令和4年度21ストラテジ系

ITパスポート 令和4年度 問21:AI・Society5.0に関する問題

政府が定める"人間中心のAI社会原則"では,三つの価値を理念として尊重し,その実現を追求する社会を構築していくべきとしている。実現を追求していくべき社会の姿だけを全て挙げたものはどれか。 a 持続性ある社会 b 多様な背景を持つ人々が多様な幸せを追求できる社会 c 人間があらゆる労働から解放される社会 d 人間の尊厳が尊重される社会

  • aa, b, c
  • ba, b, d正答
  • ca, c, d
  • db, c, d
正答:Ba, b, d

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答えは b「a, b, d」 です。

国が決めた「AIとうまく付き合うための約束ごと」では、目指す社会の姿を3つ挙げています。それは「①ずっと続けられる社会(持続性)」「②いろんな人がそれぞれの幸せを追える社会」「③人としての大切さが守られる社会」です。

まちがいは c「あらゆる労働から解放される社会」。AIで仕事はラクになりますが、「人を働かなくていいようにする」ことが目標ではありません。ここがひっかけです。

👉 覚え方:「持続・多様な幸せ・尊厳」の3つ。“働かなくていい”は入らない!

標準試験対策の基準レベル

なぜこれが正解か

正解は b(a, b, d)。政府の「人間中心のAI社会原則」では、尊重すべき3つの基本理念として「①人間の尊厳が尊重される社会」「②多様な背景を持つ人々が多様な幸せを追求できる社会」「③持続性ある社会」を掲げている。

各選択肢の解説

  • a 持続性ある社会:○ 3理念の一つ。
  • b 多様な幸せを追求できる社会:○ 3理念の一つ。
  • c 人間があらゆる労働から解放される社会:✕ 理念に含まれない。AIは人間を労働から「解放する」ためのものではなく、能力を拡張し支援する位置づけ。
  • d 人間の尊厳が尊重される社会:○ 3理念の一つ。

覚え方・ひっかけ注意

c は「AI=楽になる」というイメージで正しそうに見えるが含まれない。「尊厳・多様・持続」の3点セットで暗記。AIはあくまで人間中心(human-centric)が大前提。

上級誤答論破・背景理論まで深掘り

理論的背景

「人間中心のAI社会原則」は2019年3月に内閣府の統合イノベーション戦略推進会議が策定した文書であり、AIが社会に浸透するにあたり守るべき基本原則を示したものである。国際的なAIガバナンスの枠組み(OECD AI原則・G20 AI原則・EU AI倫理ガイドラインに呼応する形で策定された)。

本文書で「三つの価値」として挙げられているのは以下の3点。

1. 人間の尊厳(Human Dignity):AIが個人の尊厳を脅かすことなく、人間がAIによって傷つけられることなく共存できる社会。選択肢d「人間の尊厳が尊重される社会」が対応する。

2. 多様性・包摂性(Diversity and Inclusion):様々な背景・文化・価値観を持つ人々が多様な幸せを追求できる包摂的な社会。選択肢b「多様な背景を持つ人々が多様な幸せを追求できる社会」が対応する。

3. 持続可能性(Sustainability):環境・社会・経済のバランスを取り、将来世代を考慮した持続可能な社会の実現。選択肢a「持続性ある社会」が対応する。

選択肢cの「人間があらゆる労働から解放される社会」はこの原則には含まれない。「人間中心」の精神は人間の尊厳・主体性・意思決定権を守ることにあり、「労働からの解放」という自動化推進論的な主張とは異なる。むしろAIが人間の能力を補完・拡張して「人間らしい仕事」に集中できる社会の実現を目指しており、全ての労働を機械に置き換えることが目的ではない。

実務での使われ方

本原則はその後の「AI戦略2019・2022・2023」「デジタル社会の実現に向けた重点計画」等の政策文書の基盤となっている。企業のAI倫理指針策定においても、この原則の3つの価値(尊厳・多様性・持続可能性)を組み込むことが推奨されており、NTT・ソフトバンク・富士通等の大手IT企業がAI倫理方針を公表している。

国際的な動向として、EU AI法(AI Act、2024年施行)は「高リスクAIシステム」に対する厳格な規制を設け、個人のプロファイリング・生体認証・採用選考AIなどを対象に透明性・説明可能性・人間監督の義務を定めている。本原則の「人間中心」の考え方はEU AI法の理念とも整合する。

試験での位置づけ

ITパスポートのAI・Society5.0・倫理分野で出題頻度が高まっている。「人間中心のAI社会原則」の3つの社会像(尊厳・多様性・持続可能性)を覚え、「あらゆる労働から解放」という過激な自動化推進論が含まれていないことを確認する。近年のAI・倫理系の問題は正確な知識よりも「どの選択肢が原則の精神と合致するか」という概念理解を問う形式が多い。

上位資格では、AI倫理の国際原則(OECD AI原則・EU AI Act・UNESCO AI勧告)の比較、説明可能AI(XAI)・公平性・透明性・説明責任の技術的概念、AIバイアスの種類と対策(データバイアス・アルゴリズムバイアス)まで踏み込んだ問題が出る。

選択肢の発展補足

選択肢a(持続性ある社会):3つの価値の一つ「持続可能性」に対応。SDGs(持続可能な開発目標、2030年アジェンダ)との接続もあり、AIがエネルギー効率化・気候変動対策・農業生産最適化等に貢献することで持続可能な社会の実現を支援するという思想。AIのトレーニングに膨大な電力を消費するという「AI自体のカーボンフットプリント問題」も持続可能性の観点から論点化されている。

選択肢b(多様な背景を持つ人々が多様な幸せを追求できる社会):3つの価値の「多様性・包摂性」に対応。AIが特定の人種・性別・年齢層に偏った結果を出力する「AIバイアス問題」はこの原則に反する。Amazonの採用AIが女性候補者を低評価した事例(2018年廃棄)、米国の再犯リスク予測ツールCOMPASが黒人に対して誤判定が多いという問題提起など、多様性を損なうAI活用の具体的失敗例として知られる。

選択肢c(人間があらゆる労働から解放される社会):含まれない選択肢。AI・ロボットによる自動化が進んでも「人間が主体的に判断し行動する」という人間中心の思想と「全労働からの解放」は矛盾する面がある。技術的失業問題(AIによる雇用代替)はUBI(ユニバーサルベーシックインカム)議論とも絡むが、本原則の3価値には含まれていない。

選択肢d(人間の尊厳が尊重される社会):3つの価値の「人間の尊厳」に対応。自律型致死兵器(LAWS:Lethal Autonomous Weapons Systems)の倫理問題、AIによる監視・顔認識技術の悪用(全体主義的監視社会への懸念)は人間の尊厳に関わる重要な倫理課題として国際的に議論されている。「AIによる決定を人間が覆せる権利(Human-in-the-loop/Human-on-the-loop)」の確保が尊厳保護の重要な要件とされる。

出典・引用について

出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和4年度21/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。

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