衛生管理者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

衛生管理者 労働生理 問5|血液・体温調節

問題

衛生管理者 | 労働生理

血液および体温調節に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

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答え合わせ

正解は オ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

誤りはオです。血液凝固のプロセスでは、まず傷ついた血管に血小板が集まって粘着・凝集し(一次止血)、その後にフィブリノゲン→フィブリンへの変換(二次止血・凝固カスケード)が起きます。血小板の凝集は「不要」ではなく、止血の最初の重要なステップです。「血小板の最初の凝集は不要」という記述が誤りです。

その他のア(赤血球とヘモグロビンのO₂運搬)・イ(白血球の種類・血小板の役割と核なし)・ウ(暑い環境での放熱)・エ(寒い環境でのシバリング)はすべて正しい内容です。

血液成分の基本整理:

成分特徴主な機能
赤血球核なし・ヘモグロビン含有・寿命約120日O₂・CO₂の運搬
白血球核あり・5種類免疫(貪食・抗体産生)
血小板核なし・最小(巨核球から分離)・寿命約10日止血・血液凝固
血漿液体成分(タンパク質・電解質等)栄養・老廃物の運搬・浸透圧維持

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(正): ヘモグロビン(Hb)は鉄を含む色素タンパク質(ヘム+グロビン)。PaO₂が高い肺でHbO₂(酸化ヘモグロビン)を形成し、PaO₂が低い組織でO₂を解離させる(ボーア効果で促進)。CO₂の運搬はカルバミノヘモグロビン・炭酸水素イオン(HCO₃⁻)として行われます。
  • イ(正): 白血球の分類: 顆粒球(好中球・好酸球・好塩基球)とリンパ球・単球。好中球が最多(白血球の50〜70%)で細菌の貪食が主機能。血小板は核を持たない(骨髄の巨核球から産生される断片)。
  • ウ(正): 暑い環境での体温調節機序: 皮膚血管拡張(交感神経の血管収縮トーン低下)→皮膚への血流増加→対流放熱増加。発汗(エクリン汗腺)→蒸発散熱(蒸発潜熱による冷却)。
  • エ(正): 寒い環境での体温調節機序: 皮膚血管収縮→熱損失低減。シバリング(骨格筋の不随意収縮)→熱産生増加。甲状腺ホルモン・アドレナリン増加→代謝亢進。
  • オ(誤): 止血は一次止血(血管収縮・血小板凝集による血栓形成)と二次止血(凝固因子カスケード→フィブリン形成)の2段階です。「血小板の最初の凝集は不要」は誤り。血小板が傷口に集積し一次血栓を形成した上で、凝固カスケードが起動してフィブリンで強固な止血栓が形成されます。

【理論的背景】

血液凝固機構(止血)は、血管損傷後に生命を維持するために不可欠なプロセスですが、過剰に活性化すると血栓症(心筋梗塞・脳梗塞・深部静脈血栓症)の原因にもなります。止血と血栓予防のバランスを理解することは職業医学・産業保健でも重要な知識です(過重労働・長時間同一姿勢作業では血栓リスクが上昇)。

体温調節の中枢は視床下部の体温調節中枢です。体温の「セットポイント」(通常37℃前後)からの乖離を感知して、放熱または熱産生のどちらかを促進する機能を持ちます。発熱(感染症・炎症)ではサイトカイン(IL-1・IL-6・TNF-α等)がセットポイントを上げる方向に作用し、「寒気(シバリング)で体温を上げた後に発汗で下げる」という経過をたどります。

【実務・条文構造】

血液凝固の2段階止血の詳細:

一次止血(血小板凝集血栓形成):

1. 血管損傷→内皮下組織(コラーゲン等)の露出

2. 血小板がコラーゲンに付着(vWF:フォン・ウィレブランド因子を介して)

3. 血小板が活性化→血小板凝集促進物質(TXA₂・ADP等)放出

4. 血小板が相互に凝集→一次止血栓(白色血栓)形成

二次止血(凝固カスケード→フィブリン形成):

5. 内因系・外因系の凝固カスケードが起動

6. 最終的にプロトロンビン→トロンビンへの変換(ビタミンK依存性因子が関与)

