労働衛生(有害業務以外)36労働衛生統計

衛生管理者 労働衛生(有害業務以外) 問36:労働衛生統計

労働災害の統計指標に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 度数率は「労働災害による死傷者数 ÷ 延べ労働時間数 × 1,000,000」で算出され、100万延べ労働時間当たりの死傷者数を表す。
  • 強度率は「労働損失日数 ÷ 延べ労働時間数 × 1,000」で算出され、1,000延べ労働時間当たりの労働損失日数を表す。
  • 年千人率は「労働災害による死傷者数 ÷ 平均労働者数 × 1,000」で算出され、労働者1,000人当たりの年間死傷者数を表す。
  • 度数率は「延べ労働者数」を分母として算出するため、労働時間の長短に関わらず同一の基準で比較できる指標である。正答
  • 強度率の計算における「労働損失日数」は、死亡の場合は7,500日、永久全労働不能の場合は同様に7,500日と規定されている。
正答:度数率は「延べ労働者数」を分母として算出するため、労働時間の長短に関わらず同一の基準で比較できる指標である。

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誤りはエです。度数率の分母は「延べ労働時間数」であって、「延べ労働者数」ではありません。延べ労働時間数を使うことで、労働時間の長短を考慮した比較が可能になります。「延べ労働者数」を分母とするのは年千人率です。

各指標の分母の違いが重要です。度数率・強度率は「延べ労働時間数」が分母(時間ベース)。年千人率は「平均労働者数」が分母(人数ベース)。この違いを押さえることが統計問題のポイントです。

標準試験対策の基準レベル

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(正): 度数率 = 死傷者数 ÷ 延べ労働時間数 × 1,000,000。単位は「100万労働時間当たりの死傷者数」です。延べ労働時間数を分母とすることで、作業従事時間の違いを補正した安全性の比較が可能です。
  • イ(正): 強度率 = 労働損失日数 ÷ 延べ労働時間数 × 1,000。単位は「1,000労働時間当たりの損失日数」です。発生した災害の「重さ(重篤度)」を表す指標であり、死亡・重傷の多い事業場では強度率が大きくなります。
  • ウ(正): 年千人率 = 死傷者数 ÷ 平均労働者数 × 1,000。「ある期間中に労働者1,000人中何人が被災したか」を示す直感的な指標です。分母が人数(時間ではない)のため、労働時間の差異は考慮されません。
  • エ(誤): 度数率の分母は「延べ労働時間数」であって、「延べ労働者数」ではありません。延べ労働者数を分母とするのは年千人率です。度数率は延べ労働時間数を基準とすることで「1時間働くことに対するリスク」を評価でき、残業が多い職場や短時間勤務者が多い職場でも公平な比較が可能です。
  • オ(正): 強度率計算における労働損失日数は、死亡および永久全労働不能(両眼失明等)は7,500日とみなして算入します(国際的に統一された換算日数)。これは就業可能期間(約25年×300日/年)に相当する日数です。
上級誤答論破・根拠法令まで深掘り

【理論的背景】

労働災害統計は労働安全衛生対策の効果を定量的に評価し、業種間・事業場間・年度間の比較を行うために用いられます。日本の労働災害統計は厚生労働省が毎年公表しており、主要な指標として度数率・強度率・年千人率の3つが使われます。

各指標が測定するもの:

  • 度数率: 「時間当たり何件の災害が発生したか」→災害の発生頻度を測定
  • 強度率: 「時間当たり何日の損失があったか」→災害の重篤度(重さ)を測定
  • 年千人率: 「労働者1,000人中何人が被災したか」→労働者単位での発生率を測定

これら3つの指標を組み合わせることで、「頻繁に発生するが軽傷が多い業種」「件数は少ないが重篤な傷害が多い業種」等の特性を把握できます。例えば、建設業は度数率・強度率ともに高く、死亡・重傷災害が相対的に多い業種として知られています。

【実務・条文構造】

各統計指標の詳細算式:

