ITパスポート 令和6年度 問8:corporate_legalに関する問題
表はA社の期末の損益計算書から抜粋した資料である。当期純利益が800百万円であるとき、販売費及び一般管理費は何百万円か。売上高 8,000 / 売上原価 6,000 / 販売費及び一般管理費 ? / 営業外収益 150 / 営業外費用 50 / 特別利益 60 / 特別損失 10 / 法人税等 350(単位 百万円)
- a850
- b900
- c1,000正答
- d1,200
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答えは c「1,000」百万円 です。
むずかしく見えますが、利益は「上から順に引き算していくだけ」です。家計でいうと「給料から、家賃→食費→税金…と順に引いて、最後に手元に残るお金」と同じ。
手元に残った当期純利益が800と分かっているので、逆から足し戻していきます。
- 税金を払う前:800+税金350=1,150
- 特別な損得を戻す:1,150−特別利益60+特別損失10=1,100
- 営業外の損得を戻す:1,100−収益150+費用50=1,000(これが営業利益)
- 売上8,000−原価6,000=2,000(これが粗利)
- 粗利2,000−営業利益1,000=販管費1,000
👉 覚え方:分からない項目は「答え(純利益)から逆に戻す」と解ける。
なぜこれが正解か
正解は c(1,000百万円)。損益計算書は上から段階的に利益を計算する。販管費を x とおく。
1. 売上総利益=売上高8,000−売上原価6,000=2,000
2. 営業利益=2,000−x
3. 経常利益=(2,000−x)+営業外収益150−営業外費用50=2,100−x
4. 税引前当期純利益=(2,100−x)+特別利益60−特別損失10=2,150−x
5. 当期純利益=(2,150−x)−法人税等350=1,800−x
当期純利益が800なので 1,800−x=800 → x=1,000。
各選択肢の解説
- a 850・b 900・d 1,200:計算過程のどこか(営業外や特別項目の加減、税金の処理)を誤ると出やすい誤答。
覚え方・ひっかけ注意
「5段階利益の順番」を暗記:売上総利益→営業利益→経常利益→税引前利益→当期純利益。逆算する場合は当期純利益から税金を足し戻す。営業外・特別項目は“収益は引く・費用は足す”で戻す向きを間違えないこと。
理論的背景
損益計算書(P/L: Profit and Loss Statement)は企業の一定期間(通常1年間)の経営成績を示す財務諸表であり、収益・費用・利益の関係を段階的に表示する。P/Lの構造を理解することが本問の核心である。売上高(8,000)から売上原価(6,000)を差し引いた「売上総利益(粗利)=2,000」が最初の利益段階。そこから販売費及び一般管理費(SG&A:Selling, General & Administrative expenses)を引いた「営業利益」が事業本来の収益力を示す。さらに営業外収益(150)を加え営業外費用(50)を引くと「経常利益」、特別利益(60)を加え特別損失(10)を引くと「税引前当期純利益」、そこから法人税等(350)を引いた最終値が「当期純利益(800)」となる。本問の逆算手順:当期純利益800=税引前当期純利益−法人税等350 → 税引前純利益=1,150。税引前純利益1,150=経常利益+特別利益60−特別損失10 → 経常利益=1,100。経常利益1,100=営業利益+営業外収益150−営業外費用50 → 営業利益=1,000。営業利益1,000=売上総利益2,000−販売費及び一般管理費 → 販売費及び一般管理費=1,000。
実務での使われ方
P/L分析は投資判断・経営管理・与信評価の基本ツールである。販売費及び一般管理費(SG&A)は人件費・広告費・賃借料・研究開発費等が含まれ、売上高に対するSG&A比率(SG&A率)は業種・企業の効率性を比較する重要指標となる。営業利益率(営業利益÷売上高)はビジネスモデルの収益性を示す核心指標であり、本問では1,000/8,000=12.5%となる。上場企業では四半期・年次のP/Lが有価証券報告書・決算短信で開示され、アナリストはEBITDA(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortization:利息・税金・減価償却前利益)をキャッシュ生成能力の指標として重視する。管理会計では部門別・製品別の「セグメント損益」を算出してリソース配分の意思決定に活用する。近年のAI・BI活用として、複数期の損益推移を可視化するダッシュボード(PowerBI・Tableau)や、売上・費用の予実管理(予算vs実績比較)の自動更新が経理・経営企画部門で普及している。
試験での位置づけ
P/Lの計算問題はITパスポートの財務・会計分野で毎年出題される。本問は「当期純利益から逆算して販売費及び一般管理費を求める」という上から下ではなく下から上に辿る逆算の計算パターンであり、P/Lの段階的利益構造を正確に把握しているかが問われる。典型的な誤りは「売上高8,000−売上原価6,000−当期純利益800=1,200と単純計算する」あるいは「法人税・営業外項目を無視する」というP/L構造を理解していないパターンである。選択肢に850・900・1,000・1,200が並んでおり、いずれかの段階での計算誤りがそれぞれの誤答に対応する設計になっている。近年は貸借対照表(B/S)・キャッシュフロー計算書(CF)・財務指標(ROA・ROE・流動比率等)との組み合わせで財務諸表全体を問う問題も増加している。基本情報技術者では損益分岐点分析(CVP分析:固定費・変動費・売上高の三角関係)・減価償却の計算・原価計算まで踏み込んで問われる。
選択肢の発展補足
選択肢a(850)に対応する計算誤りのパターンとして、営業外収益・費用の符号を逆に処理する(「経常利益=営業利益+100ではなく−100」と誤る)などが考えられる。選択肢b(900)の誤り:特別利益・損失の扱いを間違えた場合(例:特別利益60ではなく特別損失60として計算、または特別損失10の符号ミス)などで到達し得る。選択肢d(1,200)の誤りは最も多いパターンで、営業外・特別・税金の区分を無視して「2,000(売上総利益)−800(当期純利益)=1,200」と単純差引きした場合に生じる。「P/Lの構造(営業利益→経常利益→税引前当期純利益→当期純利益)を上から順番に辿って各段階の金額を確認しながら逆算する」という習慣的な計算手順を身につけることで、符号・順序の誤りを防ぐことができる。財務会計の深い理解として、IFRS(国際財務報告基準)では「その他の包括利益(OCI)」がP/Lとは別に表示されること、日本基準との差異(リース会計・退職給付会計等)が応用情報技術者レベルで問われる知識として重要である。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和6年度 問8/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。