行政書士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

行政書士 行政法 問4|不利益処分・聴聞・弁明の機会の付与

問題

行政書士 | 行政法

行政手続法が定める不利益処分の手続(聴聞・弁明の機会の付与)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

キーボード:1〜5で選択・Enterで次へ

タップするとすぐ答え合わせ

答え合わせ

正解は ウ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)

解説

不利益処分の手続には「聴聞」と「弁明の機会の付与」の2種類があります。聴聞:許認可等の取消し・資格や地位の直接のはく奪・役員等の解任や会員の除名を命ずる処分など(13条1項1号)→手続が充実。弁明の機会の付与:それ以外の不利益処分(同項2号)→原則として書面による簡易な手続。アは「常に聴聞が必要」とする点で誤りです。イは「弁明の方が厳格」としている点が逆で誤りです。ウは正しいです(意見陳述・証拠書類等の提出は20条2項、聴聞調書の閲覧は24条4項)。エは誤りです。主宰者は利害関係人に参加を求め、又は参加を許可できます(17条1項)。オは誤りです。行政庁は調書と報告書を「十分に参酌」して決定しますが(26条)、拘束はされません。

行政手続法13条は不利益処分の前置手続を以下のように区別します。聴聞(13条1項1号)を実施する場合: イ 許認可等を取り消す不利益処分、ロ 名あて人の資格又は地位を直接にはく奪する不利益処分、ハ 名あて人が法人である場合の役員の解任・業務従事者の解任・会員の除名を命ずる不利益処分、ニ イ〜ハ以外で行政庁が相当と認めるとき。弁明の機会の付与(13条1項2号)を実施する場合: 「前号イからニまでのいずれにも該当しないとき」。なお、公益上緊急に不利益処分をする必要がある場合など13条2項各号に当たるときは、聴聞・弁明のいずれの手続も執る必要がありません。ア(常に聴聞)・イ(弁明の方が厳格)は誤りです。ウ(正しい): 当事者又は参加人は、聴聞の期日に出頭して意見を述べ、及び証拠書類等を提出できます(20条2項)。また「当事者又は参加人は、第一項の調書及び前項の報告書の閲覧を求めることができる」(24条4項)。エ(誤り): 主宰者は、必要があると認めるときは、利害関係を有すると認められる者に対し、聴聞に関する手続に参加することを求め、又は参加することを許可することができます(17条1項)。オ(誤り): 行政庁は、調書の内容及び報告書に記載された主宰者の意見を「十分に参酌して」不利益処分の決定をしなければなりません(26条)。参酌であって拘束ではないので、「必ずその内容に沿った処分」は誤りです。

【理論的背景】

不利益処分(行手法2条4号:行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分。申請を拒否する処分などは除かれる)において、適正手続(憲法31条)の要請から事前の告知・意見陳述の機会が求められます。行政手続法は処分の重大性に応じて2段階の手続を設け、重大な処分(許可取消等)には充実した聴聞手続、比較的軽微な処分には簡略な弁明手続を用意しています。この段差は「手続の負担と処分の影響のバランス」という行政効率と権利保護の調整として設計されています。

【実務・条文構造】

聴聞手続の特徴(弁明との比較):

項目聴聞弁明の機会の付与
対象処分13条1項1号イ〜ニ(許認可等の取消し・資格又は地位の直接のはく奪・役員等の解任や会員の除名を命ずる処分・行政庁が相当と認めるとき)同項2号(1号イ〜ニのいずれにも該当しないとき)
手続の方式聴聞の期日に出頭して意見陳述・証拠書類等の提出(20条2項)。出頭に代えて陳述書等の提出も可(21条1項)行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明書を提出(29条1項)
資料の閲覧聴聞の通知から終結までの間、調査の結果に係る調書その他の資料の閲覧を求めることができる(18条1項)18条は準用されていない(31条)
利害関係人の参加主宰者が参加を求め、又は参加を許可できる(17条1項)規定なし
調書・報告書主宰者が作成し、当事者又は参加人は閲覧を求めることができる(24条1項・3項・4項)なし
決定時の扱い調書の内容及び報告書の主宰者の意見を十分に参酌(26条)規定なし

聴聞調書・報告書の法的効果(オの誤りの根拠):主宰者は、審理の経過を記載し当事者及び参加人の陳述の要旨を明らかにした調書(24条1項)と、当事者等の主張に理由があるかどうかについての意見を記載した報告書(同条3項)を作成して行政庁に提出します。行政庁は、不利益処分の決定をするときは、調書の内容及び報告書に記載された主宰者の意見を「十分に参酌して」これをしなければなりません(26条)。参酌の義務であって、調書・報告書の内容に拘束されて必ずその内容に沿った処分をしなければならないわけではありません。

調書の閲覧と資料の閲覧の区別(ウの根拠):18条1項の閲覧の対象は「当該事案についてした調査の結果に係る調書その他の当該不利益処分の原因となる事実を証する資料」で、期間は「聴聞の通知があった時から聴聞が終結する時までの間」です。これに対し、主宰者が作成する聴聞調書・報告書の閲覧は24条4項の規定によります。

【試験での位置づけ】

本論点は行政書士試験で最頻出の詳細手続問題です。典型的な引っかけは「聴聞の方が弁明より緩やかな手続(逆)」「聴聞調書に拘束される(拘束力なし)」「利害関係人は聴聞に参加できない(参加できる)」です。弁明は書面提出が原則、聴聞は口頭陳述が原則という対比も重要です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 誤り。13条1項1号イ〜ニに当たるときは聴聞、いずれにも該当しないときは弁明の機会の付与(同項2号)。さらに13条2項各号に当たるときは、いずれの手続も執る必要がない。「常に聴聞」は誤り。
  • イ: 誤り。聴聞の方が弁明より手続が充実・厳格(主宰者・期日における審理・調書と報告書の作成)。「弁明の方が厳格」は逆。
  • ウ: 正しい(正答)。意見陳述・証拠書類等の提出は20条2項、聴聞調書の閲覧は24条4項「当事者又は参加人は、第一項の調書及び前項の報告書の閲覧を求めることができる」。
  • エ: 誤り。主宰者は、必要があると認めるときは、利害関係を有すると認められる者に対し、聴聞に関する手続に参加することを求め、又は参加することを許可することができる(17条1項)。「参加できない」は誤り。
  • オ: 誤り。行政庁は調書の内容及び報告書に記載された主宰者の意見を「十分に参酌して」決定する(26条)。参酌であって拘束ではないので、「必ずその内容に沿った処分」は誤り。

【根拠条文】

行政手続法 第13条(聴聞・弁明の機会の付与の区分)、第15条(聴聞の通知)、第17条(参加人)、第18条(文書等の閲覧)、第20条(聴聞の期日における審理の方式)、第24条(聴聞調書及び報告書・閲覧)、第26条(聴聞を経てされる不利益処分の決定・十分に参酌)、第29条(弁明の機会の付与の方式)

【補足】

「聴聞の方が手続が充実・厳格」「弁明は原則として弁明書の提出」という対比と、「聴聞調書・報告書は十分に参酌(拘束はされない)」を一緒に整理して覚えること。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 行政手続法 第13条(不利益処分の手続区分)、第15条〜第28条(聴聞手続)、第29条〜第31条(弁明の機会の付与) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。