1. 度数率

  • 算式: 死傷者数 ÷ 延べ労働時間数 × 1,000,000
  • 意味: 100万延べ労働時間当たりの死傷者数(休業4日以上が計上対象)
  • 特徴: 分母が「延べ労働時間数」なので、残業の多少を補正できる

2. 強度率

  • 算式: 労働損失日数 ÷ 延べ労働時間数 × 1,000
  • 意味: 1,000延べ労働時間当たりの労働損失日数
  • 特徴: 災害の重篤度を反映。死亡は7,500日換算で算入
  • 損失日数の換算基準(国際基準・ILO準拠):

| 傷病の程度 | 損失日数 |

|---|---|

| 死亡・永久全労働不能(両眼失明等) | 7,500日 |

| 永久一部労働不能(片眼失明等・障害等級1〜14級) | 規定日数(障害等級に応じて50〜5,500日) |

| 一時的労働不能 | 休業日数(暦日数×300/365換算等) |

3. 年千人率

  • 算式: 死傷者数 ÷ 平均労働者数 × 1,000
  • 意味: 年間に労働者1,000人中何人が被災したか
  • 特徴: 計算が簡単で直感的に理解しやすいが、労働時間の差を補正しない

度数率と強度率の関係:

  • 度数率が高くても強度率が低い: 軽傷の災害が多い(例: 切り傷・擦り傷が多い食品製造等)
  • 度数率は低くても強度率が高い: 件数は少ないが重篤な災害が多い(例: 高所作業・爆発リスクのある化学プラント等)

【試験での位置づけ】

統計指標の問題は「度数率の分母(延べ労働時間数)を延べ労働者数と混同させる」(エの誤り)「強度率の分母(延べ労働時間数×1000)を正確に答えさせる」「死亡の損失日数換算(7,500日)」の3点が最頻出です。エのように「延べ労働者数」という似た表現を使って分母を誤りにする引っかけは、受験者が高頻度で誤答するパターンです。「度数率・強度率の分母はともに延べ労働時間数」「年千人率の分母は平均労働者数(人数)」という区別を確実に記憶することが必要です。また、乗数(×1,000,000 / ×1,000 / ×1,000)も重要な数値です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 度数率の分子に含まれる「死傷者数」は、原則として「休業4日以上の死傷者」が対象です(厚生労働省の統計基準)。休業1〜3日の軽微な災害は統計に含まれるものとそうでないものがあります。正確な比較のためには、対象範囲(カウント基準)を統一することが重要です。
  • イ: 強度率の「損失日数」は、医師の診断書に記載された休業日数ではなく、暦日数を300/365で換算した「労働損失日数」を使います。これは年間稼働日数(約300日)を基準とした補正です。この換算を行わないと実際の損失を過大・過小に評価してしまいます。
  • ウ: 年千人率は計算が容易なため、小規模事業場や特定部門での内部管理指標として使いやすいですが、残業が多い事業場では被災リスクを過小評価する可能性があります。残業時間が多く延べ労働時間数が多い事業場ほど、年千人率は低く算出されても度数率は高い、という逆転現象が起こり得ます。
  • エ: 「延べ労働者数」は、例えば「1年間に延べ何人が在籍したか(毎月の平均人数の合計等)」を指します。一方「延べ労働時間数」は「1年間に全労働者が実際に働いた総時間数の合計」です。度数率・強度率は後者(時間ベース)を使うことで、時間当たりリスクという形で比較します。
  • オ: 7,500日という換算日数はILO(国際労働機関)が定めた国際統計基準に基づいており、死亡を「残りの就業可能期間(25年×300日)」とみなして定量化したものです。この換算により、死亡1件が発生した事業場の強度率は大きく上昇し、重篤な事故の影響が強度率に適切に反映されます。

【根拠】厚生労働省「労働災害統計」の定義・算式。ILO統計基準(損失日数換算基準)。

【補足】度数率・強度率の分母=延べ労働時間数(人数ではない)。年千人率の分母=平均労働者数。度数率×1,000,000・強度率×1,000。死亡の損失日数換算=7,500日。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「労働災害統計」の定義。度数率・強度率・年千人率の算式は労働省(現厚生労働省)の統計基準に準拠。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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