ITパスポート 令和5年度 問29:corporate_legalに関する問題
不正な販売行為を防ぐために,正当な理由なく映像ソフトのコピープロテクトを無効化するプログラムの販売行為を規制している法律はどれか。
- a商標法
- b特定商取引に関する法律
- c不正アクセス行為の禁止等に関する法律
- d不正競争防止法正答
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答えは d「不正競争防止法」 です。
DVDなどには、勝手にコピーされないよう「コピーガード(鍵)」がかかっています。この鍵を外してしまう道具(プログラム)を売るのはズルい商売なので、禁止されています。
この「ズルい商売(不正な競争)をしちゃダメ」と決めているのが不正競争防止法です。
👉 覚え方:コピーガード外しの販売禁止=「ズルい競争はダメ」=不正競争防止法。
ほかの選択肢:a 商標法=ブランドのマーク・名前を守る法律/b 特定商取引法=通販・訪問販売でお客を守る法律/c 不正アクセス禁止法=他人のIDで勝手にログインするのを禁止する法律。今回のテーマとは違います。
なぜこれが正解か
正解は d。不正競争防止法は、事業者間の公正な競争を確保するための法律で、コピープロテクト(技術的制限手段)を無効化する装置やプログラムの提供・販売などを「不正競争」として規制している。映像ソフトの複製防止を解除するプログラムの販売は、まさにこの規制対象。
各選択肢の解説
- a 商標法:商品・サービスの目印(商標)を保護し、ブランドの混同を防ぐ法律。
- b 特定商取引に関する法律:通信販売・訪問販売など特定の取引で消費者を保護する法律。
- c 不正アクセス行為の禁止等に関する法律:他人のID・パスワードでの不正ログインなどを禁止する法律。
覚え方・ひっかけ注意
「コピーガード外し・営業秘密の侵害・周知表示の冒用」は不正競争防止法と覚える。著作権法やコンテンツ保護と混同しやすいが、本問では『販売行為の規制』という競争秩序の観点で不正競争防止法が問われている。
理論的背景
不正競争防止法(1993年全面改正・以降数次改正)は、事業者間の公正な競争秩序を保護するための行為規制型の法律であり、著作権法や特許法のような「権利付与型」知的財産法とは法的性格が異なる。権利付与型は特定の権利を創設しその侵害に対応するのに対し、不正競争防止法は「不正競争」として列挙された行為類型を規制し、差止請求・損害賠償請求・刑事罰(最大で懲役5年・罰金500万円・両罰規定あり)を可能にする。
コピープロテクション(技術的制限手段)の無効化に関しては、同法2条1項17号・18号に「技術的制限手段を無効化する機能を有するプログラムの提供等」が不正競争として列挙されている。「正当な理由なく」という要件がある点が重要で、セキュリティ研究・相互運用性確保のための解析が一定範囲で許容される余地も残されている。映像ソフトのDVDコピーガードはCSS(Content Scramble System)という技術的保護手段であり、これを無効化するプログラムの販売は本法の規制対象となる。
実務での使われ方
不正競争防止法は企業の情報セキュリティ・知的財産管理の実務で多面的に関わる法律である。特に「営業秘密」(秘密管理性・有用性・非公知性の3要件を満たす技術情報・営業情報)の保護は、退職者による顧客リスト・技術ノウハウの持ち出しに対する法的対抗手段として重視されている。2015年の大幅改正では、不正競争によって取得した営業秘密を使用した場合の損害賠償の特則や、データ改ざん行為の追加など、デジタル時代の脅威に対応する規定が整備された。
さらに2018年改正で「限定提供データ」(ID管理で提供される産業データ)の不正取得・使用規制が追加され、デジタルデータのビジネス流通を保護する範囲が拡大した。AIの学習データ取得や自動運転データの取り扱いについても本法の適用が議論されている。
知的財産権の体系では、著作権法がコンテンツの「表現」を保護し、不正競争防止法がコピープロテクション「技術手段の保護」を担う。両法の重なりがある点は試験でも実務でも混乱しやすいが、本問で問われているのは「販売行為という商取引の公正性」であり、不正競争防止法が適切な根拠となる。
試験での位置づけ
ITパスポートの法務分野(ストラテジ系)では知的財産権関連法と関連規制法の出題が安定している。問われる主な法律は著作権法・特許法・商標法・意匠法・不正競争防止法・個人情報保護法・不正アクセス禁止法・特定商取引法・電子署名法など多岐にわたる。それぞれが「何を守るか・何を禁じるか」の核心を把握しておくことが効率的な対策となる。
不正競争防止法はコピープロテクション解除・営業秘密侵害・ブランド冒用の3トピックで問われることが多い。上位資格の基本情報技術者・情報セキュリティマネジメント試験では、法律の条文レベルの理解よりも「実際の侵害行為がどの法律に該当するか」の事例判断が中心となる。
選択肢の発展補足
商標法(a):商品・サービスに使用するブランド名・ロゴ(商標)を登録することで独占的使用権を付与する法律。他社が類似商標を無断使用することへの差止・賠償請求が可能。コピープロテクションの解除ではなく「ブランドの混同」を防ぐ法律。
特定商取引に関する法律(b):訪問販売・通信販売・電話勧誘販売・連鎖販売取引・特定継続的役務提供などを規制し、消費者保護を目的とする法律。クーリングオフ制度の根拠法。デジタルコンテンツの販売方法規制は含まれるが、コピープロテクション技術の規制は範囲外。
不正アクセス行為の禁止等に関する法律(c):他人のIDとパスワードを使った不正ログインや、アクセス制御を回避するプログラムの提供を禁止する法律。「認証を騙してシステムに侵入する行為」が対象であり、ソフトウェアのコピープロテクション解除とは行為の本質が異なる。不正アクセス禁止法は「誰かのシステムに侵入する」行為、不正競争防止法のコピープロテクション規制は「コンテンツ保護機能を無効化して不正流通を可能にする」行為、という違いを押さえること。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和5年度 問29/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。