行政法133行政法横断・義務付け訴訟と申請型・非申請型の要件

行政書士 行政法 問133:行政法横断・義務付け訴訟と申請型・非申請型の要件

行政事件訴訟法に定める義務付け訴訟に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 行政事件訴訟法が規定する義務付け訴訟は、申請型義務付け訴訟(申請拒否・不作為の場合)と非申請型義務付け訴訟(直接型)の2類型があり、いずれも仮の義務付けとして申請前に行うことができる。
  • 申請型義務付け訴訟(申請に対する不作為の義務付け)は、不作為違法確認訴訟と併合して提起しなければならない。
  • 非申請型義務付け訴訟(直接型・行訴法37条の2)の要件として、「一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれ」があること及び「その損害を避けるため他に適当な方法がないこと(補充性)」が必要とされている。正答
  • 申請型義務付け訴訟において申請が拒否された場合の要件として、取消訴訟または無効等確認訴訟と併合提起することが必要とされているが、当該取消訴訟等と義務付け訴訟の審理を分離して行うことは認められている。
  • 仮の義務付けは、行政庁に義務付けの仮の処分を認める制度であり、その要件として「償うことのできない損害を避けるための緊急の必要性」が必要とされており、行政処分の執行停止の「重大な損害」要件より厳格である。
正答:非申請型義務付け訴訟(直接型・行訴法37条の2)の要件として、「一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれ」があること及び「その損害を避けるため他に適当な方法がないこと(補充性)」が必要とされている。

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ウが正しいです。非申請型義務付け訴訟(行訴法37条の2)は、申請権のない者が行政庁に対して一定の処分を義務付けることを求める訴訟です。その要件として、①「重大な損害を生ずるおそれ」と②「その損害を避けるための他に適当な方法がないこと(補充性)」が必要とされています。アは「いずれも申請前に仮の義務付けが可能」としており誤りです(仮の義務付けは本案訴訟を提起した後の保全措置)。イは「不作為違法確認訴訟と必ず併合提起」としており誤りです(申請拒否型は取消訴訟等との併合・不作為型は不作為違法確認訴訟との選択的併合)。エは「審理の分離が認められる」としており誤りです(義務付け訴訟と取消訴訟等は分離して審理することは認められない)。

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非申請型義務付け訴訟の要件(ウが正しい根拠): 行訴法37条の2(非申請型・直接型義務付け訴訟)の要件は以下のとおりです。①行政庁が一定の処分をすべきにもかかわらずしないこと(不作為)、②一定の処分がされないことにより「重大な損害を生ずるおそれ」がある(重大な損害要件)、③損害を避けるため「他に適当な方法がないこと」(補充性要件)、④原告適格(一定の法律上の利益を有する者)。ウはこの②③を正確に表現しています。

申請型義務付け訴訟の手続(イが誤りの根拠): 申請型義務付け訴訟(行訴法37条の3)には2つのパターンがあります。①申請拒否型(申請が拒否された場合): 当該拒否処分の取消訴訟または無効等確認訴訟と併合提起が必要。②申請不作為型(申請に対し相当期間内に処分がない場合): 不作為の違法確認訴訟と併合提起が必要(または択一的)。イは「不作為違法確認訴訟との必ず併合」としており、申請拒否型には取消訴訟等との併合が要求される点を見落としています(誤り)。

仮の義務付けの要件(オとの関係): 行訴法37条の5第1項は仮の義務付けの要件として「償うことのできない損害を避けるための緊急の必要性」を規定しています。これは執行停止の「重大な損害」より厳格な要件とされています(オは正しい内容)。ただしウがより明確に正答の要件を示しているため正答はウ。

審理の分離不可(エが誤りの根拠): 申請型義務付け訴訟は取消訴訟等と「同一の訴訟手続で審理」されなければならず、分離審理は認められません。

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【理論的背景】

義務付け訴訟は2004年の行政事件訴訟法改正により法定された訴訟類型です(施行2005年4月1日)。改正前は行政庁が処分をしないという「不作為」や「拒否」に対して、取消訴訟以外の積極的な救済手段が不十分でした。改正により、行政庁に積極的に一定の処分をするよう義務付けを求める訴訟類型が法定化され、申請が認められるべき状況で不当に拒否・放置された場合の権利救済が実効的になりました。申請型(申請があったのに拒否・放置)と非申請型(申請権がない場合でも行政庁に処分を求める)の2類型が設けられています。

