基本情報 平成28年度 春期 問45:テクノロジ系に関する問題
PC への侵入に成功したマルウェアがインターネット上の指令サーバと通信を行う 場合に, 宛先ポートとして TCP ポート番号 80 が多く使用される理由はどれか。
- aDNS のゾーン転送に使用されることから, 通信がファイアウォールで許可され ている可能性が高い。
- bWeb サイトの HTTPS 通信での閲覧に使用されることから, 侵入検知システム で検知される可能性が低い。
- cWeb サイトの閲覧に使用されることから, 通信がファイアウォールで許可され ている可能性が高い。正答
- dドメイン名の名前解決に使用されることから, 侵入検知システムで検知される 可能性が低い。
AI解説(初心者・標準・上級)
理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。
答えは c「Webサイト閲覧用なので、ファイアウォールで許可されている可能性が高い」 です。
TCP 80番ポートはWebサイト閲覧(HTTP)の標準ポート。会社や家のファイアウォールはWebは見られないと困るのでほぼ確実に開けてある。
だから悪いソフトは「開いてる門から堂々と出入りすればバレにくい」と考えて80番を選びます。
👉 覚え方:「80番=Web=どこでも開いてる門」。
ほかの選択肢:a DNSゾーン転送=TCP 53で別ポート/b HTTPS閲覧=それは443番/d 名前解決=DNS(UDP 53)。「Web閲覧」というキーワードと結びつくのが80番。
なぜこれが正解か
正解は c。TCPポート80番はHTTP(Webブラウジング)のwell-knownポートで、企業ファイアウォールでも通常許可されている。マルウェアはC&Cサーバ(Command & Control/指令サーバ)との通信に80番を使うことで、ファイアウォール通過の確率を高めつつ、Webトラフィックに紛れ込んで検知回避する。
各選択肢の解説
- a DNSゾーン転送:DNSは53番(UDP/TCP)で80番ではない。記述が誤り。
- b HTTPS閲覧で侵入検知回避:HTTPSは443番。記述が誤り。HTTPS(443)も実際にC&C通信に使われるが本問は80番。
- c Web閲覧で許可されている可能性が高い:正解。
- d ドメイン名解決:これも53番のDNSの話。
覚え方・ひっかけ注意
「80=HTTP/443=HTTPS/53=DNS/25=SMTP/110=POP3/143=IMAP/22=SSH/3389=RDP」は完全暗記必須。マルウェアがWebトラフィックに紛れる手法はトンネリング・Domain Frontingとして知られる。HTTPSの443も同様に多用されるが、本問は80番限定の出題。443番だと侵入検知回避が容易(暗号化で中身見えない)という側面はあるが、80番選定の理由は通過しやすさが主因。
理論的背景
C&C(Command and Control)通信はAPT攻撃の中核要素で、マルウェアが攻撃者の指令を受け、窃取データを送出する経路。Kill Chainの「Command & Control」フェーズに該当。検知回避のため:
- 正規プロトコル偽装:HTTP/HTTPS/DNS over 80/443/53
- DGA(Domain Generation Algorithm):動的に生成したドメインで通信
- Fast Flux:頻繁にIP切替
- Domain Fronting:CDN経由で目的地隠蔽
- Beaconing:低頻度通信でトラフィック異常を隠す
実務での使われ方
防御技術:
- DPI(Deep Packet Inspection):ペイロード解析で異常通信検知
- TLS復号インスペクション:HTTPS内容も検査(プライバシ問題あり)
- DNS Sinkhole:既知C&Cドメインをブラックホールに誘導
- アウトバウンドプロキシ強制:直接インターネット接続禁止
- ベイコニング検知:定期通信パターンの統計的異常検知
- Threat Intelligence連携:IoC(Indicator of Compromise)共有
SIEM/XDRで多層的に検知し、SOARで自動対処。
試験での位置づけ
セキュリティ分野頻出。基本情報ではポート番号と用途、応用情報・情報処理安全確保支援士ではKill Chain・MITRE ATT&CK・APT・ラテラルムーブメントまで踏み込む。標的型攻撃メール(スピアフィッシング)との連動シナリオも頻出。
選択肢の発展補足
Well-knownポート一覧(暗記必須):
- 20/21: FTP(データ/制御)
- 22: SSH
- 23: Telnet(非推奨)
- 25: SMTP
- 53: DNS
- 67/68: DHCP
- 80: HTTP
- 110: POP3
- 123: NTP
- 143: IMAP
- 161/162: SNMP
- 443: HTTPS
- 465/587: SMTPS/Submission
- 993: IMAPS
- 995: POP3S
- 3389: RDP
現代的攻撃ではDNS over HTTPS(DoH)/DNS over TLS(DoT)を悪用したトンネリングが急増し、防御側はSSL/TLSインスペクションとふるまい分析の組み合わせで対応。試験対策は基本ポート番号暗記+現代脅威動向の理解で上位資格までカバー可能。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 基本情報技術者試験 平成28年度 春期 問45/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。