契機はあくまで開封。
覚え方・ひっかけ注意
「シュリンクラップ=開封で同意・成立」が核心。bcdは「期間」「利用開始」など別の条件で成立・無効を語らせる引っかけ。クリックで同意するクリックオン(クリックラップ)契約とセットで「同意の意思表示の仕方が違うだけ」と整理すると覚えやすい。
理論的背景
与信管理(Credit Management)は、取引先企業の倒産・支払遅延による「売上代金の回収不能(貸倒れ)リスク」をコントロールするための財務管理手法である。与信限度額(クレジットライン)は「この取引先に対して最大でどこまで信用を供与するか」という上限を金額で設定したもので、未回収残高の合計がこの限度額を超えないよう管理する。
「与信残高」の概念では、現金回収が完了した部分のみが枠から解放される。本問では「満期日前の手形回収は回収とみなさない」という前提条件と「受注分も与信に含める」という2条件が設定されており、これが計算の核心。
5月31日時点での各取引の与信残高への影響を丁寧に分析する。
- 取引①(売上400万円・5/31現金回収400万円):現金回収が完了しているため与信残高はゼロ。400万円は枠を解放済み。
- 取引②(売上300万円・5/10手形回収300万円、満期6/10):手形で回収したが満期は6/10(=5/31時点で未到来)。問題条件より「満期日前の手形回収は回収とみなさない」ため、300万円は与信残高に計上。受取手形は現金化リスクが残っている。
- 取引③(5/15売上600万円):現金未回収のまま売掛金として残存。600万円が与信残高。
- 取引④(5/20受注200万円):まだ売上計上前だが「受注分も与信に含める」という条件があるため、200万円を与信消費として計上。
与信残高合計:300+600+200=1,100万円。与信余力:3,000−1,100=1,900万円。
実務での使われ方
B2B取引の与信管理は「信用調査(財務諸表分析・帝国データバンクや東京商工リサーチの調査レポート活用)→与信限度額の設定(格付けモデル)→取引中のリスクモニタリング→督促・回収対応」という管理サイクルで運用される。
受取手形の満期前リスクを管理する観点は実務上重要で、取引先が決済前に経営破綻すると不渡り(手形が決済不能になること)が発生し、手形を受け取った側が損失を被る。銀行に満期前に持ち込んで現金化する「手形割引」でこのリスクを回避できるが、取引先が破綻した場合は割引した銀行から買い戻しを求められる(遡求権)ため、リスクの本質的な解消にはならない。
受注を与信に含める運用は保守的な管理方針で、商品を出荷・納品した後に取引先が与信枠を超過していることが発覚して取引停止になるリスクを防ぐ目的がある。
試験での位置づけ
ITパスポートの財務・会計分野における数値計算問題として出題される高難度問題。「条件を正確に読み取り(満期前手形は回収とみなさない、受注も含める)」「各取引を個別に判定する」「合計と差し引き計算を行う」という3ステップを踏む。よくある誤答パターンは「4月30日の取引①も混入する」か「手形回収済みを回収完了と誤認する」かの2通り。
上位資格では、売掛金・受取手形・電子記録債権の会計上の区分、貸倒引当金の計上基準(個別評価・一括評価)、キャッシュフロー計算書上での回収状況の反映、与信管理システム(ERP統合)の設計要件まで踏み込んだ問題が出る。
選択肢の発展補足
選択肢a(1,100万円):与信限度額3,000万円から、与信余力ではなく与信残高(消費額)をそのまま答えた場合の誤答。「与信の余力」は「残り使える枠」であり「使った枠(残高)」ではない。問われているのは残枠なので、3,000から残高を引く計算が必要。
選択肢c(2,200万円):受注200万円を与信に含めずに計算した場合の誤答。3,000−(300+600)=2,100万円…ではなく、さらに現金回収400万円を二重計算するなど別の計算ミスが重なる場合もある。「受注分も与信に含める」という条件の見落としが主因。
選択肢d(2,400万円):取引②の手形回収を回収完了と誤認した場合(300万円を与信解放とみなす)の誤答。3,000−(600+200)=2,200万円でもなく、計算プロセスに別途ミスが入ると2,400万円になる場合がある。「満期日前の手形回収は回収とみなさない」という条件が与信計算での最大のひっかけポイントであることを再確認すること。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和4年度 問11/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。