衛生管理者 関係法令(有害業務以外) 問67:労働基準法
深夜業の割増賃金に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア使用者は、午後10時から午前5時までの間(深夜)に労働させた場合には、通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
- イ管理監督者は労働時間・休憩・休日の規定の適用を受けないが、深夜業の割増賃金については適用を受けるため、深夜に労働した場合は割増賃金の支払いが必要である。
- ウ法定時間外労働かつ深夜業に該当する場合の割増率は、5割以上(25%+25%)となる。
- エ法定休日労働かつ深夜業に該当する場合の割増率は、6割以上(35%+25%)となる。
- オ深夜業の割増賃金の計算に当たっては、家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・臨時に支払われた賃金はいずれも除外することができない。正答
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誤りはオです。割増賃金の計算基礎(通常の労働時間の賃金)から除外できる賃金として、労基則第21条は家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時に支払われた賃金・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与等)の7種類を規定しています。「いずれも除外できない」という記述は誤りです。
ア(深夜業の割増率は25%以上)、イ(管理監督者も深夜業割増は適用あり)、ウ(時間外+深夜=50%以上)、エ(休日労働+深夜=60%以上)はいずれも正しい記述です。
深夜業の割増賃金(労基法第37条)の概要:
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(正): 労基法第37条第4項により、深夜(午後10時〜午前5時)の労働については25%以上の割増賃金が必要です。
- イ(正): 管理監督者は労基法第41条第2号により労働時間・休憩・休日の適用から除外されますが、深夜業の割増賃金(第37条第4項)は適用除外の対象外です。管理監督者でも深夜勤務があれば25%割増の支払いが必要です(これは衛生管理者試験の重要論点)。
- ウ(正): 時間外(25%以上)+深夜(25%以上)が重複する場合、計算上は25%+25%=50%以上となります(加算方式)。
- エ(正): 法定休日労働(35%以上)+深夜(25%以上)が重複する場合は35%+25%=60%以上となります。なお「法定時間外かつ法定休日」は存在しないため、60%の計算式に注意が必要です。
- オ(誤): 労基則第21条により、家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時に支払われた賃金・1か月超の期間ごとの賃金(賞与等)の7種類は割増計算基礎から除外できます。「いずれも除外できない」は誤りです。
【理論的背景】
深夜業の割増賃金(労基法第37条第4項)は、深夜労働が労働者の生活リズム・健康に与える負担を賃金面で補償する制度です。昼間業務と同一賃金では深夜労働の不利益を補償できないという考え方から、25%以上の割増が義務付けられています。
管理監督者(労基法第41条第2号)への深夜業割増賃金の適用は「時間規制からの除外」と「割増賃金の除外」を区別する重要な論点です。管理監督者は「経営的立場から労働時間を自律的に管理できる者」として時間規制から除外されますが、深夜労働の身体的負担は管理職も一般労働者も変わらないため、深夜業割増賃金は適用維持されます。
【実務・条文構造】
割増率の整理(労基法第37条・2023年時点の現行法):
| 労働の種類 | 割増率(最低) |
|----------|------------|
| 法定時間外労働(月60時間以下) | 25%以上 |
| 法定時間外労働(月60時間超) | 50%以上(大企業・中小企業とも2023年4月以降) |
| 法定休日労働 | 35%以上 |
| 深夜業(午後10時〜午前5時) | 25%以上 |
| 法定時間外かつ深夜 | 50%以上(25%+25%) |
| 法定休日かつ深夜 | 60%以上(35%+25%) |
| 月60時間超かつ深夜 | 75%以上(50%+25%) |
割増計算基礎から除外できる7種類の賃金(労基則第21条):
1. 家族手当
2. 通勤手当
3. 別居手当
4. 子女教育手当
5. 住宅手当(選択肢オで漏れているが重要)
6. 臨時に支払われた賃金
7. 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与等)
除外できる「家族手当」「通勤手当」の要件:
- 「扶養家族数に応じて支給される」家族手当→除外可
- 「全員一律支給」の家族手当(名称のみ)→除外不可(実質的な基本給の一部)
- 「通勤距離・交通費に応じて支給される」通勤手当→除外可
- 「一律支給」の通勤手当→除外不可
住宅手当も「賃貸・持家等の住宅費用に連動して支給される」場合は除外可ですが、一律支給の場合は除外不可です。このように手当の「名称」ではなく「実態」で除外可否が判断される点が重要です。
管理監督者の割増賃金まとめ:
- 時間外割増賃金: 不要(時間規制の適用除外から当然)
- 休日割増賃金(法定休日): 不要(休日規定も適用除外)
- 深夜業割増賃金: 必要(第41条の適用除外に含まれない)
【試験での位置づけ】
深夜業割増賃金は「管理監督者にも適用される」という点が最頻出です。また「割増計算基礎から除外できる7種類」の暗記も必要で、「住宅手当が含まれる」点を忘れやすい受験者が多いです。選択肢オのように「一つも除外できない」という全否定の誤り選択肢に注意が必要です。月60時間超割増(50%以上)は2023年4月から中小企業にも適用拡大されたため、現行法として正確に把握しておく必要があります。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 深夜業の時間帯「午後10時〜午前5時」は地域によって繰り上げが認められる場合があります(厚生労働大臣の許可で午後11時〜午前6時に変更可・安衛則第11条の地域特例)。ただし標準は午後10時〜午前5時と覚えます。
- イ: 管理監督者の深夜業割増賃金が問われる背景は、「管理職だから深夜残業代を払わなくてよい」という誤解が実際の労使トラブルで多発したからです。2008年の日本マクドナルド事件(大阪地裁判決)等で管理監督者の認定基準が厳格化された経緯もあります。
- ウ: 加算方式(50%)の計算は「通常賃金100%+割増50%=150%支払い」として理解します。「割増率50%=残業代50%だけ払えばいい」という誤解もよく見られます。
- エ: 法定休日(35%)と法定時間外(25%)は重複しません(法定休日に8時間超働いても「時間外」ではなく「休日労働」として扱われる)。一方、法定休日労働が深夜に及べば60%となります。
- オ: 「住宅手当」が7種類に含まれる点がよく問われます。また「賞与」(1か月超の賞与)も除外できますが「毎月支給の賞与(インセンティブ)」は除外できません。除外できる手当の判断は「賃金の実態」で判断する原則を押さえてください。
【根拠法令】労働基準法 第37条(割増賃金・深夜業)・第41条第2号(管理監督者の適用除外・深夜業は適用)、労働基準法施行規則 第21条(割増計算基礎から除外できる7種類の賃金)
【補足】深夜業割増賃金は管理監督者にも適用。割増計算基礎から除外できる賃金は7種類(住宅手当を含む)。「除外できない」という全否定の選択肢に注意。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法(労基法)第37条(割増賃金)・第41条第2号(管理監督者の適用除外)、労働基準法施行規則(労基則)第21条(割増賃金の計算基礎から除外できる賃金)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。