行政書士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

行政書士 行政法 問113|行政代執行・要件・手続・代執行法

問題

行政書士 | 行政法

行政代執行に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は オ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

オが正しいです。行政代執行法6条1項は「代執行に要した費用は、国税滞納処分の例により、これを徴収することができる」と規定しています。アは誤りです。2条は対象を「他人が代つてなすことのできる行為に限る」としており、非代替的作為義務には及びません。イは誤りです。2条は「他の手段によつてその履行を確保することが困難であり、且つ」不履行の放置が「著しく公益に反すると認められるとき」と定め、両方が必要です。ウは誤りです。3条3項により、非常の場合または危険切迫の場合で緊急の必要があり手続をとる暇がないときは、戒告を含む手続を経ないで代執行できます。エは誤りです。2条は費用を「義務者から徴収することができる」と定めています。

代執行の要件(行代法2条): 代執行は、法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む)により直接に命ぜられ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為で、「他人が代つてなすことのできる行為に限る」義務が不履行の場合に認められます(アは誤り——非代替的作為義務は対象外)。さらに「他の手段によつてその履行を確保することが困難であり、且つその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるとき」という2つの要件を両方満たす必要があります。他の手段で履行確保が可能でも代執行できるとするイは誤りです。

代執行の手続(行代法3条): ①相当の履行期限を定め、期限までに履行がないときは代執行をなすべき旨を予め文書で戒告(1項)→②期限までに履行しないときは代執行令書で通知(2項)→③代執行の実施。3項は「非常の場合又は危険切迫の場合において、当該行為の急速な実施について緊急の必要があり、前二項に規定する手続をとる暇がないときは、その手続を経ないで代執行をすることができる」と定めます。戒告も省略できるので、「戒告は省略できない」とするウは誤りです。

費用の徴収(エが誤り・オが正しい根拠): 代執行の費用は「義務者から徴収することができる」(2条)ので、国や地方公共団体が負担するとするエは誤りです。徴収にあたっては、実際に要した費用の額及びその納期日を定め、義務者に対し文書でその納付を命じなければなりません(5条)。そして「代執行に要した費用は、国税滞納処分の例により、これを徴収することができる」(6条1項)ので、オが正しい記述です。

【理論的背景】

行政代執行は、行政上の義務を義務者が履行しない場合に、行政庁が自ら又は第三者に代わって義務を執行し、その費用を義務者から徴収する制度です(行政上の強制執行の一類型)。民事執行(裁判所による強制執行)と異なり、行政庁が自力で(裁判所の関与なく)強制的に義務を実現できる点が特徴です。行政代執行法1条は「行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる」と定め、同法が行政上の義務履行確保の一般法であることを示しています。2条の「法律」には法律の委任に基く命令、規則及び条例が含まれるため、条例に基づく代替的作為義務の不履行にも適用されます。

代執行以外の行政上の強制執行手段(執行罰・直接強制)は、1条の「別に法律で定めるもの」として個別の法律に定めがある場合に限って用いることができ、一般法は置かれていません。

【実務・条文構造】

行政代執行法の条文構造:

条文内容
1条行政上の義務の履行確保は、別に法律で定めるものを除き、この法律による(一般法)
2条代執行の要件(他人が代つてなすことのできる行為の不履行・他の手段による履行確保が困難・放置が著しく公益に反する)
3条代執行手続(1項 文書による戒告→2項 代執行令書による通知。3項 非常の場合又は危険切迫の場合で、緊急の必要があり手続をとる暇がないときは手続を経ないで代執行可)
4条執行責任者は本人であることを示す証票を携帯し、要求があれば呈示
5条実際に要した費用の額及びその納期日を定め、文書で納付を命ずる
6条1項 国税滞納処分の例により徴収/2項 国税及び地方税に次ぐ順位の先取特権

代執行の対象(代替的作為義務)の例:

  • 違法建築物の除却命令の不履行→建物を取り壊す(代替的作為義務)
  • 道路上の障害物の除去命令の不履行
  • 廃棄物撤去命令の不履行

代執行の対象にならないもの(非代替的作為義務・不作為義務):

  • 営業禁止命令の違反(不作為義務)
  • 医師の診断行為の義務(一身専属的義務)
  • 行政指導に従う義務(法的義務ではない)

【試験での位置づけ】

行政書士試験では代執行の「対象(代替的作為義務のみ)」「要件(他の手段による履行確保が困難+放置が著しく公益に反する)」「手続(戒告→令書→執行、非常時は手続省略可)」「費用(義務者から徴収・国税滞納処分の例)」が頻出です。「非代替的義務も対象」(ア)、「費用は国が負担」(エ)は典型的な誤肢パターンです。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 誤り。2条は対象を「他人が代つてなすことのできる行為に限る」としている。非代替的作為義務(一身専属的なもの)・不作為義務には代執行は及ばない。
  • イ: 誤り。2条は「他の手段によつてその履行を確保することが困難であり、且つその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるとき」と定め、2つの要件を「且つ」で結んでいる。他の手段で履行確保が可能なら代執行はできず、また公益違反も「おそれ」では足りず「著しく公益に反すると認められる」ことが必要である。
  • ウ: 誤り。3条3項は「非常の場合又は危険切迫の場合において、当該行為の急速な実施について緊急の必要があり、前二項に規定する手続をとる暇がないときは、その手続を経ないで代執行をすることができる」と定める。「前二項に規定する手続」には1項の戒告も含まれるので、戒告も省略できる。
  • エ: 誤り。2条は費用を「義務者から徴収することができる」と定め、5条は文書による納付命令を定める。国・地方公共団体の負担とするのは誤り。
  • オ: 正しい(正答)。6条1項「代執行に要した費用は、国税滞納処分の例により、これを徴収することができる」のとおり。同条2項により、行政庁は代執行費用について国税及び地方税に次ぐ順位の先取特権も有する。

【根拠条文】

行政代執行法 第1条(一般法)

行政代執行法 第2条(代執行の要件)

行政代執行法 第3条(戒告・代執行令書・非常の場合等の手続省略)

行政代執行法 第4条(執行責任者の証票の携帯・呈示)

行政代執行法 第5条(費用の納付命令)

行政代執行法 第6条(費用の徴収:国税滞納処分の例・先取特権)

【補足】

代執行の3大ポイント:①対象=代替的作為義務のみ ②手続=戒告→令書→執行(非常時省略可) ③費用=義務者から徴収・国税滞納処分の例により徴収。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 行政代執行法 第2条(代執行の要件)、第3条(戒告・代執行令書)、第4条(代執行の実施)、第5条(費用の納付)、第6条(費用の徴収) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。