令和5年度71テクノロジ系

ITパスポート 令和5年度 問71:networkに関する問題

IoTシステムにおけるエッジコンピューティングに関する記述として,最も適切なものはどれか。

  • aIoTデバイスの増加によるIoTサーバの負荷を軽減するために,IoTデバイスに近いところで可能な限りのデータ処理を行う。正答
  • b一定時間ごとに複数の取引をまとめたデータを作成し,そのデータに直前のデータのハッシュ値を埋め込むことによって,データを相互に関連付け,改ざんすることを困難にすることによって,データの信頼性を高める。
  • cネットワークの先にあるデータセンター上に集約されたコンピュータ資源を,ネットワークを介して遠隔地から利用する。
  • d明示的にプログラミングすることなく,入力されたデータからコンピュータが新たな知識やルールを獲得できるようにする。
正答:AIoTデバイスの増加によるIoTサーバの負荷を軽減するために,IoTデバイスに近いところで可能な限りのデータ処理を行う。

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答えは a です。

「エッジコンピューティング」の“エッジ”は「端っこ」という意味。たくさんの機械(センサーやカメラなど)が集めたデータを、いちいち遠くの大きなコンピュータ(サーバ)まで全部送っていると、道が渋滞してしまいます。

そこで、データが生まれた“すぐそば”で先に処理してしまおう、というのがエッジコンピューティングです。たとえばお店のレジで先に計算してから本部に売上だけ報告するイメージ。

👉 覚え方:「エッジ=端っこ」=「現場の近くで処理」。

ほかの選択肢:b はブロックチェーン(みんなで記録を守る仕組み)/c はクラウド(遠くの大きな倉庫を借りる)/d は機械学習(コンピュータが自分で賢くなる)。

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なぜこれが正解か

正解は a。エッジコンピューティングは、IoTデバイス(端末)の近く=ネットワークの“エッジ(末端)”でデータ処理を行う方式。クラウド(中央サーバ)にすべてのデータを送らず、現場で一次処理することで、通信量の削減・応答の高速化・サーバ負荷の軽減を実現する。

各選択肢の解説

  • b:ブロックチェーンの説明(取引をまとめハッシュ値で連結し改ざんを困難にする)。
  • c:クラウドコンピューティングの説明(遠隔のデータセンター資源を利用)。
  • d:機械学習の説明(明示的プログラミングなしにデータから知識を獲得)。

覚え方・ひっかけ注意

「エッジ(端)=現場側で処理」「クラウド(雲)=中央で処理」と対比で覚える。c のクラウドと方向が真逆なのがポイント。自動運転や工場など、リアルタイム性が求められる場面で有効。

上級誤答論破・背景理論まで深掘り

理論的背景

エッジコンピューティングは、データ発生源の近傍(ネットワークの「エッジ=末端」)で分散処理を行う設計思想であり、クラウド集中型アーキテクチャが抱える遅延・帯域逼迫・プライバシーリスクを構造的に解決する。登場の背景は、2010年代以降のIoTデバイス爆発的増加にある。Cisco社は2014年に「フォグコンピューティング」と称し、クラウドとエッジの中間にゲートウェイ層(フォグ層)を置く3階層モデルを提唱した。一般にクラウド→フォグ→エッジの順にデータ発生源に近づき、リアルタイム性は上がるが処理能力と記憶容量は下がるというトレードオフがある。エッジでの処理結果のみをクラウドに送ることで、生データの転送量を数十分の一に削減できるケースも報告されている。

実務での使われ方

自動運転車は最も厳しい要件を持つユースケースの一つで、カメラ・LiDAR・レーダーが毎秒数GB規模のデータを生成する。衝突回避判断はミリ秒単位で必要なため、クラウドへの往復遅延(数十〜数百ms)は致命的であり、車載ECUでその場で処理する。スマート工場では製造ラインのカメラ映像をエッジサーバで即時解析し、不良品のみアラートを中央に通知するインライン検査に活用される(Siemens、FANUCらの工場AI事例が著名)。通信分野では3GPPが規格化したMEC(Multi-access Edge Computing)が、5G基地局近傍にサーバを配置し映像配信や自動運転支援を低遅延で提供する基盤となっている。また、エッジ処理により生データをクラウドに送らないことがGDPR等のデータ主権・プライバシー規制への対応策にもなっている。

試験での位置づけ

ITパスポートのIoT分野では「クラウド・フォグ・エッジ」の3層と、それぞれの特徴(処理場所・遅延・通信量)の違いを理解しているかが問われる。本問のように「IoTサーバの負荷軽減」「デバイスに近い」という表現がエッジの正答キーワードになっている。近年の出題トレンドとして、5GとMECを組み合わせた低遅延ユースケース(遠隔医療・自動運転)の記述問題が増加傾向にある。基本情報技術者(FE)ではさらに進んで、エッジでの推論実行を行う「エッジAI」や、クラウドとエッジを動的に使い分けるオフロード処理の概念まで問われる。

選択肢の発展補足

選択肢bのブロックチェーンは「分散台帳+ハッシュ連鎖による改ざん困難性」が本質であり、近年はIoTデバイスの認証・データ来歴管理にブロックチェーンを応用する研究が進んでいる。エッジとブロックチェーンの組み合わせは「信頼できるエッジデータの証明」という文脈で産業IoTに導入事例が出始めており、将来の出題に備えて関連性を把握しておく価値がある。選択肢cのクラウドコンピューティングはエッジとは処理場所が真逆(集中型)だが、実際の大規模IoTシステムではエッジとクラウドを相補的に使うハイブリッド構成が主流であり、両者の役割分担を理解することが実務上重要である。選択肢dの機械学習は、モデルの学習はクラウドで行い、推論(予測)をエッジで実行する「エッジ推論」として両技術が融合しており、TensorFlow Lite・ONNX Runtime等の軽量フレームワークがその実現を支えている。

出典・引用について

出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和5年度71/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。

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