ITパスポート 令和8年度 問98:aiに関する問題
AI におけるプロンプトエンジニアリングの説明として,適切なものはどれか。
- aAI が,多数の事象やデータから普遍的なルールや知識を獲得すること
- bAI に対する質問や指示などが入力できる状態であることを,画面上に記号や文字列で示すこと
- c意図した回答を得るために AI に対する質問や指示の内容,情報の提供,出力形式の指定などを工夫すること正答
- d神経細胞が作るネットワークをコンピュータで模した,AI で用いられる計算モデルのこと
AI解説(初心者・標準・上級)
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答えは c です。
ChatGPTのようなAIに質問するとき、聞き方しだいで答えの良さが変わります。
プロンプトエンジニアリングとは、AIにうまく答えてもらうために『聞き方・指示の仕方』を工夫すること。たとえば『小学生にも分かるように、3つの箇条書きで説明して』とお願いの仕方を整えるイメージです。
👉 覚え方:プロンプト=AIへの指示文。それを上手に作る工夫=プロンプトエンジニアリング。
ほかの選択肢:a はAIが学んでルールを覚えること(機械学習)/b は入力できますよという画面表示(プロンプト記号)/d は脳をまねた計算モデル(ニューラルネットワーク)です。
なぜこれが正解か
正解は c。プロンプトエンジニアリングとは、生成AIから意図した回答を得るために、AIへの質問や指示の内容、与える情報(文脈)、出力形式の指定などを工夫する技術・取り組みのこと。cの記述がこれに一致する。
各選択肢の解説
- a:多数のデータから普遍的ルール/知識を獲得する=機械学習(学習)の説明。
- b:入力できる状態を画面上に記号や文字で示す=コマンド入力の『プロンプト(記号)』の説明。
- c:質問・指示・情報提供・出力形式を工夫する=プロンプトエンジニアリング。正しい。
- d:神経細胞のネットワークを模した計算モデル=ニューラルネットワークの説明。
覚え方・ひっかけ注意
『プロンプト=AIへの指示文』『エンジニアリング=工夫・設計』と分解する。bの『プロンプト(入力を促す記号)』と混同させるのが罠。プロンプトエンジニアリングは『指示の出し方を工夫する』点が核心で、AI自体の学習(a)やモデル構造(d)とは別物。
理論的背景
プロンプトエンジニアリング(Prompt Engineering)は大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)の性能を最大化するための入力設計技術であり、本問正解cの「意図した回答を得るためにAIに対する質問や指示の内容・情報の提供・出力形式の指定などを工夫すること」が正確な定義。2022〜2023年のChatGPT・GPT-4普及後に急速に体系化されたAIオペレーションの新技術領域である。
プロンプトエンジニアリングの主要技法:Zero-Shot(例を与えずに直接タスクを指示)・Few-Shot(入力-出力の例を複数提示してパターンを学習させる)・Chain-of-Thought(CoT:「ステップバイステップで考えて」と指示して推論の中間過程を明示化)・Tree-of-Thoughts(複数の推論経路を探索)・ReAct(推論と行動を組み合わせたエージェント制御)・Role Prompting(役割設定による出力スタイル制御)・Structured Output(JSON/CSV等の特定フォーマットでの出力指定)。
誤り選択肢の分析:a「多数の事象から普遍的ルール・知識を獲得」は機械学習の帰納推論・学習プロセスの説明でプロンプトエンジニアリングではない。b「AIに入力できる状態を示す記号」はコマンドラインのプロンプト(入力待ち表示)の定義でLLMのプロンプトエンジニアリングとは異なる(同名の別概念)。d「神経細胞ネットワークをコンピュータで模した計算モデル」はニューラルネットワークの説明。
実務での使われ方
プロンプトエンジニアリングはAIエンジニア・データサイエンティスト・プロダクトマネージャー・コンテンツクリエイター等の職種で必須スキルとなっている。企業でのLLM活用(RAG:Retrieval-Augmented Generation・LLMOps・AIアシスタント開発)ではシステムプロンプトの設計が製品品質を決定する重要な工程。OpenAI・Anthropic・Google等がプロンプトエンジニアリングのベストプラクティスドキュメントを公開しており、プロンプトインジェクション(悪意のある入力でシステムプロンプトを上書きする攻撃)への対策も重要なセキュリティ課題となっている。
プロンプトエンジニアリングを職業とする「Prompt Engineer」という職種も誕生したが、LLMの自己最適化能力の向上(DSPy等の自動プロンプト最適化ライブラリ)により、手作業のプロンプト設計の重要性は今後変化していく可能性がある。
試験での位置づけ
プロンプトエンジニアリングはITパスポートのテクノロジー系「AI分野」で2023年以降急速に出題頻度が増加しているトピック。2022年のChatGPT公開以降、生成AIの社会的普及を反映してITパスポートシラバス(v6以降)でAI・生成AI関連の出題が大幅増加。プロンプトエンジニアリングの定義は「AIへの指示を工夫すること」という実用的な意味として確実に覚える必要がある。「コマンドラインのプロンプト」との名称の混同に注意(選択肢bのトラップ)。基本情報技術者試験ではRAGの仕組み(外部ナレッジベースとLLMの統合)・LLMのハルシネーション(幻覚:事実と異なる情報の生成)への対策としてのRAG・グラウンディング・CoT・Function Calling(ツール呼び出し機能)の実装まで踏み込んだ問題が今後増加する見込み。
選択肢の発展補足
選択肢bの「AIに入力できる状態を示す記号」はコマンドライン・インタフェース(CLI)のシェルプロンプト(`$`・`>`・`#`等のコマンド待ち表示)の説明。Unixシェル(bash・zsh)やWindowsコマンドプロンプト・PowerShellで使われる「次のコマンドを入力して」という視覚的サイン。LLMの「プロンプト」とCLIの「プロンプト」は同じ英単語(prompt:催促・促す)から派生した別概念であり、文脈による識別が重要。選択肢dのニューラルネットワークとプロンプトエンジニアリングの関係:LLMはTransformerベースのニューラルネットワークであり、プロンプトエンジニアリングはそのモデルの入力設計技術。モデルの内部構造(選択肢dが説明するアーキテクチャ)とモデルへの入力設計(プロンプトエンジニアリング)は異なる概念層にある。将来的にはファインチューニング(特定タスク向けのモデル再学習)とプロンプトエンジニアリング(汎用モデルへの指示設計)のどちらが効率的かというトレードオフ判断が実務上重要になる。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 ITパスポート試験 令和8年度 問98/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。