7. トロンビン→フィブリノゲン(可溶)→フィブリン(不溶)への変換

8. フィブリンが血小板血栓を強固にして止血栓完成(赤色血栓)

ビタミンKの役割: 凝固因子Ⅱ(プロトロンビン)・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹの合成に必要(ガンマカルボキシル化)。ワルファリン(抗凝固薬)はビタミンKの作用を阻害することで抗凝固効果を発揮します。

体温調節機構の詳細:

放熱の4メカニズム:

  • 輻射(放射): 熱を赤外線として放出(安静時最大約60%)
  • 伝導: 接触している物体への熱移動
  • 対流: 皮膚周囲の空気の流れによる熱移動
  • 蒸発散熱: 発汗・不感蒸泄(高温時に最も重要)

熱産生機構:

  • 基礎代謝・食事誘発性熱産生(日常的な熱源)
  • シバリング(骨格筋の不随意収縮): 寒冷時の即時熱産生
  • 非シバリング熱産生: 褐色脂肪組織の活性化(新生児・動物で重要)・甲状腺ホルモン・アドレナリン増加による代謝亢進

【試験での位置づけ】

血液・体温調節問題の最頻出テーマは「血液3成分の特徴(赤血球=核なし・ヘモグロビン含有/血小板=核なし・止血/白血球=核あり・5種類)」「体温調節の放熱方法(皮膚血管拡張・発汗)と熱産生(シバリング・代謝亢進)」「止血の2段階(血小板一次止血→凝固カスケード二次止血)」です。オのような「血小板の凝集が不要」誤りは、「フィブリンが重要→血小板は不要では?」という誤解から来るパターンです。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: ヘモグロビンのO₂親和性は血液のpH・CO₂・温度・2,3-DPGの影響を受けます(ボーア効果)。組織(低pH・高CO₂・高温)ではO₂解離が促進され、組織への酸素供給効率が高まります。これが激しい運動中に効率的な酸素供給ができる生理的根拠です。
  • イ: 白血球の種類別機能: 好中球(細菌の貪食・急性炎症)→好酸球(寄生虫・アレルギー)→好塩基球(IgE結合・アレルギー)→リンパ球(B細胞→抗体産生/T細胞→細胞性免疫)→単球(組織でマクロファージに分化・貪食・抗原提示)。
  • ウ: 暑い環境での皮膚血管拡張によって核心温度の低下が起きますが、同時に血圧が低下する傾向があります(末梢血管が開いて容量が増える)。高温作業場での熱中症リスクは「発汗による脱水+血管拡張による低血圧」が組み合わさる点にあります。
  • エ: シバリングは骨格筋の反復的な微小収縮であり、代謝活動によって熱を産生します。シバリングの熱産生能力は安静時の数倍に達しますが、持続させると疲弊します。高齢者では体温調節機能が低下しており、寒冷・熱中症への対応能力が若年者より低下します。
  • オ: アスピリンは血小板シクロオキシゲナーゼを不可逆的に阻害してトロンボキサンA₂の生成を抑え、血小板の働きを抑えます。一方、抗凝固薬のワルファリンはビタミンK依存性の凝固因子(第Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子)の産生を阻害し、ヘパリンはアンチトロンビンの作用を促進してトロンビン(第Ⅱa因子)と第Xa因子を不活化します。このように薬は一次止血と二次止血の異なる段階に作用します。これは止血機構の2段階を前提とした治療設計であり、「血小板が不要」とする考え方とは相容れません。

【根拠】医学的事実(確立した生理学・血液学)。止血の2段階(一次止血=血小板凝集、二次止血=凝固カスケード)は血液生理学の基本原則として確立。

【補足】止血の最初のステップは「血小板の凝集(一次止血)」であり、血小板は不要ではない。フィブリン形成(二次止血)はその後に起きる。

この問題の根拠根拠: 医学的事実(確立した生理学)。血液凝固の一次止血(血小板凝集)と二次止血(凝固カスケード)の順序は生理学・血液学の基礎。
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出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 医学的事実(確立した生理学)。血液凝固の一次止血(血小板凝集)と二次止血(凝固カスケード)の順序は生理学・血液学の基礎。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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  • 血液・体温調節
  • 頻出度A

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