ITパスポート 令和5年度 問92:networkに関する問題
電子メールに関する記述のうち,適切なものはどれか。
- a電子メールのプロトコルには,受信にSMTP,送信にPOP3が使われる。
- bメーリングリストによる電子メールを受信すると,その宛先には全ての登録メンバーのメールアドレスが記述されている。
- cメールアドレスの「@」の左側部分に記述されているドメイン名に基づいて,電子メールが転送される。
- dメール転送サービスを利用すると,自分名義の複数のメールアドレス宛に届いた電子メールを一つのメールボックスに保存することができる。正答
AI解説(初心者・標準・上級)
理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。
答えは d です。
メール転送サービスを使うと、いくつも持っている自分のメールアドレス宛のメールを、ぜんぶ1つの受信箱にまとめて届けてもらえます。あちこち見に行かなくて済むので便利、というのがd。
👉 覚え方:転送=「別の住所に届いた手紙を、自分のいる家にまとめて回してもらう」。
ほかの選択肢:a 送信と受信のプロトコル名が逆(送信がSMTP、受信がPOP3が正しい)/b メーリングリストは全員のアドレスが見えるわけではない/c 「@」の左は名前、右がドメイン名(左右が逆)。a・b・cは説明が逆だったり間違っています。
なぜこれが正解か
正解は d。メール転送サービスは、複数の自分名義アドレス宛に届いたメールを、指定した一つのメールボックスへ集約して保存・受信できる。複数アドレスの一元管理に役立つ。
各選択肢の解説
- a:誤り。送信がSMTP、受信がPOP3(やIMAP)で、記述は逆になっている。
- b:誤り。メーリングリストの宛先はリストのアドレスであり、全登録メンバーのアドレスが受信メールに列挙されるわけではない(Bcc的に配送される)。
- c:誤り。ドメイン名は「@」の右側。左側はユーザー名(ローカル部)で、転送先の判断はドメイン名(右側)で行う。
覚え方・ひっかけ注意
プロトコルは「送信SMTP/受信POP3・IMAP」。SMTPの“S”はSend(送る)と結びつけると逆転ひっかけに強い。メールアドレスは「左=名前、右=ドメイン(@の右)」も鉄板の出題ポイント。
理論的背景
電子メール配送のプロトコル体系はMTA(Mail Transfer Agent)・MDA(Mail Delivery Agent)・MUA(Mail User Agent)の役割分担によって成立する。SMTPはSimple Mail Transfer Protransmission Protocolの略(RFC 5321)で、送信および中継に使うサーバ間転送プロトコルである。使用ポートはポート25(サーバ間のSMTP、SPAMリレー防止のためISPが多くブロック)・ポート587(SMTP Submission: メールクライアントからメールサーバへの投稿用・SMTP-AUTH対応)・ポート465(SMTPS: SSL/TLS直接)の3種類がある。受信プロトコルのPOP3(Post Office Protocol Version 3, RFC 1939)はサーバからメールをダウンロードして基本的に削除する「電話ボックスモデル」であり、ポート110(または995/TLS)を使う。IMAP4(Internet Message Access Protocol Version 4, RFC 3501)はメールをサーバ上に保持したまま複数端末から同期する「郵便ボックスモデル」であり、ポート143(または993/TLS)を使う。現代のスマートフォン普及環境では複数端末での同期が必要なためIMAPが実質標準となっており、Gmailなど主要プロバイダはPOP3を提供しつつもIMAPの使用を推奨している。
実務での使われ方
企業のメールシステムでは、送信ドメイン認証(SPF・DKIM・DMARC)の3点セットが迷惑メール・なりすまし対策として必須の実装となっている。SPF(Sender Policy Framework)はDNSのTXTレコードにそのドメインから送信を許可するIPアドレスリストを登録し、受信側MXサーバが照合する。DKIM(DomainKeys Identified Mail)はSMTPヘッダと本文のハッシュをドメイン秘密鍵で署名し、受信側がDNS公開鍵で検証することで改ざんと送信元ドメイン偽装を検知する。DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting and Conformance)はSPF・DKIMの検証結果に基づきドメイン所有者が「reject(拒絶)・quarantine(隔離)・none(何もしない)」というポリシーを設定し、検証結果レポートを受け取る仕組みである。Googleは2024年2月に一日5,000件以上送信するバルクメール送信者にSPF・DKIM・DMARCの実装を必須要件として発表しており、これらの理解は現代のメール運用で不可欠となっている。
試験での位置づけ
電子メールのプロトコル(SMTP/POP3/IMAP)はITパスポートのネットワーク分野で繰り返し出題される最頻出テーマの一つである。特に「送信はSMTP・受信はPOP3またはIMAP」という基本対応と「POP3はダウンロード・IMAPはサーバ保持」という違いが問われる。本問の選択肢aの「受信にSMTP・送信にPOP3」という逆転の誤りは定型の引っかけパターンであり、過去問でほぼ毎回登場する。メーリングリストの配送方式・メールアドレスの構造(@の左右)も同時に整理しておくと得点効率が高まる。近年はSPF・DKIM・DMARCとビジネスメール詐欺(BEC)対策の文脈での出題が増加している。基本情報技術者ではSMTP-AUTH・TLSによるメール暗号化(STARTTLS)・SMTP over TLSのポート番号の使い分けまで問われる。
選択肢の発展補足
選択肢bのメーリングリスト(ML)は、登録メンバーのメールアドレスを管理するサーバソフトウェア(Majordomo・Mailman等)が実装し、ML宛の1通のメールをサーバ側で自動的にすべての登録メンバーへ個別配送する仕組みである。受信メールのToヘッダにはMLのアドレスが記載されており、全登録メンバーのアドレスが列挙されるわけではない(これが一斉送信でBccを使い忘れた場合のアドレス漏えい事故との違いである)。選択肢cの「@の左側部分のドメイン名に基づいて転送」は逆で、正しくは「@の右側のドメイン名をDNSのMXレコードで解決した宛先のメールサーバへSMTPで転送」する。@左側のローカル部(ユーザー名)は宛先メールサーバが受け取った後に、どのメールボックスに格納するかの判断に使われる。選択肢dのメール転送サービスの実装として、独自ドメインのエイリアス(例:info@example.com→個人のgmail宛)や、複数アカウントのフォワーディング集約(複数のプロバイダメールを1つのIMAPサーバに集める)が一般的であり、フィルタリングルールと組み合わせた統合メール管理として実務でよく使われる設定である。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和5年度 問92/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。