ITパスポート 令和6年度 問15:business_strategyに関する問題
必要な時期に必要な量の原材料や部品を調達することによって、工程間の在庫をできるだけもたないようにする生産方式はどれか。
- aBPO
- bCIM
- cJIT正答
- dOEM
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答えは c「JIT」 です。
JIT(ジット)は Just In Time=「ちょうど良いタイミングで」 の略。
「必要なものを・必要なときに・必要なだけ」用意する作り方です。トヨタが有名にした方式で、部品を倉庫にためこまず、使う直前に届くようにします。こうすると“在庫の置き場や費用”がぐっと減ります。
👉 覚え方:JIT=ジャスト・イン・タイム=在庫を持たない“ちょうど作戦”。
ほかの選択肢:a BPO=仕事の一部を外の会社にまるごとおまかせ/b CIM=コンピュータで工場の生産をまとめて管理/d OEM=相手のブランド名で商品を作ってあげること。
なぜこれが正解か
正解は c。JIT(Just In Time)は、必要な物を・必要な時に・必要な量だけ調達/生産することで、工程間の在庫(仕掛品)を極力もたない生産方式。トヨタ生産方式(TPS)の柱の一つで、在庫コストの削減とムダの排除を狙う。問題文「必要な時期に必要な量の原材料・部品を調達し在庫をもたない」がそのままJITの定義。
各選択肢の解説
- a BPO(Business Process Outsourcing):自社の業務プロセスを外部委託すること。
- b CIM(Computer Integrated Manufacturing):コンピュータで設計・生産・管理を統合する仕組み。
- d OEM(Original Equipment Manufacturer):他社ブランドの製品を製造すること(相手先ブランド製造)。
覚え方・ひっかけ注意
JIT=「ジャスト・イン・タイム=在庫を持たない」。生産・調達系の3文字略語(CIM・OEM)と業務委託(BPO)を並べる定番のひっかけ。「在庫を持たない/必要な分だけ」と来たらJIT。関連語のかんばん方式も合わせて覚える。
理論的背景
JIT(Just-In-Time)生産方式はトヨタ自動車が1950〜70年代にかけてOhno Taiichi(大野耐一)を中心に開発したTPS(Toyota Production System:トヨタ生産方式)の中核概念であり、「必要なものを・必要な時に・必要な量だけ生産する」という3原則で工程間在庫を限りなくゼロに近づけることを目標とする。理論的背景として、「在庫は7つのムダ(過剰生産・手待ち・運搬・加工・在庫・動作・不良)」の最大の隠蔽者であるという認識があり、在庫削減が問題の可視化と改善活動の促進につながるという逆説的な生産哲学が根底にある。JITの実現手段として「かんばん方式」がある。かんばん(看板:Kanban)は後工程が前工程に生産指示と材料調達を行う「後引き(プル型)」のシグナルカードであり、生産計画の過剰生産を防ぎ実需要に連動したジャストインタイムな補充を可能にする。デジタルかんばん(Eかんばん)はIoTセンサー・バーコード・RFID・EDIと連携してリアルタイムな部品調達・補充指示を実現し、現代のサプライチェーンマネジメント(SCM)システムに組み込まれている。
実務での使われ方
JITは製造業を超えてサービス業・IT開発にまで概念が拡張されている。小売業ではPOSデータ連動の自動発注システムが「販売実績をリアルタイムに検知して翌日配送の発注を自動化する」JITの流通版として機能しており、セブンイレブンの「単品管理・日鮮度管理」システムがその先進事例として知られる。アジャイル開発・DevOpsでは「ジャストインタイムな学習(JIT Learning)」「継続的デリバリー(CD)」という概念でJITの哲学が応用されており、スプリントで「今必要な機能を・今すぐ・最小限で」開発するアプローチはJITの精神と同根である。サプライチェーンリスクの観点では、JITの弱点として「サプライヤーの供給途絶に脆弱」という問題が2011年の東日本大震災・2021年の半導体不足・2020〜22年のコロナ禍によるサプライチェーン混乱で顕在化した。これを受け「ジャスト・イン・ケース(JIC: Just In Case)」という戦略的在庫確保・冗長調達への回帰が製造業で議論されている。
試験での位置づけ
JITはITパスポートの経営戦略・生産管理・サプライチェーン分野で出題頻度が高い概念である。本問の4選択肢は「BPO(業務委託)」「CIM(コンピュータ統合製造)」「JIT(ジャストインタイム生産)」「OEM(他社ブランドでの製造受託)」という製造・経営用語の略語識別問題である。「必要な時期に必要な量を調達」「在庫をできるだけ持たない」というキーワードから即座にJITを識別できることが求められる。アルファベット略語の集合問題はITパスポートの典型的な出題形式であり、本問のようにビジネス・製造・IT分野の略語を混在させる設計が多い。近年の試験ではJITとリーン生産(Lean Manufacturing)・SCM・ERP(SAP等)との関連、コロナ後のサプライチェーン再設計という文脈での出題も増加している。応用情報技術者ではMRP(Material Requirements Planning)・MRP II・S&OP(Sales and Operations Planning)等の生産管理システムの体系とJITとの関係、在庫削減効果の定量化(棚卸回転率・欠品率)まで踏み込んで問われる。
選択肢の発展補足
選択肢aのBPO(Business Process Outsourcing:ビジネスプロセス・アウトソーシング)は「企業の業務プロセス(経理・人事・コールセンター・IT運用等)を専門の外部企業に委託する」戦略的アウトソーシングであり、コスト削減・コア業務への集中・専門能力の活用が動機となる。IBMやAccentureがBPOサービスプロバイダーとして大規模なグローバル業務受託を展開している。製造委託はBPOの製造版であるが、BPOは通常ホワイトカラー業務・ビジネスプロセスを指す点でOEMと区別される。選択肢bのCIM(Computer Integrated Manufacturing:コンピュータ統合生産)は設計(CAD)・製造(CAM)・生産管理・品質管理をデータで統合し、製造工程全体をコンピュータ制御するシステム概念であり、インダストリー4.0・スマートファクトリーの先駆的概念として位置づけられる。JITが「いつ何を作るか(タイミングと量)」を最適化するのに対し、CIMは「どのようにデジタルで統合するか(製造プロセスの情報化)」を扱う点で補完的な概念である。選択肢dのOEM(Original Equipment Manufacturer:相手先ブランド製造)は「発注元の設計・ブランドで製品を製造し納入する受託製造形態」であり、AppleがFoxconn(台湾)にiPhoneの製造を委託するのが著名事例である。JITとOEMは直接の関連がないが、OEMサプライヤーがJIT方式で発注元の生産計画に連動した部品供給を行う場合には両者が組み合わされる。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和6年度 問15/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。