ITパスポート 令和8年度 問96:securityに関する問題
機密情報の取得などを目的として,特定の組織や個人に対して,複数の攻撃手法を使うなどして長期間にわたり継続的に攻撃を行うという特徴をもつ,サイバー攻撃はどれか。
- aAPT 攻撃正答
- bDDoS 攻撃
- cゼロデイ攻撃
- dパスワードリスト攻撃
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答えは a(APT攻撃) です。
ふつうのサイバー攻撃は『一発ドカン』ですが、APT攻撃は違います。特定の会社や人を狙い、いろんな手口を使いながら、長い時間をかけてジワジワ侵入し続けるしつこい攻撃です。
たとえるなら、一度の押し入りではなく『何ヶ月も家を見張って、すきを探し続けるストーカー』のようなイメージ。
👉 覚え方:APT=特定の相手を、長期間、しつこく狙う。
ほかの選択肢:b DDoS=大量アクセスでパンクさせる/c ゼロデイ=修正前の弱点を即攻撃/d パスワードリスト=盗んだパスワード一覧で次々ログイン試行、です。
なぜこれが正解か
正解は a。APT攻撃(Advanced Persistent Threat)は、機密情報の窃取などを目的に、特定の組織・個人を標的として、複数の攻撃手法を組み合わせ、長期間にわたり継続的・執拗に行う攻撃。問題文の『特定の標的・複数手法・長期間・継続的』がすべてAPTの特徴に一致する。
各選択肢の解説
- a:APT攻撃=標的型・長期継続。正しい。
- b:DDoS攻撃=多数の端末から大量アクセスを送りサービスを停止させる(標的の長期潜入ではない)。
- c:ゼロデイ攻撃=修正パッチ公開前の脆弱性を突く攻撃(タイミングが論点)。
- d:パスワードリスト攻撃=流出した認証情報リストで不正ログインを試みる。
覚え方・ひっかけ注意
APTの『P=Persistent(持続的)』が最大のキーワード。『長期間・継続的・標的型』が出たらAPT。単発で広範囲を狙うDDoSや、タイミングを突くゼロデイとの性質の違いで識別する。
理論的背景
APT(Advanced Persistent Threat:高度標的型攻撃)は本問正解aの「特定の組織・個人を標的に、複数の攻撃手法を使って長期間継続的に攻撃を行うサイバー攻撃」として定義される。APTの3要素:Advanced(高度:ゼロデイ脆弱性利用・カスタムマルウェア・高度なソーシャルエンジニアリング等の先進的手法)・Persistent(持続的:数ヶ月〜数年間にわたる継続的な侵入維持・潜伏)・Threat(脅威:目的を持った意図的な攻撃者集団)。
APTの代表的事例:APT28(Fancy Bear:ロシア連邦軍参謀本部情報総局GRUに帰属)・APT29(Cozy Bear:ロシアSVRに帰属)・APT41(中国国家支援の国家犯罪グループ)・Lazarus Group(北朝鮮情報機関RGB帰属、WannaCry・バングラデシュ中央銀行サイバー強盗等)。これらの脅威アクターはMITRE ATT&CKフレームワークで詳細な戦術・技術・手順(TTPs)が文書化されている。
APTの典型的な攻撃チェーン(MITRE ATT&CK Killchain):初期侵入(フィッシング・水飲み場攻撃・サプライチェーン攻撃)→実行→永続化(レジストリ書き換え・スケジュールタスク)→権限昇格→防御回避→認証情報窃取→横断移動(ラテラルムーブメント)→収集→C2通信→情報持ち出し(Exfiltration)。
実務での使われ方
日本のAPT被害事例:JAXAへのサイバー攻撃(2016〜2017年・中国系APT帰属)・三菱電機情報漏洩(2020年・Tick/APT関連)・防衛関連企業への連続攻撃(2021年・中国系APT起訴)等。日本政府はACTIVE DEFENSE(能動的サイバー防御)法制化を推進しており、2024年以降にAPT対策が国家安全保障の中核課題として位置づけられた。
企業のAPT対策:SIEM(Splunk・Microsoft Sentinel)でのTTPs検知ルール実装・EDRによる横断移動検知・SOAR(Security Orchestration Automation Response)での自動遮断・Threat Huntingチームによる能動的脅威探索・OSINT・ISAC(Information Sharing and Analysis Center)での脅威情報共有が現代の防御体制の標準。
試験での位置づけ
APT攻撃はITパスポートのセキュリティ分野で近年出題頻度が増加しているトピック。DDoS攻撃・ゼロデイ攻撃・パスワードリスト攻撃・APT攻撃の4種類の識別問題が典型的な出題パターン。APTの識別キーワード:「特定の組織・個人を標的」「長期間にわたる継続的攻撃」「複数の攻撃手法の組み合わせ」「機密情報の窃取目的」。DDoS攻撃(大量トラフィックによるサービス停止)・ゼロデイ攻撃(パッチ未公開脆弱性の悪用)との区別が問われる。基本情報技術者試験ではMITRE ATT&CK・サイバーキルチェーン・APT帰属分析・国際的なサイバーセキュリティ規範(タリン・マニュアル等)まで踏み込んだ問題が出題される可能性がある。
選択肢の発展補足
DDoS攻撃(選択肢b)はDistributed Denial of Service攻撃で、多数のボット(マルウェア感染端末)から標的サービスに大量トラフィックを送り込みサービスを停止させる。APTとの最大の違いは「持続性・標的の特定性・情報窃取目的」の有無。DDoS攻撃は通常短時間・広域ターゲット・サービス妨害目的。APTは長期間・特定標的・機密情報窃取または破壊工作目的。ゼロデイ攻撃(選択肢c)はパッチが未公開の脆弱性を悪用する攻撃で、APTの初期侵入手段として使われることが多い(APTの一要素)。ゼロデイ脆弱性は闇市場で数億円で取引される希少な攻撃リソース。パスワードリスト攻撃(選択肢d)は他サービスから漏洩したパスワードリストを使ってアカウントへの不正ログインを試みる「クレデンシャルスタッフィング」攻撃であり、大量の認証試行を自動化するが「特定の組織への長期潜伏」というAPTの本質的特徴を持たない。Have I Been Pwned(HIBP)・Google Password Checkupは漏洩パスワードの確認・交換を促すサービスとしてパスワードリスト攻撃対策に機能する。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和8年度 問96/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。