労働生理36血液

衛生管理者 労働生理 問36:血液

白血球の種類と免疫機能に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 好中球は白血球の中で最も数が多く(全白血球の50〜70%)、細菌や異物を食食(貪食)する機能を持ち、感染症の急性期に最初に増加する。
  • リンパ球にはT細胞とB細胞があり、T細胞は細胞性免疫(ウイルス感染細胞・がん細胞の攻撃)を、B細胞は液性免疫(抗体産生)を担う。
  • 単球は血液中で最も大きい白血球であり、血液から組織に移行するとマクロファージに分化し、異物の貪食・抗原提示・炎症性サイトカイン産生を担う。
  • 好酸球はアレルギー反応(特にIgE依存性の即時型アレルギー・Ⅰ型アレルギー)および寄生虫感染で増加し、ヒスタミンを含む顆粒を持つ好塩基球とは区別される。
  • 白血球は赤血球と同様に核を持たず、脾臓でのみ産生される。正答
正答:白血球は赤血球と同様に核を持たず、脾臓でのみ産生される。

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誤りはオです。白血球は核を持ちます(赤血球は成熟すると核を失いますが、白血球はすべて核を持ちます)。また産生は脾臓のみではなく骨髄が主要な産生場所で、リンパ球の一部は胸腺やリンパ節でも分化・成熟します。

その他の選択肢は正しい内容です。好中球が最多で細菌貪食・感染急性期に増加(ア・正)。T細胞(細胞性免疫)・B細胞(液性免疫・抗体産生)(イ・正)。単球→マクロファージへの分化・貪食・抗原提示(ウ・正)。好酸球=アレルギー・寄生虫で増加、好塩基球=ヒスタミン顆粒(エ・正)はいずれも正確です。

標準試験対策の基準レベル

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(正): 好中球は最多の白血球種(50〜70%)で、2〜5葉の核を持ちます。細菌・真菌を直接食食(貪食)して分解する非特異的免疫の主役です。急性細菌感染・外傷では好中球が骨髄から大量動員され白血球数が増加します(白血球増多症)。
  • イ(正): リンパ球の分類は免疫学の基本です。T細胞(胸腺=Thymusで分化・成熟):ヘルパーT細胞(CD4⁺)が免疫反応の指揮官、キラーT細胞(CD8⁺)がウイルス感染細胞・がん細胞を直接攻撃します(細胞性免疫)。B細胞(骨髄=Bone marrowで分化):形質細胞に分化して抗体を産生します(液性免疫)。
  • ウ(正): 単球(全白血球の3〜8%)は血液中で巡回し、組織に移動するとマクロファージに分化します。マクロファージは貪食能・抗原提示(T細胞への情報伝達)・炎症性サイトカイン(IL-1・IL-6・TNF-α等)産生の多機能細胞です。
  • エ(正): 好酸球(全体の1〜5%):アレルギー疾患(気管支喘息・アトピー・花粉症)と寄生虫感染で増加します。好塩基球(全体の0.5〜1%):IgEが表面に結合しており、抗原に暴露されると脱顆粒してヒスタミンを放出→即時型アレルギー(蕁麻疹・アナフィラキシー)に関与します。
  • オ(誤): 白血球はすべて核を持ちます。赤血球は成熟過程で核を放出して無核になりますが、白血球(好中球・好酸球・好塩基球・単球・リンパ球)はすべて核を持つ有核細胞です。産生は主に骨髄(造血幹細胞から分化)で、リンパ球の一部はさらに胸腺・リンパ節で分化・成熟します。脾臓は老化した赤血球を破壊・免疫反応の場として重要ですが、白血球の産生場所ではありません。
上級誤答論破・根拠法令まで深掘り

【理論的背景】

血液の細胞成分は造血幹細胞(hematopoietic stem cell)から分化します。すべての血液細胞は骨髄に存在する多能性造血幹細胞を共通の起源とします。

造血の分化経路:

多能性造血幹細胞

→ 共通骨髄系前駆細胞(CMP): 赤血球・血小板・好中球・好酸球・好塩基球・単球に分化

→ 共通リンパ系前駆細胞(CLP): T細胞・B細胞・NK細胞・樹状細胞に分化

白血球の分類と役割の完全比較:

| 種類 | 割合 | 核の形状 | 主な機能 | 増加する状態 |

|---|---|---|---|---|

| 好中球 | 50〜70% | 分葉核(2〜5葉) | 細菌・真菌の貪食 | 急性細菌感染・外傷 |

| 好酸球 | 1〜5% | 2葉核 | アレルギー制御・寄生虫対応 | アレルギー・寄生虫感染 |

| 好塩基球 | 0.5〜1% | 分葉核(不規則) | ヒスタミン放出(アレルギー) | アレルギー(稀) |

| 単球 | 3〜8% | 馬蹄形核 | 貪食・抗原提示(マクロファージへ) | 慢性感染・自己免疫 |

| リンパ球 | 20〜40% | 大型円形核 | 特異的免疫(T・B・NK細胞) | ウイルス感染・リンパ腫 |

自然免疫と獲得免疫の連携:

