ITパスポート 令和8年度 問11:corporate_legalに関する問題
プロサッカーチームのファンの集いで、人気のある選手が背広姿でサインをしている姿を撮影し、プリントしてフリーマーケットで販売した。この行為によって侵害されるおそれがある選手が有する権利として、最も適切なものはどれか。
- a意匠権
- b商標権
- c著作権
- dパブリシティ権正答
AI解説(初心者・標準・上級)
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答えは d「パブリシティ権」 です。
有名人の名前や顔写真には、それ自体に「お客さんを呼ぶ力(お金を生む力)」があります。たとえば人気選手の写真がプリントされたグッズは、ファンが「ほしい!」と思って買いますよね。この“有名人だから売れる”力を、本人が独り占めできる権利がパブリシティ権です。だから本人にだまって写真を売ると、この権利を侵害してしまいます。
👉 覚え方:「有名人の“客寄せパワー”を勝手に使ったらダメ」=パブリシティ権。
ほかの選択肢:a 意匠権=商品のデザインを守る権利/b 商標権=ロゴやブランド名を守る権利/c 著作権=写真や音楽など“作品を作った人”を守る権利(今回は本人が作品を作ったわけではない)。
なぜこれが正解か
正解は d。パブリシティ権とは、著名人の氏名・肖像がもつ「顧客吸引力(経済的価値)」を本人が排他的に支配できる権利。選手の肖像を無断でグッズ化して販売する行為は、この経済的価値を勝手に利用するためパブリシティ権の侵害にあたる。
各選択肢の解説
- a 意匠権:工業製品などの形状・模様といったデザインを保護する権利。人物には及ばない。
- b 商標権:商品・サービスを識別するロゴやネーミングを保護する権利。
- c 著作権:思想・感情を創作的に表現した「著作物」を保護。写真を撮ったのは販売者側なので、被写体である選手の著作権侵害にはならない。
覚え方・ひっかけ注意
「肖像」がからむとc著作権を選びがちだが、守られるのは“撮った人”。本人の経済的価値が問題なら パブリシティ権。著名人=客寄せ力=パブリシティ、と結びつける。
理論的背景
パブリシティ権(Right of Publicity)は、著名人(有名人・芸能人・スポーツ選手等)が自己の氏名・肖像・声・サインなど識別的要素を商業利用することを排他的にコントロールできる財産的権利である。日本では明文規定はなく判例法上の権利として発展してきた。先駆的判例はマーク・レスター事件(1976年大阪高裁)、ピンクレディー事件(2012年最高裁)が重要で、最高裁はパブリシティ権侵害の成立要件として「もっぱら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とする場合」という基準を示した。「肖像権(プライバシー権としての側面)」は私人が無断で撮影・公開されない権利であり人格権として保護されるが、パブリシティ権は著名人特有の「顧客吸引力(商業的価値)」を保護する財産権的性格を持つ点で異なる。本問の「フリーマーケットでの販売」はまさに「もっぱら顧客吸引力の利用」に当たる。
実務での使われ方
パブリシティ権の実務的管理はタレント事務所・スポーツ選手のマネジメント会社が行い、肖像使用許諾契約(Licensing Agreement)で商業利用を管理する。使用料の相場は知名度・媒体・使用期間・地域によって大きく異なり、トップアスリートの世界的キャンペーンでは数億円の契約が締結される。近年はSNS・EC(メルカリ・フリマアプリ等)での無断販売が増加しており、本問のような事例が実際に問題化している。また、AIによる「ディープフェイク」や「デジタルヒューマン(故人や著名人の外見・声をAI再現)」がパブリシティ権の新しい脅威として浮上しており、各国で法整備の議論が進んでいる。芸能事務所は事前にAI学習データへの肖像使用禁止条項をモデル契約に盛り込む動きがある。
試験での位置づけ
パブリシティ権はITパスポートの知的財産・法律系問題で出題頻度が上がっている。本問の混同されやすいパターンは「著作権(c)」との誤選択で、写真撮影・販売なので「写真の著作権」が関係するのではと誤解するケース。重要なのは「侵害されるのは誰の権利か」という問いで、「写真家が有する著作権」ではなく「被写体の選手が有するパブリシティ権」が問われている。意匠権は製品デザイン、商標権はブランド名・ロゴの保護であり、人物の肖像・氏名・サインとは関係しない。近年は生成AI・フィジカルプリント(Tシャツ・グッズ等)・NFT等での著名人データ利用に絡めた問題が増加傾向にある。基本情報・応用情報では不正競争防止法との複合問題も出題される。
選択肢の発展補足
選択肢aの意匠権は「物品・建築物・画像の形状・模様・色彩等のデザイン」を保護する権利(意匠法)で、2020年改正でUIデザインや内装デザインも対象に追加。選択肢bの商標権は「文字・図形・記号・色彩等の標識」を商品・サービスに使用する権利(商標法)で、「商標として使用」するには登録が必要。商標権は著名人の氏名を勝手に登録しようとする第三者の悪意ある出願を防ぐ制度も存在する。選択肢cの著作権は、本問においては「撮影した写真」については写真家自身に著作権が帰属するが、被写体の選手が有する権利ではない。また写真の著作権があっても、その写真の販売が著名人のパブリシティ権を侵害する可能性があるという二重の問題が存在する。この多層的な権利関係の理解が高得点者と差がつくポイントである。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和8年度 問11/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。