行政法89住民の直接請求・議会解散・長の解職

行政書士 行政法 問89:住民の直接請求・議会解散・長の解職

地方自治法に定める議会の解散請求および議員・長の解職請求(リコール)に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 議会の解散請求を行うためには、原則として当該地方公共団体の有権者総数の3分の1以上の署名を集め、選挙管理委員会に提出しなければならない。
  • 議会解散の請求または議員・長の解職請求に必要な署名数について、有権者総数が40万人を超える地方公共団体の場合は、超過分の署名については段階的に低減した割合が適用されるとする特例がある。
  • 議会の解散請求が有効と認められた場合、直ちに議会は解散される。正答
  • 主要公務員(副知事・副市町村長・選挙管理委員・監査委員・公安委員会委員等)の解職請求は、選挙管理委員会ではなく長に対して行い、長が議会に付議する。
  • 就任後1年以内の議員・長、または解散・解職の投票から1年以内の議会・議員・長については、解散請求・解職請求を行うことができない期間制限がある。
正答:議会の解散請求が有効と認められた場合、直ちに議会は解散される。

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ウが誤りです。議会の解散請求が有効と認められた場合、直ちに議会が解散されるわけではありません。有効な署名が確認された後、住民投票(解散の投票)が行われ、過半数の同意があった場合に初めて議会が解散されます(地自法78条)。つまり「有効請求→住民投票→過半数同意→解散」という手続きが必要であり、「直ちに解散」は誤りです。アは「1/3以上・選挙管理委員会に提出」として正しい(地自法76条1項)。エは「主要公務員の解職請求は長に対して行い、議会が付議」として正しい(地自法86条3項)。オは就任1年以内・投票から1年以内の期間制限として正しい(地自法79条・84条等)。イの段階的割合の特例も地自法に規定されています。

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直接請求のうち「解散・解職請求」の手続きを整理します。議会解散請求の手続き(アの正しさ・ウの誤りの根拠): ①署名収集(1/3以上または段階的割合)→②選挙管理委員会に請求→③選挙管理委員会が署名の有効性を審査→④有効と確認された場合、住民投票(解散投票)を実施→⑤過半数の同意があれば議会解散(地自法78条)。ウは「有効と認められた場合に直ちに解散」としていますが、住民投票という追加の段階が必要です。議員・長の解職請求の手続き: ①署名収集→②選挙管理委員会に請求→③有効と確認された場合、住民投票(解職投票)を実施→④過半数の同意があれば解職(地自法83条・長、80条3項・議員)。主要公務員の解職請求(エ正しい): 副知事・副市町村長・選挙管理委員・監査委員・公安委員会委員等の解職請求は、選挙管理委員会ではなく長に請求→議会に付議→議会で3分の2以上の出席かつ4分の3以上の同意で解職(地自法86条)。これは住民投票ではなく議会議決による点が異なります。期間制限(オ正しい): 就任後1年以内および解散・投票から1年以内は請求できません(地自法79条・84条等)。これは頻繁な解散・解職請求による政治的混乱を防ぐための安定化措置です。

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【理論的背景】

議会解散・長の解職請求(リコール)は、住民が民主的責任を直接追及する手段として設けられています。しかし単なる署名収集で議会・長が失職するとすれば、政治的安定性を著しく損ない、少数勢力による政治的嫌がらせにも利用されうるため、「署名収集→住民投票(過半数同意)→解散・解職」という二段構えの手続きがとられています(ウが誤りとなる理由の制度設計的背景)。主要公務員の解職請求については住民投票ではなく議会議決(3分の2以上出席・4分の3以上同意の特別多数決)が必要であり、高いハードルが設定されています(政治的・行政的専門職の身分保護)。

【実務・条文構造】

解散・解職請求の必要署名数の段階的割合(イの根拠)について整理します。有権者総数の段階に応じて必要署名数の割合が変わります。

  • 有権者数40万以下の部分: 1/3を乗じる
  • 40万を超え80万以下の部分: 1/6を乗じる
  • 80万を超える部分: 1/8を乗じる

(必要署名数は、上記各部分に応じた数を合算して得た数。地自法76条1項・80条・81条・86条等で同様の算定方式が定められている。)この段階的割合は、大規模自治体(政令市・東京都等)では1/3の絶対数が莫大になることへの現実的配慮です。

【試験での位置づけ】

「解散請求が有効と認められた場合に直ちに解散(×:住民投票が必要)」は行政書士試験における最頻出の誤り選択肢です。「有効請求→直ちに解散」「有効請求→住民投票→過半数同意→解散」という手続きの誤解が繰り返し問われます。また「主要公務員の解職は議会付議(住民投票でない)」という点も頻出の対比論点です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア(正): 議会解散請求の署名数(1/3以上)・請求先(選挙管理委員会)の正確な記述。条例制定改廃(1/50・長)との区別が重要です。
  • イ(正): 大規模自治体における段階的割合の特例の存在を正確に指摘しています(40万超80万以下の部分は1/6、80万超の部分は1/8)。
  • ウ(誤・正答): 「直ちに解散される」という記述が誤り。有効請求後に住民投票を実施し、過半数の同意があって初めて議会が解散されます(地自法78条)。
  • エ(正): 主要公務員の解職請求の特則を正確に記述。請求先が長(選管ではない)、付議先が議会(住民投票でない)という二重の特殊性を正確に捉えています。
  • オ(正): 就任後1年以内・解散投票から1年以内の期間制限の存在を正確に記述。頻繁な解散・解職請求による政治的混乱防止のための安定化措置です。

【根拠条文】

地方自治法 第76条(議会の解散請求)、第78条(解散の投票)、第80条(議員の解職請求)、第81条(長の解職請求)、第86条(主要公務員の解職請求)、第79条・第84条(請求の制限期間)

【補足】

「解散請求が有効→直ちに解散(×)→住民投票・過半数同意が必要(○)」は最頻出の誤り選択肢パターン。主要公務員の解職は住民投票でなく議会付議(3/4以上の特別多数決)。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 地方自治法 第76条(議会の解散の請求)、第78条(解散の投票)、第80条(議員の解職請求)、第81条(長の解職請求) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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