【実務・条文構造】

義務付け訴訟の2類型の詳細比較(行訴法37条の2・37条の3):

非申請型義務付け訴訟(37条の2・直接型):

  • 要件: ①重大な損害を生ずるおそれ②補充性(他に適当な方法なし)③原告適格
  • 典型場面: 違法建築物の除却命令を近隣住民が求める場合、行政規制の不作為に対する周辺住民等の訴え
  • 「重大な損害」の判断要素(37条の2第2項): 損害の回復困難性・損害の性質等

申請型義務付け訴訟(37条の3・2パターン):

申請拒否型(37条の3第1項1号):

  • 前提: 法令に基づく申請・審査請求が行われた
  • 要件: 行政庁が相当の期間内に何ら処分をしないこと、または申請を拒否したこと
  • 併合必要: 取消訴訟または無効等確認訴訟との「同一の手続での併合」(37条の3第3項・分離不可)
  • 本案の勝訴要件(37条の3第5項): ①処分をすべきことが処分の根拠法令から明らかである場合、または②処分をしないことがその裁量権の範囲の逸脱もしくは濫用となると認められる場合

申請不作為型(37条の3第1項2号):

  • 前提: 申請が行われ相当期間内に処分がない(不作為)
  • 併合必要: 不作為の違法確認訴訟との「同一の手続での併合」(37条の3第3項)

仮の義務付けと執行停止の比較(オの根拠):

  • 仮の義務付け(37条の5第1項): 「償うことのできない損害を避けるための緊急の必要性」→厳格な要件
  • 執行停止(25条): 「重大な損害を避けるための緊急の必要性」→比較的緩い要件

仮の義務付けは積極的な仮の行政処分を命じるものであり、消極的な停止(執行停止)より影響が大きいため、より厳格な要件が課されています。

【試験での位置づけ】

行政書士試験では義務付け訴訟の2類型(申請型・非申請型)の区別、それぞれの要件・必要的併合の相手方(取消訴訟等 vs 不作為違法確認訴訟)、仮の義務付けの要件(償うことのできない損害)が頻出です。「非申請型の補充性要件」(ウ)と「仮の義務付けの厳格な要件」(オ)は正確に覚えることが重要です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 誤り。仮の義務付けは本案訴訟(義務付け訴訟)と同時に申立てるものであり、「申請前」には行えない。また「いずれも申請前に可能」という表現は制度の趣旨に合わない。
  • イ: 誤り。申請型義務付け訴訟は①申請拒否型(取消訴訟等との必要的併合)と②申請不作為型(不作為違法確認訴訟との必要的併合)の2パターンあり、「常に不作為違法確認訴訟と必ず併合」は誤り。
  • ウ: 正しい(正答)。非申請型義務付け訴訟(行訴法37条の2)の「重大な損害要件」と「補充性要件」を正確に表現。
  • エ: 誤り。申請型義務付け訴訟は取消訴訟等との「同一の手続での審理」(必要的併合・分離不可)が要求される(37条の3第3項)。「分離して行うことは認められている」は誤り。
  • オ: 正しい内容。仮の義務付け(37条の5第1項)の「償うことのできない損害を避けるための緊急の必要性」要件は、執行停止(25条・重大な損害)より厳格とされている。ただしウが非申請型義務付けの本案要件をより明確に示している。

【根拠条文】

行政事件訴訟法 第37条の2(非申請型義務付け訴訟:重大な損害・補充性・原告適格)

行政事件訴訟法 第37条の3(申請型義務付け訴訟:申請拒否型・申請不作為型・必要的併合・分離不可)

行政事件訴訟法 第37条の5第1項(仮の義務付け:償うことのできない損害を避けるための緊急の必要性)

行政事件訴訟法 第25条(執行停止:重大な損害)

【補足】

非申請型の2要件:①重大な損害のおそれ②補充性(他に方法なし)。申請型の必要的併合:申請拒否型=取消訴訟等・申請不作為型=不作為違法確認訴訟(分離不可)。仮の義務付けは「償うことのできない損害」で執行停止より厳格。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 行政事件訴訟法 第37条の2(非申請型義務付け訴訟)、第37条の3(申請型義務付け訴訟)、第37条の5(仮の義務付け・仮の差止め) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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