ITパスポート 令和8年度 問39:project_managementに関する問題
システム開発のプロジェクトマネジメントにおけるWBSの説明として、最も適切なものはどれか。
- aクリティカルパス上の作業を記載したものである。
- b主要な成果物に関する予定開始日と予定終了日を記載したものである。
- c全ての成果物を作成するための作業を階層的に分解して記載したものである。正答
- dプロジェクトで使用するツールを記載したものである。
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答えは c です。
WBS(ワーク・ブレークダウン・ストラクチャー)とは、大きな仕事を「やることを細かく分けて、木の枝のように整理した一覧」です。プロジェクトで作るものを全部出して、それを作るための作業を大→中→小と分けていきます。こうすると「やり残し」や「誰が何をするか」が見えやすくなります。
👉 覚え方:WBS=「作業(Work)を分解(Breakdown)して構造化(Structure)」。
ほかの選択肢:a クリティカルパスは“最も時間のかかる経路”、b は予定日のスケジュール、d は使うツール一覧——どれもWBSの説明ではないので×。
なぜこれが正解か
正解は c。WBS(Work Breakdown Structure:作業分解構成図)は、プロジェクトの全成果物を作成するために必要な作業を、階層的に(大→中→小)分解して整理したもの。作業の漏れ・重複を防ぎ、見積り・スケジュール・要員配分の基礎になる。cの「全ての成果物を作成するための作業を階層的に分解して記載」が定義そのもの。
各選択肢の解説
- a クリティカルパス上の作業を記載→クリティカルパスはPERT図/アローダイアグラムで求める「最長経路(余裕ゼロの経路)」の話で、WBSとは別物。
- b 主要成果物の予定開始日・終了日を記載→これはスケジュール表(マイルストーン/ガントチャート)の説明。
- d 使用ツールを記載→WBSはツール一覧ではない。
覚え方・ひっかけ注意
WBS=「作業を木構造に分解」。最下層の作業単位(ワークパッケージ)が見積り・管理の最小単位になる。クリティカルパスやガントチャート(スケジュール)と混同しないこと。WBSで“何を作るか”を分解し、その後にスケジュールやネットワーク図を作る、という順序を押さえる。
理論的背景
WBS(Work Breakdown Structure:作業分解構造)はPMBOKの「スコープマネジメント」知識エリアの中核ツールで、「プロジェクトのスコープ全体を管理可能な作業単位(ワークパッケージ)に階層的に分解した成果物」と定義される。WBSの設計原則は「100%ルール(WBS全体の合計がプロジェクトスコープの100%を表し、漏れもダブりもない)」「成果物指向(プロセスではなく成果物を中心に分解する)」「管理可能な粒度(1ワークパッケージが80時間以下・または1スプリント以内に完了できる規模)」の三原則。WBSはプロジェクトの全成果物・作業を可視化し、コスト見積り(CBS:Cost Breakdown Structure)・スケジュール(ガントチャート・ネットワーク図)・責任分担(RAM:Responsibility Assignment Matrix)の入力として機能する。WBS辞書(WBS Dictionary)は各ワークパッケージの定義・担当者・成果物・完了基準・工数を記述した補足文書。
実務での使われ方
WBS作成はPMの最初の重要アウトプットの一つで、プロジェクト憲章(Project Charter)とWBSが確定した段階でプロジェクトが正式にスタートする。実務でのWBS作成ツールはMicrosoft Project・Wrike・Asana・Jira(アジャイル対応)が主流で、階層構造をWBSとして管理しガントチャート・リソース配分と連動させる。アジャイル開発ではWBSに代わって「プロダクトバックログ(ユーザーストーリー一覧)」がWBSの役割を担い、スプリントに配分されたバックログ項目がワークパッケージに相当する。大規模プロジェクト(インフラ整備・システムインテグレーション)ではWBSの最下位レベル(レベル4〜5)が数百〜数千のワークパッケージに達し、WBSの品質(完全性・粒度の適切さ)がプロジェクト成否に直結する。「アクティビティ定義(Activity Definition)」はWBSのワークパッケージをさらにスケジュール可能な活動に分解する後工程。
試験での位置づけ
WBSはITパスポートのプロジェクトマネジメント系最重要概念の一つ。本問の誤答パターンは選択肢a・bとの混同が多い。a「クリティカルパス上の作業を記載したもの」はネットワーク図(アローダイアグラム・PERT図)とクリティカルパス分析(CPM)の説明で、WBSとは別のスケジュール管理ツール。b「主要な成果物の予定開始日・予定終了日」はマイルストーン一覧・ガントチャートの説明で、WBSから派生したスケジュール計画ツール。WBSは「何を作るか(成果物)を階層的に整理したもの」であり、いつ作るか(スケジュール)は後続の「アクティビティ定義・期間見積り・スケジュール策定」フェーズで決定する。d「使用するツールを記載したもの」はプロジェクト管理計画書(Project Management Plan)やリソース計画書の内容で、WBSとは無関係。近年はアジャイルWBS(プロダクトバックログとの関係)という複合問題も出始めている。
選択肢の発展補足
WBSとガントチャートの関係を整理する。WBSは「何を作るか(成果物・作業の木構造)」を定義し、ガントチャートは「いつ実施するか(時間軸×作業バー)」を可視化するツールで、WBSが先に作成されガントチャートの作業項目のインプットとなる。クリティカルパス分析(CPM:Critical Path Method)はネットワーク図(PDM:Precedence Diagramming Method)上で作業の依存関係を表し、最も長い経路(クリティカルパス)を特定することでプロジェクトの最短完了期間を計算する。EVM(Earned Value Management)はWBS・スケジュール・コストを統合してプロジェクトの健全性を測定する高度な管理手法で、PV(Planned Value:計画出来高)・EV(Earned Value:実際の出来高)・AC(Actual Cost:実際のコスト)の三指標でCPI(コスト効率)・SPI(スケジュール効率)を算出する。これらWBS関連の概念群を「計画→実行→監視」という時間軸で整理することで、ITストラテジスト・プロジェクトマネージャー試験への足がかりになる。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和8年度 問39/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。