一般知識14公的年金制度の仕組み

行政書士 一般知識 問14:公的年金制度の仕組み

日本の公的年金制度に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 日本の公的年金制度は「2階建て」構造をとっており、すべての国民が加入する国民年金(基礎年金)が1階部分、厚生年金が2階部分にあたる。
  • 国民年金の第1号被保険者は、自営業者・学生・無職の者等であり、保険料は定額である。
  • 厚生年金に加入しているサラリーマン(第2号被保険者)の配偶者で一定の収入要件を満たす者は、国民年金の第3号被保険者となり、保険料を自ら納付する義務はない。
  • 老齢基礎年金の受給資格は、原則として保険料納付済期間と保険料免除期間の合算期間が10年以上であることである。
  • 公的年金の財政方式は積立方式を採用しており、現役世代が納める保険料は将来自分たちが受け取るために積み立てられる。正答
正答:公的年金の財政方式は積立方式を採用しており、現役世代が納める保険料は将来自分たちが受け取るために積み立てられる。

AI解説(初心者・標準・上級)

理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。根拠条文・判例も明記。

初心者向けまずはここから。やさしく要点を解説

誤りはオです。日本の公的年金は現在事実上の賦課方式(現役世代が納めた保険料を同時期の高齢者の給付に充てる)を採用しており、「積立方式(自分の将来のために積み立てる)」という説明は誤りです(制度上は「修正積立方式」と称されることもありますが、実態は賦課方式が主体)。ア(正):2階建て構造は日本年金制度の基本です。ウ(正):第3号被保険者は保険料納付を自ら行う義務がなく、第2号被保険者全体で拠出を分担します。エ(正):老齢基礎年金の受給資格期間は2017年から25年から10年に短縮されました(国民年金法26条)。

標準試験対策の基準レベル

オが誤りです。日本の公的年金は法律上「修正積立方式」と規定されていた時期もありますが、現在は実質的に賦課方式(Pay-As-You-Go)で運営されています。賦課方式とは、現役世代の保険料収入をそのまま現在の受給者への給付に充てる方式です。少子高齢化が進むと支え手(現役世代)が減り受給者が増えるため、賦課方式の下では財政の持続可能性が問題になります。これが年金改革の繰り返しの背景です。ア(正):「2階建て」構造は国民年金=基礎年金(1階)+厚生年金(2階)で構成。3階部分として企業年金(確定給付・確定拠出)がある場合もあります。イ(正):第1号被保険者(20〜60歳の自営業者・学生・無職等)は定額保険料を自ら納付します(具体的金額は毎年変動するため試験では制度の仕組みを問う)。ウ(正):国民年金法第7条1項3号。第3号被保険者(サラリーマン等の配偶者で年収要件を満たす者)の保険料相当分は第2号被保険者全体の厚生年金から拠出されます(本人負担なし)。エ(正):2017年の法改正で受給資格期間が25年から10年に短縮(国民年金法26条)。無年金者の救済が目的です。

上級誤答論破・条文/判例まで深掘り

【賦課方式の理論と日本の実際】

公的年金の財政方式は「積立方式」と「賦課方式」の二種類があります。積立方式(funded system)は現役時代に保険料を積み立て、老後に自分が受け取る方式で、少子高齢化の影響を受けにくいとされます。賦課方式(pay-as-you-go)は現役世代の保険料収入で現在の高齢者の給付を賄う「世代間仕送り」の仕組みで、制度開始時に有利ですが少子高齢化には脆弱です。日本の公的年金は当初積立方式で設計されましたが、インフレによる積立金の目減りや運用の困難から、実態として賦課方式的に移行しています。現在は年金積立金(GPIFが運用)も活用した「修正賦課方式」と呼ばれることもありますが、給付の主要財源は保険料収入と税(基礎年金国庫負担1/2)です。オの「積立方式を採用」という表現は日本の実態に照らして誤りです。

【被保険者の3区分の詳細】

国民年金には3区分の被保険者があります。第1号(20〜60歳で第2号・第3号以外の者:自営業者・学生・農業従事者・無職等)は定額保険料を納付し、任意加入で付加保険料の納付も可能です。第2号(厚生年金に加入する民間サラリーマン・公務員等)は報酬比例の厚生年金保険料を労使折半で負担し、国民年金の保険料も厚生年金保険料に含まれる形で拠出します(重複納付なし)。第3号(第2号の配偶者で国内居住の20〜60歳かつ年収要件を満たす者)は保険料の直接負担なしで国民年金に加入します。第3号制度は専業主婦(夫)の基礎年金を保障する反面、共働き世帯との不公平感が批判されており、廃止・改正議論が継続しています。

【年金制度の持続可能性の課題】

少子高齢化の進展により日本の公的年金は財政的持続可能性の問題に直面しています。主な対応策として、①マクロ経済スライド(現役人口の減少率・平均余命の伸びに応じて年金給付の伸びを自動調整する仕組み)、②受給開始年齢の選択的繰り下げ(最大75歳まで繰り下げることで月額が増額)、③第3号被保険者制度の見直し議論、④年金積立金のGPIFによる長期運用(株式・債券への分散投資)、⑤基礎年金の国庫負担割合(1/2)の維持、が挙げられます。行政書士試験では制度の仕組み(賦課方式・3区分・受給資格期間10年)が重点であり、具体的な保険料額や受給額は出題対象としません。

【試験対策と上位接続】

行政書士一般知識では、①2階建て構造(国民年金・厚生年金)、②3号被保険者の保険料負担なし、③受給資格期間10年(2017年改正)、④財政方式は賦課方式が実態、の4点が核心です。上位資格(社会保険労務士・行政事務)では老齢・障害・遺族年金の受給要件、各保険料率、マクロ経済スライドの計算まで求められます。年金問題は少子高齢化・財政の持続可能性・格差論(第3号廃止論)と密接につながる政策論の核心であり、時事的な理解と接続しておくと論述問題にも役立ちます。

【根拠条文】

国民年金法 第7条(被保険者の種別)、第26条(老齢基礎年金の受給資格)、第87条(保険料)

厚生年金保険法 第2条の5(2階部分の位置づけ)

【補足】

年金の財政方式(積立vs賦課)と3区分の被保険者の保険料負担の有無が最重要ポイント。オの「積立方式」という誤りはよく見られる混同。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民年金法 第7条・第87条・第26条、厚生年金保険法、年金制度の財政(賦課方式) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

関連論点

公的年金制度の仕組み頻出度A

一般知識の他の問題

1
衆議院議員の選挙制度
2
参議院の役割と権限
3
内閣の組織と権限
4
地方議会と首長の関係・直接請求
5
国際政治・国連の仕組み
6
地方自治・条例制定権の限界

全365問・科目別に解いて、行政書士に最短合格

行政法・民法・憲法を科目別に攻略。各問に根拠条文・判例とAI解説(3レベル)付き。