  • 自然免疫(非特異的・即時): 好中球・マクロファージ・NK細胞・補体系→感染後数時間以内に応答
  • 獲得免疫(特異的・記憶): T細胞・B細胞→初回応答は数日かかるが、記憶細胞により再感染時に迅速・強力に応答(ワクチンの原理)

自然免疫から獲得免疫への橋渡し:

樹状細胞(dendritic cell)が抗原を提示→ナイーブT細胞を活性化→獲得免疫応答の開始

HIV感染とCD4⁺T細胞:

  • HIVはCD4⁺ヘルパーT細胞に感染・破壊→免疫司令塔の喪失
  • CD4⁺T細胞が200個/μL以下→エイズ(AIDS)の定義
  • 日和見感染(健常人には問題のない微生物による感染)が生じる

【実務・条文構造】

職場における血液・免疫管理の実際:

職場での免疫抑制因子と白血球への影響:

  • 過重労働・慢性ストレス: コルチゾール上昇→リンパ球数減少・NK細胞活性低下→感染・悪性腫瘍リスク上昇
  • 夜勤・交替勤務: 概日リズム乱れ→免疫機能低下
  • 鉛・ベンゼン曝露: 造血障害→白血球減少症・再生不良性貧血・白血病リスク

定期健康診断の血液検査値の解釈(衛生管理者として):

  • 白血球数 4,000〜9,000/μL が正常範囲
  • 10,000以上: 白血球増多症(感染・炎症・白血病等)
  • 4,000未満: 白血球減少症(ウイルス感染・骨髄抑制・薬剤副作用・自己免疫等)
  • 好中球比率の上昇(核左方移動): 急性細菌感染の重要なサイン
  • リンパ球増多: ウイルス感染(EBウイルス等による伝染性単核球症)

HIV感染者の職場への理解と対応:

  • HIV陽性者への就業差別は禁止
  • HIV感染は日常的な職場接触(握手・トイレ共用・咳・食事)では感染しない
  • 血液・体液への業務上曝露(注射針刺し等)は例外として感染リスクがある→針刺し事故後の対応フロー整備

【試験での位置づけ】

白血球の問題では「5種類の白血球の機能・割合」「好中球=最多・貪食」「T細胞・B細胞の役割分担(細胞性・液性)」「単球→マクロファージへの分化」「白血球はすべて核を持つ(赤血球と違い核あり)」が頻出です。オのような「白血球が核を持たない」「脾臓のみで産生」という二重の誤りは、赤血球の特徴(成熟すると核なし)を白血球にも当てはめた典型的な引っかけです。白血球は有核細胞で骨髄産生(リンパ球の一部は胸腺・リンパ節で分化)を確実に押さえてください。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 「核左方移動(桿状核球や骨髄球の出現)」は急性の重篤な細菌感染でみられます。通常は分葉した成熟好中球が主ですが、感染が激しいと未熟な好中球(桿状核球)が動員されます。産業医・衛生管理者として「白血球増多+核左方移動」の血液検査所見は業務関連感染症(粉じん・有機溶剤曝露後の感染等)の重要サインとして認識します。
  • イ: NK細胞(ナチュラルキラー細胞)はリンパ球の一種ですが、T細胞・B細胞と異なり「事前の感作なし」でウイルス感染細胞やがん細胞を攻撃できます(自然免疫の一部)。NK細胞活性は精神的ストレスで低下することが研究で示されており、過重労働→NK細胞活性低下→がんリスク上昇という経路が職業性がんリスクの背景の一つとして注目されます。
  • ウ: マクロファージは組織によって異なる名前で呼ばれます: 肺→肺胞マクロファージ、肝臓→クッパー細胞、脳→ミクログリア、皮膚→ランゲルハンス細胞(樹状細胞の一種)。これらは皮膚・肺・肝臓という職業性有害物質の侵入経路に位置する重要な免疫細胞です。
  • エ: アレルギー(Ⅰ型・即時型)の機序: 初感作→B細胞→形質細胞→IgE産生→肥満細胞・好塩基球の表面IgE受容体(FcεRI)に結合→再感作(抗原)→架橋→脱顆粒→ヒスタミン・ロイコトリエン等の放出→アレルギー症状。職業性喘息(ラテックス・小麦等)も同じ機序で生じます。

【根拠】医学的事実(確立した生理学・免疫学・血液学)。白血球が有核細胞であること・骨髄(+胸腺・リンパ節)産生・各白血球種の機能は血液学・免疫学の基礎概念として確立。

【補足】白血球はすべて核を持つ有核細胞(赤血球は成熟すると無核)。産生は主に骨髄(リンパ球の一部は胸腺・リンパ節)。好中球=最多・貪食。T細胞=細胞性免疫。B細胞=液性免疫(抗体産生)。単球→マクロファージに分化。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 医学的事実(確立した生理学・免疫学)。白血球は核を持ち骨髄(リンパ球の一部は胸腺・リンパ節でも分化)で産生される。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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