令和4年度19ストラテジ系

ITパスポート 令和4年度 問19:経営戦略に関する問題

製造販売業A社は,バランススコアカードの考え方を用いて戦略テーマを設定した。業務プロセス(内部ビジネスプロセス)の視点に基づく戦略テーマとして,最も適切なものはどれか。

  • a売上高の拡大
  • b顧客ロイヤルティの拡大
  • c従業員の技術力強化
  • d部品の共有化比率の向上正答
正答:D部品の共有化比率の向上

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答えは d「部品の共有化比率の向上」 です。

バランススコアカードは、会社を4つの目線(お金・お客さん・社内の仕事のやり方・人の成長)でバランスよく見る道具。今回聞かれている『業務プロセス(社内の仕事のやり方)』の目線とは『どうやって効率よく作るか』という話。複数の製品で同じ部品を使い回す(共有化する)のは、まさに作り方の工夫なのでこれが正解です。

👉 覚え方:業務プロセス=『社内の作り方・進め方の工夫』。

ほかの選択肢:a 売上拡大→お金の目線/b 顧客ロイヤルティ→お客さんの目線/c 従業員の技術力→人の成長の目線。

標準試験対策の基準レベル

なぜこれが正解か

正解は d。バランススコアカード(BSC)は企業の戦略を「財務」「顧客」「業務プロセス(内部ビジネスプロセス)」「学習と成長」の4視点で管理する手法。業務プロセスの視点は「業務をどう改善・効率化するか」を扱う。dの「部品の共有化比率の向上」は製造工程・業務の改善に直結するため、この視点の戦略テーマとして最適。

各選択肢の解説(対応する視点)

  • a 売上高の拡大:財務の視点
  • b 顧客ロイヤルティの拡大:顧客の視点
  • c 従業員の技術力強化:学習と成長の視点

覚え方・ひっかけ注意

4視点は「財務=お金、顧客=お客様、業務プロセス=社内の仕事のやり方、学習と成長=人材・組織」。設問は4つの選択肢を1つずつ各視点に対応させる典型パターン。「業務プロセス=つくり方・進め方の改善」と結びつければdが選べる。

上級誤答論破・背景理論まで深掘り

理論的背景

BSC(Balanced Scorecard:バランスト・スコアカード)はHarvard Business SchoolのRobert Kaplan教授とDavid Norton氏が1992年に提唱した戦略的マネジメントフレームワークである。財務指標だけでなく、顧客・業務プロセス・学習と成長という4つの視点からKPIを設定してバランスよく経営を評価・管理する。

4つの視点の定義は以下の通り。

1. 財務の視点(Financial Perspective):株主・投資家への価値提供。売上高・利益率・ROE・ROI・EVAなどの財務指標。選択肢aの「売上高の拡大」はここに分類。

2. 顧客の視点(Customer Perspective):顧客満足・顧客獲得・顧客維持・市場シェア。選択肢bの「顧客ロイヤルティの拡大」はここに分類。

3. 業務プロセス(内部ビジネスプロセス)の視点(Internal Business Process Perspective):財務・顧客の目標を達成するための内部プロセスの効率化・品質改善・革新。選択肢dの「部品の共有化比率の向上」は製造プロセスの効率化・標準化に関わる内部プロセスの指標として正解に該当。

4. 学習と成長の視点(Learning and Growth Perspective):従業員のスキル・ITシステム・組織文化の改善。選択肢cの「従業員の技術力強化」はここに分類。

本問のポイントは、「業務プロセスの視点」が「製造・販売・サービス提供などの内部オペレーションの効率・品質・革新」を評価するものであることを理解することにある。部品の共有化比率向上は、複数製品で共通部品を使うことで製造コスト削減・調達効率化・在庫管理簡素化を実現する内部プロセスの改善指標として典型的。

実務での使われ方

BSCは財務指標偏重の限界(過去指標・短期思考)を補うため、遅行指標(財務)と先行指標(顧客・プロセス・学習)のバランスを取る点が特徴。製造業でのBSC適用例として、財務視点「利益率15%」→顧客視点「顧客満足度スコア90点以上」→業務プロセス視点「不良品率0.1%以下・部品共有化率70%以上」→学習と成長視点「技術者スキル認定率80%以上」という戦略マップを描いて目標を連鎖させる運用が一般的。

戦略マップ(Strategy Map)はBSCの4視点の因果関係を可視化したもので、「従業員スキル向上(学習と成長)→内部プロセス効率化(業務プロセス)→顧客満足向上(顧客)→売上・利益拡大(財務)」という論理的連鎖を表現する。KPIツリーとも呼ばれ、戦略の組織への浸透手段として活用される。

試験での位置づけ

ITパスポートのストラテジ系・経営戦略分野で頻出。4視点の「どれがどの区分に入るか」を問う問題が定番。本問では「業務プロセスの視点=内部オペレーション」という区分の理解が核心。財務(売上・利益)・顧客(満足度・ロイヤルティ)・学習と成長(従業員スキル)・業務プロセス(内部効率・部品共有化)の対応関係を縦横無尽に問われる。

上位資格では、戦略マップの作成・KPI間の因果関係設計、遅行指標(ラギング指標)と先行指標(リーディング指標)の区別、BSCの実施プロセス(戦略の明確化→BSC作成→浸透→フィードバック)、HOSHIN KANRI(方針管理)との比較まで踏み込んだ問題が出る。

選択肢の発展補足

選択肢a(売上高の拡大):財務の視点のKPIとして最も直接的な例。売上高・営業利益率・ROE(自己資本利益率)・EVA(経済付加価値)・EBITDA(金利・税金・減価償却前利益)などが財務視点の代表指標。BSC導入の背景にある問題意識は「財務指標だけでは将来業績を予測できない」という限界であり、財務以外の3視点が財務目標の達成を支える先行指標として機能する。

選択肢b(顧客ロイヤルティの拡大):顧客の視点のKPIとして典型的。顧客満足度(CSスコア・NPS:ネットプロモータースコア)・顧客獲得数・顧客維持率・市場シェア・クレーム件数などが顧客視点の代表指標。本問の「顧客ロイヤルティ」はNPSや継続購買率で測定される概念で、「顧客が製品・サービスに価値を感じて継続利用・推奨する状態」を指す。ロイヤルティが高い顧客はLTV(顧客生涯価値)が高く、財務パフォーマンスの先行指標となる。

選択肢c(従業員の技術力強化):学習と成長の視点のKPIとして典型的。従業員スキル習得率・研修時間・資格取得者数・従業員満足度・IT化スキルレベルなどが代表指標。Kaplanらは当初「学習と革新の視点」と呼んでいたものを後に「学習と成長の視点」に改称した。人的資本・情報資本・組織資本の3要素が含まれ、デジタルトランスフォーメーション時代における最重要視点として再評価されている。

出典・引用について

出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和4年度19/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。

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